体外受精を始めとした生殖医療の現状や未来について解説した本であるが、日本で生まれる子供の32人に1人は凍結保存された胚を子宮内に移植するという過程を経ていること、精子バンクだけではなく米国では卵子バンクも次々に誕生していること、商業ベースの精子バンクでは同一提供者の精子から数十人単位の子供たちが生まれている例もあること、など生殖医療のほとんど聞いたことのない話が多く載せられており最後まで興味深く読めた。
しかし本書で特に興味深かったのは、性別とそれに関わる障害について書かれた第4章、第5章であった。日常生活において自分や周囲の人が男か女かについて疑問を抱いたりあえて意識をしたりすることはほとんどない。勿論、こころとからだの性別に違いを持つ性同一性障害の人達の話はマスコミでもしばしば取り上げられるが、本書を読むと「遺伝的性別」、「性腺の性別」、「みかけの性別」といった様々なレベルで、大多数の集団とは異なる性を持つ人が意外に多く存在し、また生物学的・医学的には男性と女性の境界はかなりあいまいであることが具体例をもって書かれており、かなり驚いた。また、なぜこの問題が2章にもわたって取り上げられているのか当初疑問だったが、性の同一性に悩む人たちにとって望ましい形の性別になり家族を持ちたいとなった時にまさに問題となるのが、代理母も含めた生殖医療の領域であることが説明されており、納得できた。それと同時に、普段あまり考えたことのない性別や性の同一性の問題について深く考えさせられた。
過去数十年においても生殖医療に関わる技術は著しく進歩したが、子宮移植やミトコンドリア置換、iPS細胞技術を用いた人工配偶子、ゲノム編集など今世紀に入って更に多くの技術がこの領域に応用されようとしている。社会的、倫理的に何が許され、何はダメなのかを我々現代人は考えていかなければならないが、その基礎として今何が行われ、今後どのような点が問題になりそうかを把握する必要がある。そういう意味で本書は有用なガイドとなる本であり、多くの方に一読をお勧めしたい。
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生殖医療の衝撃 (講談社現代新書) 新書 – 2016/8/18
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1978年7月25日ルイーズ・ブラウンさんが英国で誕生してから30余年。「生殖革命」ともいえる技術革新が相次ぎ、いまや日本で生まれるこどもの約32人に1人は、出生前に-196℃液体窒素タンクで凍結保存されている。いま生殖医療は新たなるフェーズに進み、遺伝的親が3人存在することになるミトコンドリア移植、子宮移植が現実のものとなりつつある。生殖医療の第一人者が、生殖医療の最前線をレポートする
1978年7月25日体外受精による子ども、ルイーズ・ブラウンさんが英国で誕生してから30余年。生殖医療の世界では、「生殖革命」ともいえる技術革新が相次ぎ、いまや日本で生まれるこどもの約32人に1人は、出生前に-196℃液体窒素タンクで凍結保存されている。いま生殖医療は新たなるフェーズに進み、遺伝的親が3人存在することになるミトコンドリア移植、子宮移植が現実のものとなり、iPS細胞を用いた精子や卵子の作成技術の確立も目前に迫っている。第二次生殖革命前夜ともいえる様相を呈している最新事情を紹介するともに、精子バンクや卵子バンクなど生殖医療ビジネスや生命倫理との相克などを鋭くレポートする。
1978年7月25日体外受精による子ども、ルイーズ・ブラウンさんが英国で誕生してから30余年。生殖医療の世界では、「生殖革命」ともいえる技術革新が相次ぎ、いまや日本で生まれるこどもの約32人に1人は、出生前に-196℃液体窒素タンクで凍結保存されている。いま生殖医療は新たなるフェーズに進み、遺伝的親が3人存在することになるミトコンドリア移植、子宮移植が現実のものとなり、iPS細胞を用いた精子や卵子の作成技術の確立も目前に迫っている。第二次生殖革命前夜ともいえる様相を呈している最新事情を紹介するともに、精子バンクや卵子バンクなど生殖医療ビジネスや生命倫理との相克などを鋭くレポートする。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2016/8/18
- 寸法10.6 x 1 x 17.4 cm
- ISBN-10406288383X
- ISBN-13978-4062883832
- UNSPSC-Code
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
日本で生まれるこどもの32人に1人は出生前に-196℃の液体窒素タンクで凍結保存されていた。生殖医療の驚きの最新事情!卵子と精子はネット通販の時代に!卵子と精子をめぐる、世にも不思議な物語。
著者について
石原 理
