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生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書) 単行本(ソフトカバー) – 2020/10/15

4.2 5つ星のうち4.2 120個の評価

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自分が生まれてきたことを否定する思想は、長い歴史を持つ。古今東西の哲学・思想、文学を往還し、この思想を徹底検証。その超克を図る「生命の哲学」の試み!

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2020/10/15)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2020/10/15
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 368ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480017151
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480017154
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.1 x 2.4 x 18.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 120個の評価

著者について

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森岡 正博
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1958年高知県生まれ。東京大学大学院、国際日本文化研究センター、大阪府立大学現代システム科学域を経て、現在、早稲田大学人間科学部教授。哲学、倫理学、生命学を中心に、学術書からエッセイまで幅広い執筆活動を行なう。代表作はいまのところ『無痛文明論』だが、そのほかに、男性セクシュアリティ論の話題作『感じない男』、草食系男子ブームの火付け役となった『草食系男子の恋愛学』、オウム真理教事件から哲学する『宗教なき時代を生きるために』、脳死論の古典『脳死の人』、生命倫理の重要作『生命学に何ができるか』、絶版になってしまったメディア論『意識通信』などがある。日本語サイトは、http://www.lifestudies.org/jp/ 新刊『まんが 哲学入門』(講談社現代新書)は私自身がまんがの原画を描いた問題作。鉛筆描き原画はhttp://www.lifestudies.org/jp/manga/で見られます。反出生主義の克服を考察した『生まれてこないほうが良かったのか?』(筑摩選書)。

