【黒澤明さんの映画 「生きる」】
お世話になった上司が強く勧めるので観て感銘を受けました。
米「Time」誌が選んだ名作映画100選の中に黒澤作品が二本あり、そのうちの一本が『生きる』です。同時に同誌は『1950年代の最高傑作』としてこの作品を選んでいます。
30年近く役所の縦割りを犯さないように、波風立てないように生きて来た主人公のあだ名は「ミイラ」
冒頭のナレーションもすごい。
「これはこの物語の主人公の胃袋である。幽門部に胃ガンの兆候が見えるが、本人はまだそれを知らない。
これがこの物語の主人公である。しかし今この男について語るのは退屈なだけだ。何故なら彼は時間を潰しているだけだからだ。彼には生きた時間がない。つまり彼は生きているとは言えないからである。
だめだ!これでは話にならない。これでは死骸も同然だ。いや、実際この男は20年ほど前から死んでしまったのである。その以前には少しは生きていた。少しは仕事をしようとした事もある。しかし今やそういう意欲や情熱は少しもない。
そんなものは役所の煩雑すぎる機構と、それが生み出す無意味な忙しさの中で、全く磨り減らしてしまったのである。忙しい。全く忙しい。
しかしこの男は本当は何もしていない。この椅子を守る事以外は。そしてこの世界では地位を守るためには何もしないのが一番いいのだ。しかし一体これでいいのか。。一体これでいいのか!
この男が本気でそれを考え出すためには、この男の胃がもっと悪くなり、そしてもっと無駄な時間が積み上げられる必要がある。」
そんな中で、いくつかの経験を重ねていき、ミイラから蘇り「生きる」姿がグッときます。縦割り組織の難しさとその突破口となるヒントを感じられます。社会風刺も上手に描かれてます。
「命短し、恋せよ乙女」を歌いつつブランコに揺れるシーン、背後でハッピーバースデーが歌われる中で階段を降りるシーンは、とても美しい。
良い作品でした。行政や縦割り組織で働く方々に、ぜひ観ていただきたい名作です。
ここからはネタバレですので、ご注意ください。
胃癌で余命が半年という現実に直面してから人生を振り返る主人公。息子への愛情も一方通行でうまく伝わらない。
そんな中、どう生きるか自分自身に刹那的に問いかけて行動します。「人生の主人公になろうとするために人生楽しく生きることに貪欲になることが重要」という知人と行動して何かを感じるものの満たされません。別の機会に「自分は息子のために耐えてきた」という説明に「息子のせいにしてるけど、それは自分で決めたことでしょう」という返答を受けてうつむいてしまいます。そんなこんなで2週間放浪して経験を重ねたことで何かに気づき、「私はただ毎日働いているだけ。課長さんも何かつくってみたら」という会話から、「自分にもできることがある」との閃きがあり、そこからの動きがすごかった。
勧めてくれた上司に感謝です。
生きる [DVD]
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フォーマット | ブラック&ホワイト, ドルビー |
コントリビュータ | 小田切みき, 千秋実, 伊藤雄之助, 志村喬, 橋本忍, 田中春男, 小堀誠, 金子信雄, 黒澤明 |
言語 | 日本語 |
稼働時間 | 2 時間 23 分 |
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メーカーによる説明
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生きる [Blu-ray] | 生きる[東宝DVD名作セレクション] | 生きる [DVD] | |
製品仕様 | Blu-ray | DVD | DVD |
発売日 | 2009/12/18 | 2015/2/18 | 2003/3/21 |
曲目リスト
商品の説明
Amazonより
無気力な日々を過ごしてきた公務員の渡辺(志村喬)は、ガンで後半年の命と知らされ、恐れおののき、嘆き悲しんだ末、市役所に懇願する人々の願にこたえて公園を作ろうと努力していく…。
黒澤明監督が、人間の尊厳を高らかにうたい上げたヒューマン・ドラマの傑作。そこにはどんな者であれ、人はここまで高められるのだという希望と同時に、ルーティンワークに甘んじる体制社会、およびそこに安住する人々への痛烈な批判も込められている。黒澤映画のいぶし銀、志村喬の代表作。自由奔放にふるまう部下のとよ(小田切みき)との交流の数々もせつなく印象的だ。後半、いきなり主人公の葬式シーンへと飛躍し、周囲の者が彼について回想し始めていくという構成も、実に大胆かつ秀逸。最期に主人公が公園で歌う流行歌『ゴンドラの歌』は、本作の功績によって今ではスタンダードな名曲として讃えられている。(的田也寸志)
