世界的な免疫学者である著者。最近では能作家としても知られている。いままでにもこの人の本を読んだ。読みやすくわかりやすい文章でありながら,内容がしっかりしているという印象。
第一章は旅行記。なぜここまで苦労してアフリカの奥地まで行くのかわたしにはわからない。ただ,その思いの強さと,そこにいたるまでの状況を,文章だけで見事に表現している。また,麻薬中毒から村人を救うグループに会いにゴールデントライアングルまで。ここでも,著者の桁外れた好奇心がうかがえる。どうしてここまでして人を救うことができるかを知りたいのだろうが,わたしにしたら,どうしてそのために,そこまで出かけていけるのかが知りたいくらいだ。
第二章は,著者のものの見方がよくわかるエッセイだ。時にやさしく,時に厳しい。科学者らしい語り口(とわたしは思う)で,正月や2000年問題,景気,教育,音楽,自然など,さまざまな話題が登場です。第一章と重複する話題があるのはやや気になるが,ここは気楽に読み流した。
第三章では,著者の内面が現れる。わたしは免疫に関する本しか読んでいなかったので,このような文学や哲学の影響についてははじめて知った。大変興味深い章だった。やさしさの哲学は,特に印象に残った。
なお,先日,著者が亡くなった。脳梗塞で倒れた後も,リハビリをしながら活動されていることをニュースで知っていただけに残念でならない。
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