1954年東京生まれ。群馬大学医学部卒業。東京大学医学部産科婦人科、ロンドン大学ハマースミス病院などを経て、埼玉医科大学医学部産科婦人科教授。学生・医師の教育と生殖医療の現場に携わりながら、医療のあり方についての研究・フィールドワークを行う
1954年東京生まれ。群馬大学医学部卒業。東京大学医学部産科婦人科、ロンドン大学ハマースミス病院などを経て、埼玉医科大学医学部産科婦人科教授。学生・医師の教育と生殖医療の現場に携わりながら、医療のあり方についての研究・フィールドワークを行う
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
石原/理
1954年東京生まれ。群馬大学医学部卒業。東京大学医学部産婦人科、英国ロンドン大学ハマースミス病院などを経て、埼玉医科大学医学部産科・婦人科教授。学生・医師の教育と生殖医療、生殖医学研究に携わりながら、医療・家族・性のあり方について研究とフィールドワークを行う。また、生殖補助医療監視国際委員会(ICMART)のメンバーとして、生殖医療に関連する国際統計の収集・分析・定期報告に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1954年東京生まれ。群馬大学医学部卒業。東京大学医学部産婦人科、英国ロンドン大学ハマースミス病院などを経て、埼玉医科大学医学部産科・婦人科教授。学生・医師の教育と生殖医療、生殖医学研究に携わりながら、医療・家族・性のあり方について研究とフィールドワークを行う。また、生殖補助医療監視国際委員会(ICMART)のメンバーとして、生殖医療に関連する国際統計の収集・分析・定期報告に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2016/8/18)
- 発売日 : 2016/8/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 406288383X
- ISBN-13 : 978-4062883832
- 寸法 : 10.6 x 1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 180,272位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 736位講談社現代新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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2017年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
体外受精などによる生殖医療が、今はここまで来ているのか、という驚きの内容の本である。著者の石原理氏は、埼玉医科大学医学部産科・婦人科の教授で、生殖医療・生殖医学研究に日常的に携わっている人物だ。
現代の生殖医療が進展した要因として、著者は顕微授精、胚凍結、胚培養という3つの技術をまずは取り上げる。顕微授精により、ひとつの卵子とひとつの精子で受精が可能となり、乏精子症や無精子症は治療可能な不妊症となった。胚凍結の技術進歩により、胚を子宮に戻すタイミングを自由にコントロールできるようになった。そして胚培養の進歩により、卵子と精子が受精してできた胚を、より長い時間にわたって体外で培養できるようになった。
生殖医療ビジネスの面では、なんといっても、精子バンクの存在が驚愕だ。もともと精子バンクは、ガン治療を控えた患者などが自らの精子をあらかじめ預けておくところから始まったものだが、精子提供者に対する感染症チェックが行き届いているといった理由もあり、第三者提供による人工授精を行うに際し精子バンクを頼るケースが増えているという。提供を必要とする顧客は、精子バンクを運営する会社のウェブサイトを見ながら、普通の商品を選択する時とまったく同じように、さまざまな情報を比較検討して注文を出すことができるという、なんとも驚きの事実が紹介される。
卵子提供の実態も驚愕だ。加齢にともなう卵巣機能の低下のため、そもそも自分の卵子が生殖医療に使えない、あるいは妊娠・分娩の期待値が極めて低い場合は、若い女性の卵子を使用して妊娠・出産し、子を得ようとする需要があるという。そうした需要に対し、自身の卵子をバイト感覚でいとも簡単に提供する女性の実例なども紹介される。また近年、当面妊娠・出産を予定していない女性が、自らの卵子を冷凍保存することなども増えているという。
卵子の核を第三者女性から提供された卵子に移植することで行われるミトコンドリア置換、妊娠・分娩を当事者外に依頼する代理懐胎(代理母出産)などに関しては、生命倫理の問題などもあり、いまだ社会的に受け入れられにくい。著者は、これらの生殖医療を取り巻く現状に対し、生殖医療によって生まれてきた子供たちがほかの子供たちと平等であることを保障する法整備が必要であると主張する。
