アメリカの葬儀会社の社長が死につつある中で、遺産を巡る葛藤があり・・・というお話。
上記だけだと何だか判らないと思うので、以下の書き込みでこの作品の要諦に触れますので、未読の方は読まないでください。
舞台設定で、死者が蘇る現象が起こるアメリカでの騒動を描いたミステリで、殺しても蘇るのに、何故連続殺人が続くのかという、かつてない状況でおこる事件を描いた前例のない魅力的な謎を提起した問題作で、発表当時から斬新と高く評価された記憶があります。それまで権威のあった社会派の作家が書かない(書けない)異様なミステリとして、この後の所謂バカミスにも多大な影響を与えた作品だと思います。
発表された89年くらいは、小説に限らず、音楽や世界史でも色々あった年でもあり、その2~3年前から台頭していた新本格の人との連動で、従来の推理小説から少し毛色の変わった作品が出始め、その後毛色の変わった作品が異色の作品から主流の推理小説としてスタンダードになった作品も多く、この小説もそういう作品だったと思いました。
ただ、書いた著者には葛藤があったらしく、「新本格ミステリはどのように生まれてきたのか? 編集者宇山日出巨追悼文集」という新本格の編集者だった方の追悼文集に依ると、一番最初に出した版元から冷遇されていて、他にも被害にあっている作家がいて、その版元から最後に出した作品もその版元と契約を終了したくて書いたとあるので、今回全面改稿して出版社が代わったのもそういう事情があったらしいです(因みに私もその出版社を怒らせたらしく、メールを送っても返事が来なくなりました)。
山口さんに関しては評論家の頃に出した、「ミステリーの友 ミステリー・グルメになるためのメニュー105」で知っておりましたが、こういう歴史に残る作品を書く作家になるとは思っていなかったので、意外と言えば意外ではありました。また、音楽が好きらしく、この作品でも色々有名な曲の歌詞等が雑学風に出てくる所も好印象でした。
推理小説のパラダイムを転換させた問題作。必読。
購入オプション
現在在庫切れです。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
生ける屍の死 Kindle版
ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った! この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか?自らも死者となったことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、果たして肉体が崩壊するまでに真相を手に入れることができるのか?著者会心の長編第一作!
*『このミステリーがすごい!'98年版』1988-1997 10年間のミステリーベスト10国内編 第1位
*『もっとすごい!!このミステリーがすごい!』1988-2008年版ベスト・オブ・ベスト国内編 第2位
*『このミステリーがすごい!'98年版』1988-1997 10年間のミステリーベスト10国内編 第1位
*『もっとすごい!!このミステリーがすごい!』1988-2008年版ベスト・オブ・ベスト国内編 第2位
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日1996/3/1
- ファイルサイズ1118 KB
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った。この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか。自らも死者となったことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、肉体が崩壊するまでに真相を手に入れることができるか。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
出版社からのコメント
[特典]
愛蔵版には巻末特典として以下を収録
〇語り下ろし執筆秘話インタビュー
〇30年ぶりに発見されたアイディアノート等、資料画像を初公開
〇当時の貴重な書評を転載
・「服部まゆみの風俗万華鏡」第5回/『へるめす』第23号(岩波書店、1990年)掲載
・真田啓介「第四の奇書」/『SRマンスリー』(1990年1月号)
・三橋暁書評/『本の雑誌』(1991年1月号)