レビュー
監督・脚本: 黒澤明 脚本: 橋本忍/小国英雄 撮影: 中井朝一 音楽: 早坂文雄 美術: 松山崇 出演: 志村喬/小田切みき/小堀誠/金子信雄/千秋実/菅井きん/宮口精二/加東大介
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
登録情報
- アスペクト比 : 1.33:1
- Is Discontinued By Manufacturer : いいえ
- 言語 : 日本語
- EAN : 4988104021519
- 監督 : 黒澤明
- メディア形式 : ブラック&ホワイト, ドルビー
- 時間 : 2 時間 23 分
- 発売日 : 2003/3/21
- 出演 : 志村喬, 小田切みき, 伊藤雄之助, 小堀誠, 金子信雄
- 字幕: : 日本語
- 言語 : 日本語 (Mono)
- 販売元 : 東宝
- ASIN : B000086F7R
- 原産国 : 日本
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 17,073位DVD (の売れ筋ランキングを見るDVD)
- - 861位日本のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.5
星5つ中の4.5
446 件のグローバル評価
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1953年頃に封切上映されて多くの人に感動を与えた映画です。2021年1月に74歳の私が見ても深い感動を与えてくれます。最近気づいたのですが、DVDレンタルでは「喜劇」のジャンルに類別されていました。 なるほど、随所に痛快な笑いを誘うシーンがあります。また、お役人の世界の負の部分が痛烈に描かれていて見事です。この映画が作られてから70年近くたった今でもまだ「あるある」と感じます。勿論、改善されたことも少なくはないのですが・・・。 映画の専門家ではない若い人にも、たまにはこんな映画を見て欲しいとつくづく思います。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年2月11日に日本でレビュー済み
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28人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年9月11日に日本でレビュー済み
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職場の上司にオススメされて視聴しました。
結論から言って「心に残る作品」です。
細かい内容はこの先、忘れていくと思いますが内容はいつでも鮮明に思い出せるでしょう。
ただ興味の薄い方、なんとなく観てみた。という方には眠くなる作品かも知れません。
ポテチとコーラ片手に楽しむような作品でもありません。
「もし明日死ぬなら?」という例えはよく聞きます。
そしてそれに対していろんな答えを耳にしてきましたが、心が動くような回答なんてないと思います。
1日でできることなんてたかが知れています。
本作のテーマは「もしあと半年の命だったら」。
この主人公の行動には本当に考えさせられました。毎日を「あと1日」と考えて過ごしても充実した人生にはならないでしょうが、この主人公のように行動するなら本当に充実した人生になると思います。
こどもの頃にはこんな感想を抱かなかったでしょう。
大人になって、働いてみて、
毎日が退屈な日々、充実感のない日々と感じたことのある人間が観て学べる。
新しくスタートできる。
そんな大人向け教科書といえる作品でした。
結論から言って「心に残る作品」です。
細かい内容はこの先、忘れていくと思いますが内容はいつでも鮮明に思い出せるでしょう。
ただ興味の薄い方、なんとなく観てみた。という方には眠くなる作品かも知れません。
ポテチとコーラ片手に楽しむような作品でもありません。
「もし明日死ぬなら?」という例えはよく聞きます。
そしてそれに対していろんな答えを耳にしてきましたが、心が動くような回答なんてないと思います。
