寅さんDVDマガジンVOL.2は第17作『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け('76)』だ。編集とファンが選んだ順にベスト18からリリースするのだそうだ。どうせなら公開順に観せてくれよと思ったりするが、長丁場故に人気作へ辿り着くまでに購買意欲が萎えては困るとか、大人の事情でもあるのかしらん、と勘ぐってもみたい所だが、此処は一つ親切心で“面白い順”に観せてくれるんだなぁ、と素直に解釈し楽しむとしよう。マドンナは太地喜和子。
折しも満男の小学校入学式の日。帰ってきた寅次郎(渥美清)は伯父さんぶって祝儀を包もうとするが早速一悶着、ぷいっと家を出て行ってしまう。ひょんな事から老人(宇野重吉)を連れ帰った寅。だが此の老人、見窄らしいくせして矢鱈態度がでかい。風呂だの飯だのおいちゃん(下条正巳)おばちゃん(三崎千恵子)はプンプンだ。曰くありげの此の老人と、旅先で知り合った情に脆くて情けに厚い、御侠な芸者ぼたん(太地)が絡んで織りなす、何時もお馴染みの、そしてみんな大好きな寅さんストーリーが展開される。
名作の呼び声高い本作品。兵庫県龍野市(現、たつの市)は戦後花街として栄えた。其の山陽道一と謳われた龍野芸者ぼたんを太地が朗らかに演じている。小股の切れ上がったとでも言おうか、粋で気っぷの良い、そして時に艶っぽい役をやらせたなら太地は絶品だった。昨今こんな役者をとんと見掛けない。所帯を持つだの何だのと寅とぼたんの掛け合いは玄人同士、どれだけ本気か知れないが今時の惚れた腫れたとは一風違った大人の恋の駆け引きだ。
金を騙し取られたぼたんの仇を討とうと啖呵を切って寅が出て行く場面はシリーズきっての見所の一つ。青観(宇野)と志乃(岡田嘉子)とのエピソードも又、深く心に残る。志乃の台詞の下りは背景を知るものにとって、一層感慨深い。
宇野と寺尾聰の親子共演。お馴染みの佐山俊二、大滝秀治、桜井センリ、西川ひかる、岡田茉莉。佐野淺夫がヒールを演じ、第7作でマドンナを演じた榊原るみもチョイと顔を出す。冒頭の夢ネタは“Jaws”だ。
満男がさくら(倍賞千恵子)に耳打ち苺を強請り、取り分ける演技はアドリブなのだろうか?
男はつらいよ 寅さんDVDマガジン VOL.2 2011年 2/1号 [雑誌] 雑誌 – 2011/1/18
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登録情報
- ASIN : B004EFC7Q2
- 出版社 : 講談社; 隔週刊版 (2011/1/18)
- 発売日 : 2011/1/18
-
Amazon 売れ筋ランキング:
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2011年2月8日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2018年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
初回から購入してVOL9まで揃えたのですがVOL2だけ買いそびれてしまっていたのでズット探していた物です、中古でもと思っていたのですが今回新品同様で購入することが出来て大変ラッキーでした。
VINEメンバー
浮世離れした画伯の一見非常識にみえる言動と、それに対する寅の、解ったような物言いが非常に面白かった。「宿屋じゃ……」の一件はケッサクである。
それに加えて今回は、大金を巻き上げられたマドンナのために寅が怒りに燃えて立ち上がろうとする、社会劇的展開も見られる。「五百万円です」の寸劇には思わず吹き出した。
二つの人情劇がやがて一つに結びつく、粋な計らいのラストシーンがしみじみと胸を打つ。これはやはりハッピーエンドなのだろうか。寅と画伯、寅と芸者の、その後が気になる終幕である。
それに加えて今回は、大金を巻き上げられたマドンナのために寅が怒りに燃えて立ち上がろうとする、社会劇的展開も見られる。「五百万円です」の寸劇には思わず吹き出した。
二つの人情劇がやがて一つに結びつく、粋な計らいのラストシーンがしみじみと胸を打つ。これはやはりハッピーエンドなのだろうか。寅と画伯、寅と芸者の、その後が気になる終幕である。