上位の批判的レビュー
5つ星のうち2.0自閉症の専門家が書いた本ではありません
2019年5月6日に日本でレビュー済み
筆者の松永氏は小児外科医でありさ、児童精神医学や精神科の専門医ではない。自閉症や発達障害の知識や臨床・研究業績もほとんどありません。これは「はじめに」でも書いてあります。
立石美津子さんも重い自閉症児の子育ての経験はお有りなのですが、おっしゃることが必ずしもすべての自閉症児者に当てはまるとは限りません。
松永氏は立石さんへの医者や「専門家」の指導を特に検証することなく書かれています。高名な氏が書かれているため、専門的に「正しい」と思われる可能性があリます。
例えば、こだわりを止めさせないでと書かれています。社会生活を送ることが困難なこだわり(人前で服を脱ぐとか)はなんとか止めさせないといけないでしょうし、極端な偏食も矯正しないと健康や発育上の問題になることがあります。
また、ダウン症や重度心身障害の子を虐待した親の話を聞いたことがない、と書かれています。児童福祉の実情をちゃんと取材したのでしょうか?育児放棄や虐待はダウン症や重度心身障害児者にたいしても当然、あります。
立石さんは、「福祉専門の大学教授の講演」で大規模収容施設は呼吸器を付けているなど重度の障害者しか入れない、聞いたそうです。障害者支援施設を「大規模収容施設」と表現しているのでしょうが、「収容」という言葉は現在は使いません。呼吸器をつけるほどの重度の利用者は知的障害者が利用する施設にはまずいません。施設には人工呼吸器のような機器もなく、医療行為ができるような看護師等が配置されているとは限りません。松永氏はどの施設を裏付け取材して書かれたのでしょうか?
また、シングルマザーの立石さんが精力的に療育していますが、たいていのシンママは生活するのに精一杯で子どもの療育に彼女ほど力を入れる経済力や時間もないのではないでしょうか?
本書はあくまで一母親の子育て経験として読まれるべきで、松永氏が書かれたことで専門家が一般的に「正しい」ことを述べていると読まれる可能性があるのが気になります。