〇「このミス」をはじめとする30年間の評価の推移
〇海外での受容について
〇ジャンルを超えた特別エッセイ
・新井素子
・糸谷哲郎 (日本将棋連盟)
・小泉義之(立命館大学教授)
・陸秋槎
さらに京極夏彦による「序文」も決定! --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
愛蔵版には巻末特典として以下を収録
〇語り下ろし執筆秘話インタビュー
〇30年ぶりに発見されたアイディアノート等、資料画像を初公開
〇当時の貴重な書評を転載
・「服部まゆみの風俗万華鏡」第5回/『へるめす』第23号(岩波書店、1990年)掲載
・真田啓介「第四の奇書」/『SRマンスリー』(1990年1月号)
・三橋暁書評/『本の雑誌』(1991年1月号)
〇「このミス」をはじめとする30年間の評価の推移
〇海外での受容について
〇ジャンルを超えた特別エッセイ
・新井素子
・糸谷哲郎 (日本将棋連盟)
・小泉義之(立命館大学教授)
・陸秋槎
さらに京極夏彦による「序文」も決定! --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山口/雅也
1989年『生ける屍の死』で長編デビュー。1995年『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
1989年『生ける屍の死』で長編デビュー。1995年『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.8
星5つ中の3.8
27 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2014年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ホラーのジャンルで検索したらこの作品に出会いました。ですのでてっきり最近の定番のサバイバルホラーのようなものだと思っていたら
思いっきりの勘違い、全く別物でいい意味で期待を裏切られました。
葬儀屋一族の末裔たち、そしてその内の1人である主人公の苦悩・・・・・。今までのゾンビ物語では味わえない物語です。
バイオハザードや今までのゾンビサバイバルホラー系のストーリーに辟易した人にはオススメです。
とにかく、この物語がどんな結末を迎えるのか?主人公の運命は?わくわくしながら読んでいます。
思いっきりの勘違い、全く別物でいい意味で期待を裏切られました。
葬儀屋一族の末裔たち、そしてその内の1人である主人公の苦悩・・・・・。今までのゾンビ物語では味わえない物語です。
バイオハザードや今までのゾンビサバイバルホラー系のストーリーに辟易した人にはオススメです。
とにかく、この物語がどんな結末を迎えるのか?主人公の運命は?わくわくしながら読んでいます。
2016年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ゾンビや終末設定の物語が好きで、評価も良かったので、手に取りました。がしかし、よみがえる死体はあくまでミステリーを構成する1つの要素でした。そうであっても、なぜここまで評価が高いのかあまりわかりませんでした。。。
のちに読んだ京極夏彦さんの姑獲鳥の夏のあとがきにも本書は絶賛されておりました。が、それでもやはり、良さはあまりわかりませんでした。姑獲鳥の夏も、個人的にはあまり好みでなかったので、本書も私の好みのカテゴリーが違ったのかもしれません。
本作は、特に中盤、、長すぎるバックボーンの記載や設定説明があり、読むのに疲れてしまいます。かと思えば少々雑に進む場面もあり、濃淡が激しく、テンポよく進めませんでした。また、個人的にはミステリーとして少々物足りなかったです。
辛口ですが、星1つです。
読む時期が変わればまた、何か感じるものがあるのかもしれないですが。
のちに読んだ京極夏彦さんの姑獲鳥の夏のあとがきにも本書は絶賛されておりました。が、それでもやはり、良さはあまりわかりませんでした。姑獲鳥の夏も、個人的にはあまり好みでなかったので、本書も私の好みのカテゴリーが違ったのかもしれません。
本作は、特に中盤、、長すぎるバックボーンの記載や設定説明があり、読むのに疲れてしまいます。かと思えば少々雑に進む場面もあり、濃淡が激しく、テンポよく進めませんでした。また、個人的にはミステリーとして少々物足りなかったです。
辛口ですが、星1つです。