カスタマーレビュー

星5つ中4.2つ
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年4月20日に日本でレビュー済み
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反出生主義をテーマに「生」を哲学的に探究したインパクトのある本。「出産許容性原理」の考え方とその根拠は一読に値すると思う。少なくとも僕は、自分の生を大切にしようと倫理的に前向きになれた。文章もとても読みやすい。
17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年2月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 意志の否定を説いたショーペンハウアーにとってこの世は地獄であり、世界は存在しない方がよかった。個々人に目を転じても、人生においてリアルなのは苦痛のみであり、幸福とはせいぜい苦痛のない状態に過ぎない。「最も幸福な人間の最も幸福な瞬間は眠りに落ちた瞬間であり、最も不幸な人間の最も不幸な瞬間は目覚めた瞬間である」われわれは生まれてくるべきではなかった何者かなのであり、だからこそ存在することをやめるのだ。死とは生殖という罪障によってあざなわれた結び目を苦しみつつ解きほぐすことである。他の個体という形で生を繰り返すという意味での生殖行為は生への意志の究極の肯定であり、だからこそわれわれはその行為に対して羞恥と罪悪感を覚える。性的衝動へと個体を動かしているのは盲目の意志であり、だからこそその行為を終えた途端、われわれは失望と幻滅を感じる。「快楽にまさるほら吹きはいない」というのもそのとき個体は種族の意志に踊らされていたのであるが、行為を終えた途端に幻想は消え去り、瞞着されたことを悟るからである。
 だがそこまで人生を否定するショーペンハウアーでも、自殺を肯定することはなかった。なぜなら自殺とは意志の否定ではなく、意志の強烈な肯定であるからだ(ただし餓死による自殺は除く)。苦しみから逃れたいという欲求は、生きたいという欲求にほかならないであろう。その欲望の滅却こそが意志の否定であるはずなのに。
 本書によればベネターの見解も似たようなものであるらしい。ベネターは極めて論理的に、「快楽/苦痛」が「存在する場合/存在しない場合」の四象限に分け、快楽も苦痛も存在しない not bad の状態は、苦痛が存在する bad の状態よりも「悪くはない」、よって存在しない方が「善い」という結論に達している。しかし誕生害悪論を主張するそのベネターも、自殺に関しては消極的な肯定にとどまっているらしい。
 概観すれば「生まれてこない方がよかった」という反出生主義の主張は古今東西に見られるにもかかわらず、「汝死ぬべし」という自殺擁護論は極めて少ない(例外もあるが)。そしてそこには実はかなり深い(否もしくは浅い?)理由があるような気がする。
 哲学者は行為ではなく言葉で自分の思想を表現する。哲学者にとっては言葉が全てであり、行為がそれに追従する必要はない。そのため哲学者は得てして言行不一致に陥る。偉大な哲学者ほどその傾向が強い。それを許容すべきか否かは難しい問題であろうが、一般的には自分の言葉どおりに行動しない人間は「噓つき」と呼ばれて非難される。
 ここに自殺を推奨する一人の哲学者がいるとする。「死んだ方がまし」であること、人間は自殺すべきであること、それが理性がたどり着く正しい答えなのだということを、彼が論理的に証明したとする。しかし「汝死すべし」という彼の主張は、次の一語によって容易に反論されうる。すなわち「じゃあどうしてお前は生きているんだ」と。死ぬのがそんなに良いことなら、それを主張しているお前がまず真っ先に死ぬべきではないのか、と。
 客観的に見て、存在よりも非存在の方が分がいいことは確かであろう。多くの人間がそのことに気づいており、時としてそう口走ることもある。軽い冗談として。否それは冗談ではなく真実ではあるのだが、実際に死ぬつもりはない。「死んだ方がまし」と思うことと、実際に死ぬこととのあいだには、天と地ほどの開きがある。
 だからだれも「死んだ方がまし」とはあえて言わない。「じゃあ死ねばいいじゃん」と言われたくないし、死ぬ気もないからだ。しかしそれでも人生に疲れるときがある。そんなとき或る人はこう言う。「いっそのこと生まれてこなければよかったのに」なぜか。なぜ「死んだ方がまし」とは言わずに「生まれてこなかった方がまし」と言うのか。それはそう言っておけば、だれからも突っ込まれることはないからだ。人は死ぬことはできるが、生まれてこないことはできない。少なくとも生まれてしまった今となっては。
 要するに「生まれてこない方が良かった」という嘆息は、自殺する勇気のない弱者が、他者からのツッコミを前もって回避するための方便に過ぎないのではないか。そうつぶやいたところで「じゃあお前生まれてくるなよ」とはだれも言わない。言えない。なぜか。そんなことは不可能だからだ。かくしてペシミストは安心して自分の愚痴を聞かせることができる。端的に言えばそれは単なる八つ当たりである。ある人物に対して文句を言いたいのだが、直接文句を言う勇気がないがために、その人物の親に文句を言うのと同断である。
