学級崩壊の立て直しを次々行い、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」においても有名になった小学校の先生の手法について、元教え子の編集者による聞き取りと対談からまとめた本。特に反抗期に差しかかる小学校5年生や6年生で、問題児が多い学級を多く受け持ってきたという。文庫版にあたって、オリジナル版では分量の関係で泣く泣く削ったエピソードをひとつ加え、写真も一枚追加したという。
そもそも、なぜ、学級崩壊するようになったのか。現代の親は、情報が氾濫している世の中に生きているようで、自分の親や親せきや地域との直接のつながりから得られるような道徳観念や倫理意識といったような生身の情報は実はあまり得られていない傾向がある。親は孤立しているのである。そして、少ない偏った情報に基づく思い込みが、子育てに悪影響を与えている。そして、子どもたちは驚くほど意識がバラバラ。学校側にも問題があり、「公の喪失」によって、今や「公=社会=一般性をつけたうえでの個性を発揮する場所」といえなくなっている。
立て直しの鍵になっているのは「言葉」である。「ほめ言葉のシャワー」「成長ノート」「リセット」「価値語」「一年後に言われたい言葉」「ディベート」。書かせることで、自分との対話を深めさせる。発表では、発表者の方を聞く側が向くようにする。「対話とは、話すことと聞くことの掛け算」だという。会話のときに主語をつけたり、敬語など言葉の使い方を様々な形で教えてゆく。いきなりレベルを上げるのではなく、成長を観察しながら与え方や内容を工夫してゆく。聞く力、話す力、態度。コミュニケーションの経験を増やす。
親へのアドバイスも書かれている。どんな子に育てるか考える。子ども「性悪説」に立ってみる。いじめは全滅しないという覚悟を持つ。MFC(Mother, Father, Child)を一人の大人が持つ。子どもを「眺めて」みる。「叱る」と「怒る」の違いを意識してみる、他。
子どもではなく人を育てる。深刻な学級崩壊に対するヒントということに限らず、子供の頃に言葉を使ったきちんとしたコミュニケーション力をはぐくむことの重要性についても考えさせてくれる。
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