1日でできることなんてたかが知れています。
本作のテーマは「もしあと半年の命だったら」。
この主人公の行動には本当に考えさせられました。毎日を「あと1日」と考えて過ごしても充実した人生にはならないでしょうが、この主人公のように行動するなら本当に充実した人生になると思います。
こどもの頃にはこんな感想を抱かなかったでしょう。
大人になって、働いてみて、
毎日が退屈な日々、充実感のない日々と感じたことのある人間が観て学べる。
新しくスタートできる。
そんな大人向け教科書といえる作品でした。
2021年12月7日に日本でレビュー済み
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黒澤明、小國英雄、橋本忍という日本を代表する脚本家が、同一シーンを同時に書いて一番いいものだけが残るという真剣勝負から生まれた名作。
実際のところ小國英雄は脚本を書かずに、司令塔として黒澤と橋本が書いてきた脚本に目を通して方向性を指摘したり、二人が行き詰まって立ち往生したときに解決策を考えたりしました。
主人公が自分の死が近くて、自分の命はさほど長くはないと知ったときに、一体どんなドラマが生まれるかを描ききった作品です。
この作品のテーマは、「自分の死が近いことを知って、自分の人生は無味乾燥な何の意味もない人生だったことに気づき、たった一つだけ小さなことを成し遂げて死んでいく」
この作品の後、この作品に触発されて同じテーマでたくさんの作品が作られました。
ドラマの構成が変わっています。作品の中頃で主人公が亡くなってしまいます。主人公が亡くなったあとの展開も素晴らしいです。
主人公が途中で亡くなってしまう構成は、小國英雄のアイデアだそうです。
この構成のおかげで、主人公の人生がミステリアスなものになり、謎解きが見るものを引きつけます。
この構成も映画作品に多大なる影響を与えました。
ぜひ! 黒澤明の代表作をじっくりと堪能して下さい☆
実際のところ小國英雄は脚本を書かずに、司令塔として黒澤と橋本が書いてきた脚本に目を通して方向性を指摘したり、二人が行き詰まって立ち往生したときに解決策を考えたりしました。
主人公が自分の死が近くて、自分の命はさほど長くはないと知ったときに、一体どんなドラマが生まれるかを描ききった作品です。
この作品のテーマは、「自分の死が近いことを知って、自分の人生は無味乾燥な何の意味もない人生だったことに気づき、たった一つだけ小さなことを成し遂げて死んでいく」
この作品の後、この作品に触発されて同じテーマでたくさんの作品が作られました。
ドラマの構成が変わっています。作品の中頃で主人公が亡くなってしまいます。主人公が亡くなったあとの展開も素晴らしいです。
主人公が途中で亡くなってしまう構成は、小國英雄のアイデアだそうです。
この構成のおかげで、主人公の人生がミステリアスなものになり、謎解きが見るものを引きつけます。
この構成も映画作品に多大なる影響を与えました。
ぜひ! 黒澤明の代表作をじっくりと堪能して下さい☆
2020年12月11日に日本でレビュー済み
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映画好きですが素人です。その素人が黒沢映画を評価しようなどと言うのはおこがましいことこの上ないのですが、それでも、心に思うところもあり、レビューします。ネタバレも含みますのでご注意を。
この作品は、要するに、官僚制機構の中で歯車として長く生き、生きがいを見いだせなくなっていた人物が、病をきっかけに自らの人生の意味探しを行い、最後の仕事に自らの存在意義をかけようという物語です。
結末は実際に映画をご覧になっていただくこととして、私としては、もう少し物語に幅が欲しいと感じました。
たとえば、どのような仕事であれ生きがいは見出せる…とは限りませんし、実際、ただの歯車として生きるしかない場合だってあるでしょう。そして、もがいてもがいて、それでも自らの人生に意味を見いだせない、そんな人生だって世の中にはいくらだってあるでしょう。官僚だけじゃないですよ。それでも、私は、彼ら一人一人の人生が無意味だったなんて、絶対に思いたくありません。けっして誰かからお礼の言葉を言われなくても、自ら人生の意味を感じられなくても、もしかすると知らない誰かの役に立っているという場合だってあるのではないでしょうか。