子供がほしくても、なかなか子宝に恵まれないカップルが近年増加しているのは事実だ。生殖医療はそのような方たちに対する解決策であるが、技術的にも社会的にもここまで進んでいることを本書を読んで初めて知った。記述されている1つ1つの事実に対し、正に衝撃の連続となる1冊だ。
現代の生殖医療が進展した要因として、著者は顕微授精、胚凍結、胚培養という3つの技術をまずは取り上げる。顕微授精により、ひとつの卵子とひとつの精子で受精が可能となり、乏精子症や無精子症は治療可能な不妊症となった。胚凍結の技術進歩により、胚を子宮に戻すタイミングを自由にコントロールできるようになった。そして胚培養の進歩により、卵子と精子が受精してできた胚を、より長い時間にわたって体外で培養できるようになった。
生殖医療ビジネスの面では、なんといっても、精子バンクの存在が驚愕だ。もともと精子バンクは、ガン治療を控えた患者などが自らの精子をあらかじめ預けておくところから始まったものだが、精子提供者に対する感染症チェックが行き届いているといった理由もあり、第三者提供による人工授精を行うに際し精子バンクを頼るケースが増えているという。提供を必要とする顧客は、精子バンクを運営する会社のウェブサイトを見ながら、普通の商品を選択する時とまったく同じように、さまざまな情報を比較検討して注文を出すことができるという、なんとも驚きの事実が紹介される。
卵子提供の実態も驚愕だ。加齢にともなう卵巣機能の低下のため、そもそも自分の卵子が生殖医療に使えない、あるいは妊娠・分娩の期待値が極めて低い場合は、若い女性の卵子を使用して妊娠・出産し、子を得ようとする需要があるという。そうした需要に対し、自身の卵子をバイト感覚でいとも簡単に提供する女性の実例なども紹介される。また近年、当面妊娠・出産を予定していない女性が、自らの卵子を冷凍保存することなども増えているという。
卵子の核を第三者女性から提供された卵子に移植することで行われるミトコンドリア置換、妊娠・分娩を当事者外に依頼する代理懐胎(代理母出産)などに関しては、生命倫理の問題などもあり、いまだ社会的に受け入れられにくい。著者は、これらの生殖医療を取り巻く現状に対し、生殖医療によって生まれてきた子供たちがほかの子供たちと平等であることを保障する法整備が必要であると主張する。
子供がほしくても、なかなか子宝に恵まれないカップルが近年増加しているのは事実だ。生殖医療はそのような方たちに対する解決策であるが、技術的にも社会的にもここまで進んでいることを本書を読んで初めて知った。記述されている1つ1つの事実に対し、正に衝撃の連続となる1冊だ。
2018年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このように実際にご自身であちこち取材され、事実をわかりやすく伝えてくれる本というのは本当に有難いものである。
デリケートなテーマながら、著者の冷静な(時に情熱を抑え込んだ)筆致に感服しきり。
いわゆる「試験管ベビー」の技術的進歩、それに恩恵を受ける人々の多さ、時代のニーズ。そもそも「性とは何か」。
近頃はLGBTという言葉が認知されるようになってきた一方で、科学的、生物学的知識のない人間による心無い中傷も散見される。
(生物学的に云々~。このような発言をする人物は何の知識もないことを自白しているようなものなので、相手にする必要はない。
近年の生物学や医学を多少なりとも学んだ人間はこのようなことは言わないからだ。
そもそもこれらの学問は「なぜなのか」を探求するものであって、何が正しいか、間違っているかを決めるようなエゴなものではない。そのような発想自体おこがましい。)
顕微授精や凍結保存の技術革新から、ヒトという生き物が持つ苦悩、そして生物学的視点による冷静な「性」の解説。そして考えられる倫理的問題までをコンパクトかつ分かりやすくまとめた本書を読めば「ヒト」に対する考え方が変わるかもしれない。
読んでいて単純に面白いし、こういった本はぜひ中学校や高校の生物の課題図書にでもして、多くの人に読んでもらいたい。
正しい知識の上に語られる意見はどんな立場のものであれ有意義なものだが、そうでなければむしろ害である。
この本をきっかけに、さらに医療現場の現実、生物学の正しい知識を求めるようになってくれればと願う。
デリケートなテーマながら、著者の冷静な(時に情熱を抑え込んだ)筆致に感服しきり。
いわゆる「試験管ベビー」の技術的進歩、それに恩恵を受ける人々の多さ、時代のニーズ。そもそも「性とは何か」。
近頃はLGBTという言葉が認知されるようになってきた一方で、科学的、生物学的知識のない人間による心無い中傷も散見される。
(生物学的に云々~。このような発言をする人物は何の知識もないことを自白しているようなものなので、相手にする必要はない。
近年の生物学や医学を多少なりとも学んだ人間はこのようなことは言わないからだ。
そもそもこれらの学問は「なぜなのか」を探求するものであって、何が正しいか、間違っているかを決めるようなエゴなものではない。そのような発想自体おこがましい。)