(なお余談ながらニーチェは生への意志を肯定などしていないと個人的には思っている。彼はショーペンアウアーによる「生への意志の否定」を否定したに過ぎない。「否定の否定」と「肯定」は異なる。存在や誕生を本当に肯定している人間であれば、そもそも哲学などという道に迷い込むことはあるまい)
 以上は「生まれてこない方が良かったのか?」という問いに対する個人的所感であり、以下は本書における森岡の議論に対する個人的感想(駄弁)である。
 森岡は言う。「『私が存在していないこと』と『私が生まれてこなかったこと』は異なる」と。なぜなら「前者は反事実的に想像することが可能だが、後者はそれが不可能だから」と。森岡はこの問題をP.285以降で詳細に論じ、「これは新しく発見された命題である可能性がある」とまで言っている。
 しかし残念なことに、自分にはこの二つの違いがよく分からなかった。確かに前者は現在肯定形の仮定法であり、後者は過去否定形の仮定法であるという文法的な違いはある。しかし結局は同じことではないのだろうか。「私が存在していないこと」を想像することが可能なら「私が生まれてこなかったこと」を想像することだって可能だし、「私が生まれてこなかったこと」を想像することが不可能なら「私が存在していないこと」を想像することだって不可能であろう。
 とどのつまり森岡の結論は「生まれてこないほうが良かったのか?」という問いは「生まれてきたこと」と「生まれてこなかったこと」という比較不可能な両者を比較しようとしているがゆえに不当な問いである、ということらしい。しかしこれだけの紙幅を割いた末にたどり着いた結論が「生まれてきちゃったものはしょうがない」というありきたりの回答というのは、正直肩透かしの感を拭うことができない。
 厳しい評価にならざるを得ないのは、森岡がJ哲学を標榜しているからである。本書において森岡は古今東西における反出生主義の思想を網羅し吟味している。それはそれで意味のあることであろう。労作だとは思う。しかしこれはJ哲学なのだろうか。日本独自の哲学なのだろうか。
 もっとも森岡によれば本書はまだ準備段階に過ぎず、今後「生命の哲学」が本格的に展開することになるらしい。続編の刊行を待ちたいと思う。
【追記】
「『私が存在していないこと』と『私が生まれてこなかったこと』は異なる」という森岡の言葉の意味が分からないと上で書いたが、その後もしかして森岡の言いたいことはこういうことだったのではないかと思いついたので追記する。
「私が生まれてくる前」ではなく「私が死んだ後」を例にして説明すると話が分かりやすくなる。
 普通われわれは自分が死んだ後のことを「自分がいなくなった世界」として想像する。そのような想像なら可能だし容易である。しかし実は私の死後の世界は、少なくとも私自身にとっては、「自分がいなくなった世界」としてはあらわれない。なぜならそのとき、私はすでにそこにはいないのだから。私の死は私自身にとっては、世界から私が消えることではない。私自身にとっての私の死は、世界そのものの消滅にほかならない。
 どちらも同じことのように思われるかも知れないが、実は全く違う。世界から何かが消滅することを想像するのは可能である。しかし世界そのものの消滅を想像することは、原理的に不可能である。世界の中から何かを消すことはできても、全てを包含する外部のない世界そのものを消すことは、想像することさえ不可能なのだ。森岡が言いたかったのはそういうことだったのかも知れない。
68人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これを読んだからと言って、生まれてこないほうが良かったのか?に対する答えは書いていません。ただ、外国人や昔の人でも同じように考えたことがあるのがわかり、自分だけではなかった、と思えるようになる本です。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アンチナタリズム(反出生主義)とは何か?世界の歴史で見る限り、時代の所々に表れてきたその主義主張はどのようにして宗教や哲学と混じり広がってきたのか?を知るにはいい本。哲学本はどれもそうだが少し読みにくいので時間のある大人向け。
ただもちろんこの教授の主張もあくまでアンチナタリズムの一端でしかないので、これが反出生主義かと問われれば謎が残る。理論が破綻していないか?というところもある。ただ2018年にインターネットを通じて若者を中心に広がったこの「反出生」という言葉を日本で世に知らしめたという意味では貴重な本。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年1月4日に日本でレビュー済み
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寅次郎「難しいこと聞くなぁ。なんて言うかなぁ。あー生まれてきてよかったなぁって思うことが何遍かあるじゃない。その為に人間生きてんじゃないのか? まあ、頑張れ」
寅さんであれば以上で終わりですが、著者の様な哲学者ですと答えるのも一苦労ですね。
しかもこの著作はシリーズ第一作目に過ぎず、これに続く一連の著作を通じて、著者は哲学界の新たなジャンル「生命の哲学」の構想を行うとしています。