読む時期が変わればまた、何か感じるものがあるのかもしれないですが。
2021年12月3日に日本でレビュー済み
この小説は死者が甦る世界である。通常の本格ミステリーであれば、殺害された人物は、真っ先に犯人役から除外してもよい。だが、本作ではその常識が通らない。死んだ者にもなんらかの「役」が与えられて小説内で動き回る。
推理しようにも、死者と生者が錯綜する世界では、理解が追いつかない。むしろ、その大混乱、大渋滞に、情報を追う気すら失せてしまう。
それにしても、死者が、死して、なお全うしなければならない「役」とはなんなのか? そこにこの小説の肝がある。
死とは本来、世界において「役」から強制的に降ろされてしまうことである。
この小説では死者に「役」が与えられることで、生きるとはどういうことか、またどういうことであるべきか、逆説的に「生」の概念に光が当てられる。
死者は甦るが、肉体が朽ちてしまえば、今度こそ確実な死がやってくるので、あくまでも甦りはかりそめのものである。
甦った死者は限られた時間の中で「役」を全うしようとするが、それはどうしても生者たちの目を憚ったものになってしまう。
死者はやはり生ける世界において、はぐれ者なのだ。それを死者は痛感している。生と死の違いをどの生者よりも深く理解している。
本作の主人公グリンとヒロインチェシャはパンク族であり、つまりもともと社会からのはぐれ者の立場である。
はぐれ者同士、チェシャがグリンと愛を交わそうとしたシーンでは、グリンが二重にはぐれ者になっていたことで、それが果たせず、死の本質的な哀しみが心に沁みる。
ラストは錯綜していた物語も整理され、落ち着くところに落ち着き、まあ、面白かったなという印象であった。
しかし、読了後、何日も頭の片隅に何か引っかかっているものがある。あの死と生に溢れた世界でもう一度グリンとチェシャに会いたいという気持ちが消えないのだ。
甦りによって「死」の意味はどこまでも軽くなっているはずなのに、筆致もどこかコミカルで小ネタに溢れ、むしろお巫山戯小説の印象さえあるのに、それでいて、なぜか読者に、死について、生について、真剣に考えさせる不思議な小説。
そう『生ける屍の死』は後になってじわじわと良さがわかってくる小説なのである。
本作が10年、20年、の時を経て評価を上げてきた理由がよくわかった。
いつのまにか私の頭の片隅には「メメント・モリ」が見事に刻みつけられていたのであった。
推理しようにも、死者と生者が錯綜する世界では、理解が追いつかない。むしろ、その大混乱、大渋滞に、情報を追う気すら失せてしまう。
それにしても、死者が、死して、なお全うしなければならない「役」とはなんなのか? そこにこの小説の肝がある。
死とは本来、世界において「役」から強制的に降ろされてしまうことである。
この小説では死者に「役」が与えられることで、生きるとはどういうことか、またどういうことであるべきか、逆説的に「生」の概念に光が当てられる。
死者は甦るが、肉体が朽ちてしまえば、今度こそ確実な死がやってくるので、あくまでも甦りはかりそめのものである。
甦った死者は限られた時間の中で「役」を全うしようとするが、それはどうしても生者たちの目を憚ったものになってしまう。
死者はやはり生ける世界において、はぐれ者なのだ。それを死者は痛感している。生と死の違いをどの生者よりも深く理解している。
本作の主人公グリンとヒロインチェシャはパンク族であり、つまりもともと社会からのはぐれ者の立場である。
はぐれ者同士、チェシャがグリンと愛を交わそうとしたシーンでは、グリンが二重にはぐれ者になっていたことで、それが果たせず、死の本質的な哀しみが心に沁みる。
ラストは錯綜していた物語も整理され、落ち着くところに落ち着き、まあ、面白かったなという印象であった。
しかし、読了後、何日も頭の片隅に何か引っかかっているものがある。あの死と生に溢れた世界でもう一度グリンとチェシャに会いたいという気持ちが消えないのだ。
甦りによって「死」の意味はどこまでも軽くなっているはずなのに、筆致もどこかコミカルで小ネタに溢れ、むしろお巫山戯小説の印象さえあるのに、それでいて、なぜか読者に、死について、生について、真剣に考えさせる不思議な小説。
そう『生ける屍の死』は後になってじわじわと良さがわかってくる小説なのである。
本作が10年、20年、の時を経て評価を上げてきた理由がよくわかった。
いつのまにか私の頭の片隅には「メメント・モリ」が見事に刻みつけられていたのであった。


