二人のゆでたまご先生の話を読むだけで少年時代のキン肉マンやキンケシにまつわる多くのことを思い出し、感慨深くなりました。
本書でも書かれている通り、ジャンプ連載から遅れるようにキンケシとテレビアニメ放映が大多数の子供心に火をつけました。ご多分に漏れず、私もその一人てした。
私の田舎は放送局の都合で、平日の夕方に放映され、初回を友達の家で見た覚えがあります。その直後マンガとアニメのあまりの違いに皆で不満を言い合いました。今では慣れましたが、神谷明の声も当時は違和感ありありでした。超人の応募もやりました。友達数人と本格的にどういうのが採用されるか真剣に打ち合わせをして、共同作業で行いました。ハガキに発案した超人を描き、さらにジャンプコミックス向けの感想文書いて送ったりして、掲載されるかドキドキしました。街のスーパーや玩具店の前は夕方になると子供たちがキンケシのガチャガチャをやりに来て群がります。私は親や祖父母が買い物へ出かけると聞くと必ずついて行き、100円硬貨を貰い、何度購入したことか。祖父は優しく、何度も何度も100円硬貨をくれて、キンケシのガチャガチャで遊ばせてくれました。親類のいる東京や神奈川に行くと、まがい物キンケシのガチャガチャがあることを知り、たくさん購入し、学校で自慢したこともありました。レアモノのキンケシが出て、喜びの余り見せびらかしているうちに人に貸して返らなくなり、悲しみました。当時珍しかった正規品のスペシャルマンです。ガチャガチャの機械は故障することがあり、硬貨を入れてもカプセルが出て来ない時は店員に開けてもらい、好きなのをもらいました。意外にそれが楽しみでした。本書を読み、たくさんの思い出がよみがえりました。
しかし、当時は子供心に薄々感じていました。ゆでたまご先生は絵のタッチが変化し過ぎて上手ではないのかな?とかストーリーの矛盾が多いな〜など。本書ではその真相が少し書かれています。ここでは割愛しますが、初代担当編集者の中野氏の存在が大きく、作品としてのキン肉マンはもはや、ゆでたまご+中野氏の共同作業により出来上がったのだと本書を通じて理解できました。
嶋田氏の転職への戸惑いや東京での慣れない一人暮らしの思い悩み、中井氏の絵柄に対する葛藤、両氏が仕事を忘れるほど女性に狂ってしまった問題、そして長期間のスランプ。そこへ中野氏をはじめ、助け船が出現します。彼らは周囲の人々に恵まれていたことがよくわかりました。
私の少年時代は藤子不二雄、松本零士、特撮は石ノ森章太郎など神様のような凄い漫画家が全盛期で、なぜかゆでたまご先生は、近所にいそうな身近な人のイメージがありました。不器用さが、ファンである子供たちに作品を通じて伝わったのだと思います。だから、キン肉マン終了後のスランプ期はヒットがなくて心配の眼差しで見ていました。
そして、ゆでたまご先生はキン肉マンを通じてたいへん重要なことを教えてくれました。「友情」の大切さです。特に作品の後半は「友情」というキーワードがこれでもかと出てきます。周囲の人々を思いやり、約束を守り、裏切らないこと。時には自分が犠牲になり他人の幸せや後の世代のために行動を起こすことで生まれる互いが信じ合える人間関係の重要性は、40代半ばに差し掛かった私自身、今も社会生活で痛感することが多々あります。現実社会はそれとは真逆の人々に出くわすことも少なくないです。現実は厳しいのです。しかし、少年時代に「キン肉マン」という教科書で学んだ「友情」はその厳しさに打ち勝つほどのメッセージでした。ゆでたまご先生が伝えたかった思いを私は愚直に大事にしていきたいです。
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