ベネターの「生まれてこない方が良かった」を購入した所、バランスを取ったつもりかアマゾンのAIにより本書をお勧めされました。
大人しくそれに従い購入いたしましたが、やはりというか反出生主義への真正面からの哲学的チャレンジは一筋縄ではいかない様子に読み取れました。
とはいえそれも、誤魔化しなしに慎重に論を進めようとする著者のスタイルによるもでしょうし、好意的に読み進めることができました。
また、この手の本にしては文章が比較的読みやすく、私のような無学な者にもストレスなく読了することができました。

この著作に「なるほど」と納得する答えのようなものを期待してはいけません。
著作により提示される、「誕生肯定の哲学」に至る心理的な次元での二つ道筋(可能世界解釈/反ー反出生主義解釈)ですが、正直な所、自分自身をその様な心境にまで到達させるには、相当な困難を感じます。
だからこそ、今後続くシリーズの中でのさらなる議論への期待が膨らみます。
多くの方にお勧めできる本だと思います。
27人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年1月5日に日本でレビュー済み
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反出生主義という聞きなれないフレーズは、
実は古代ギリシャから現在に至るまで連綿と紡がれた問いの一つです。

生まれてこないほうが良かったのか?との自問自答は、
その濃淡の差こそあれ、だれでも一度くらいは口走りそうな感傷を含むのではないでしょうか。
そこには心理学的な認知と哲学的な考察が混在しているわけですが、
本書では哲学的な見地から反出生主義を反駁し、反駁し尽くしたところで、
「生まれてきてよかった」との心理的肯定が生まれる機序を鮮やかに示していて、
知的な感動を味わうことができます。

続編が楽しみです。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古今東西にまなねく根を張る世界思想としての反出生主義(自分を含む人や生命は生まれない方がよかった、新たに生み出すべきではないとする思想)を系譜的に総ざらいして、著者が提唱する「生命の哲学」の地図上に位置づけ、それらと対照して独自の「誕生肯定」の哲学を構想するという渾身の一冊です。

著者自身は、反出生主義とは異なる、「誕生肯定」の哲学を表明し、探究されています。しかし、「生まれてこなければよかったのではないか」という問いに搦めとられた一人として、問いを共有する立場として反出生主義には大いに共感されているように見え、考えなしに一笑に付すようなよくある態度はとっておられません。(なので反出生主義者の方達も安心して読むことができると思います。)
そして、単に情緒的に共感するだけではなく、各思想をあたう限りリーズナブルに再構成し、勘所を見出そうと試みられています。その過程で明らかにされている、ベネターの潔癖症、ショーペンハウアーの“不純な動機による”自殺の批判、仏陀の解脱チャンスとしての人間に生まれた今生、「ハンス・ヨナスは人類が『生まれてよかった』と振り返りながら滅亡する道筋を示せていない」、等々の記述にはとくに目を見張りました。

さまざまな検討材料が豊富に盛り込まれておりどこを取っても面白い本ですが、あえて一つ疑問点を取り上げると……、著者はベネター批判として存在と生成の区別を導入されていて、「存在については非・存在を考えることが可能。しかし、生成は実際に生成しているものを指す。ゆえに非・生成はナンセンス」というような記述をされていますが、それならば存在についても「存在は実際に存在しているそれを指し、ゆえに非・存在はナンセンス」といえないでしょうか? つまり、存在や生成ではなく、「実際に」や「現に」にこそポイントがあるのではないでしょうか?

シオランやベネター、そして、インターネットで活動されている無名の人々を含む現代の反出生主義者の大いなる美質は「自分を棚上げにしていない」ところだと思います。彼らは、数からいえば圧倒的に多い他人の生について「生まないほうがよかった、生み出すべきではない」とひたすら言い募ることは理論的にはできるでしょうが、どの方々も、まず自分の生、まず自分が生み出す生について考え、何事かを実践されているように見えます。私たちが反出生主義に対して魅力や反感を感じ、いてもたってもいられないのは、そこに血と汗が吹き出るような生命を感じ取っているからではないかと思います。本書がシリーズ第一作となる現在進行形の森岡生命学にも同様の息吹を感じずにはいられません。
78人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年9月21日に日本でレビュー済み
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なぜ生まれなければいけないのか?
無批判に受け入れられてきた生まれを。
全員で裏切る。
最初から無ければ良かった内容なら。
いくらでもありますが。
出生の仕組みが本人の自由や意志を束縛しているような。
生まれの仕組みの欠陥があるのかな。
そんな仕組みを整える方に問題があるのですが。
人の生まれを査定しても良い。
合法化がこの世界に送り届けられたという。
超自然的な見解を持っています。
犯罪心理学で言う、無人称を非難しているので。
人間に責任を取らせるのは、私の考えにはないです。
出生の仕組みという、超自然的な加害者がいて。
別名は、無人称、という訳です。
現代思想で定番になりそうですが。
論争も過激になりそう。
個人主義な私は学者に譲りたい。
まったく新しい思想ではなくて。
古代世界から散見されているのが好ましい。
私にはこれ以上の意見は出せません。
けっこういいね。
この現代思想は大好き。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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