顕微授精や凍結保存の技術革新から、ヒトという生き物が持つ苦悩、そして生物学的視点による冷静な「性」の解説。そして考えられる倫理的問題までをコンパクトかつ分かりやすくまとめた本書を読めば「ヒト」に対する考え方が変わるかもしれない。
読んでいて単純に面白いし、こういった本はぜひ中学校や高校の生物の課題図書にでもして、多くの人に読んでもらいたい。
正しい知識の上に語られる意見はどんな立場のものであれ有意義なものだが、そうでなければむしろ害である。
この本をきっかけに、さらに医療現場の現実、生物学の正しい知識を求めるようになってくれればと願う。
2016年10月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ワトソンとクリックによるDNA構造の解明以降の分子生物学の驚くべき進歩を考えれば生殖医療の現状は驚くことではないにしてもこの著作は時系列的にわかりやすくそれを解説、様々な問題点も提示しており評価できる。「クリスパー」などによる体細胞のみならず生殖系列細胞や精子や配偶子などへのゲノム改編が容易く可能になった今、専門医(科学者)として生殖医療の進む方向がより鮮明に見える(予想できる)だけに現在の法的整備状況への危惧や生命倫理での葛藤も理解できる。私としては法的整備や生命倫理は「こうであるべき」と将来を基準にすることは無理で、現状(時代)の認識のうえでの追随・追認にならざるを得ないのではと思う。自分の子を持つ、自分の遺伝子や良質な遺伝子を子孫に残す(複製する)というDNA上のプログラムはある意味で法や「倫理」を越えて働くのだと思う。ただ、そのプログラムに抵抗することもまた重要だと思う。たとえば当著作でも記述している「代理懐胎」、いわゆる「腹貸し」は著者は明確な判断を示していないが(専門医として親の希望にできるだけ添いたいとの考えは理解するにしても)「医療」と言えるのだろうか。当人が望むにしろ望まないにしろ提供者の肉体や精神に大きなダメージを与える点、巨額の金銭を媒介にするだけに特定の人にのみ可能な「選ばれた生殖」であること、金銭を餌に強制的に提供者を作る可能性が大きいことなどから現状において法的にも生命倫理としても厳禁すべきだと思う。子をつくる(DNAをわが子に複製する)願望は当然であるにしてもDNAは兄弟姉妹・血縁者を通し複製され続ける(もちろん当人のDNAとの近似値は異なってくるが)ことへの理解も重要だと思う。
2016年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の産婦人科の臨床をやりながら15年に及ぶ北欧始め世界を股にかけたフィールドワークに基づいた本である事にまず敬意を表す。
沢山の人にインタビューしながら北欧ミステリーも沢山読み込んだという文章は、各章とも、うん?何の話が始まるんだ?とドキドキさせる文の運びで、読み物としても一気に読ませる作品に仕上がっている。
卵子や精子を細胞を破壊せずに凍結したり融解したりする技術革新と、受精した胚の体外培養の成功、顕微受精の進化で生殖医療が大きく変わり、日本でも最近では約24人に1人が体外受精を始めとする生殖医療の恩恵を受けている現実を知った。
さらに生殖医療は、遺伝子さえも容易に操作できるレベルに達しつつあると。
法整備が、世界の他の国より遅れている上に、日本では一般庶民の感覚が、技術革新に追いついていない現実を思うにつれ、まだ正解はない、過去の事例に学ぼう!という著者の悲痛な叫びも共感できる。
社会的格差があれば、インドで商業としても成立してしまうかもしれない代理母の出産事情、20代の女性が卵子を売る事で時には1000万円も手にしてしまう現実。
生殖医療は他人事ではなく、現実がどうなっているか知り、皆が意見を言う中で答えがなくても自分たちの社会のコンセンサスを作っていくのが必須の時代になってきているという事だろうか?
沢山の人にインタビューしながら北欧ミステリーも沢山読み込んだという文章は、各章とも、うん?何の話が始まるんだ?とドキドキさせる文の運びで、読み物としても一気に読ませる作品に仕上がっている。
卵子や精子を細胞を破壊せずに凍結したり融解したりする技術革新と、受精した胚の体外培養の成功、顕微受精の進化で生殖医療が大きく変わり、日本でも最近では約24人に1人が体外受精を始めとする生殖医療の恩恵を受けている現実を知った。
さらに生殖医療は、遺伝子さえも容易に操作できるレベルに達しつつあると。
法整備が、世界の他の国より遅れている上に、日本では一般庶民の感覚が、技術革新に追いついていない現実を思うにつれ、まだ正解はない、過去の事例に学ぼう!という著者の悲痛な叫びも共感できる。
社会的格差があれば、インドで商業としても成立してしまうかもしれない代理母の出産事情、20代の女性が卵子を売る事で時には1000万円も手にしてしまう現実。
生殖医療は他人事ではなく、現実がどうなっているか知り、皆が意見を言う中で答えがなくても自分たちの社会のコンセンサスを作っていくのが必須の時代になってきているという事だろうか?