かくいう私自身、特別な能力もなく、うだつも上がらず、高い地位に上がろうというバイタリティもなく、今なお深い霧の中を歩んでいるような人生を送っていますが、それでも、若い人々に出会う機会があり、彼らの人生が多くの可能性に満ちているにもかかわらず、様々な大人たちの作ったシステムの都合で空転してしまっているのを見ると、言いようのない悔しさや、それでも、前に進もうともがきゆく彼らの命の燃える姿に心震え、ただ社会一般に有用な自己の証明としての活動ではなく、歪んだ思いかもしれないけれど、目の前の人々が少しでも笑顔になれるよう精いっぱい生きるのだって良いんじゃないか、そんな、とても素朴な歩みを思ってしまう。
この黒沢映画も、そんな思いと根底では軌を一にしているのかもしれないけど、なにも、立場的に偉い人が主人公じゃなくったって良かったんじゃないか(そうでないと、物語的に困ってしまうのだろうけど)、僕は、銀座で撮らせてもらったホームレスの人の写真に、自らの「生きる」ことの原点や自らとの共通点を今も強く感じるように、そこにこそ命のつながりと情熱とを感じてしまう。
だから、私には、なにかが足りないと、この映画には感じてしまった。砦の三悪人とかは好きなんですけどね。
この作品は、要するに、官僚制機構の中で歯車として長く生き、生きがいを見いだせなくなっていた人物が、病をきっかけに自らの人生の意味探しを行い、最後の仕事に自らの存在意義をかけようという物語です。
結末は実際に映画をご覧になっていただくこととして、私としては、もう少し物語に幅が欲しいと感じました。
たとえば、どのような仕事であれ生きがいは見出せる…とは限りませんし、実際、ただの歯車として生きるしかない場合だってあるでしょう。そして、もがいてもがいて、それでも自らの人生に意味を見いだせない、そんな人生だって世の中にはいくらだってあるでしょう。官僚だけじゃないですよ。それでも、私は、彼ら一人一人の人生が無意味だったなんて、絶対に思いたくありません。けっして誰かからお礼の言葉を言われなくても、自ら人生の意味を感じられなくても、もしかすると知らない誰かの役に立っているという場合だってあるのではないでしょうか。
かくいう私自身、特別な能力もなく、うだつも上がらず、高い地位に上がろうというバイタリティもなく、今なお深い霧の中を歩んでいるような人生を送っていますが、それでも、若い人々に出会う機会があり、彼らの人生が多くの可能性に満ちているにもかかわらず、様々な大人たちの作ったシステムの都合で空転してしまっているのを見ると、言いようのない悔しさや、それでも、前に進もうともがきゆく彼らの命の燃える姿に心震え、ただ社会一般に有用な自己の証明としての活動ではなく、歪んだ思いかもしれないけれど、目の前の人々が少しでも笑顔になれるよう精いっぱい生きるのだって良いんじゃないか、そんな、とても素朴な歩みを思ってしまう。
この黒沢映画も、そんな思いと根底では軌を一にしているのかもしれないけど、なにも、立場的に偉い人が主人公じゃなくったって良かったんじゃないか(そうでないと、物語的に困ってしまうのだろうけど)、僕は、銀座で撮らせてもらったホームレスの人の写真に、自らの「生きる」ことの原点や自らとの共通点を今も強く感じるように、そこにこそ命のつながりと情熱とを感じてしまう。
だから、私には、なにかが足りないと、この映画には感じてしまった。砦の三悪人とかは好きなんですけどね。
2020年5月31日に日本でレビュー済み
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有名作品で断片を聞いている方は「重いかな」と思うかもしれませんが、ブラック風味の喜劇テイストです。
喜劇のなかに、相性悪そうなシリアスな主題を置いていて、それが両立しているバランスのよさ。
それは静かに強烈な存在感を放つ志村喬の存在感によるものかと思います。終始うつむいて頼りなさげな表情は、物凄い説得力がありますね。
そのうえで、あおりカットで(白黒でも美しさがわかる)夕焼け風景に顔を上げて気づけることができた、という流れは爽快感があります。
演出で気に入っているのは、ハッピーバースデー後は時間を遡る大胆な流れになっていること。
喜劇的なフックを狙ったかもしれませんが、ハッピーバースデー後を完全な第三者視点に割り切ることで「覚醒して迷いの無い主役寄りの観点」よりも繊細に生きざまを描けている気がします。
主役寄りだと平板な感じになり、ともすると間に合うのか的なタイムサスペンス風味も出て物語の邪魔をしそうです。
昔の作品で聞き取りづらい部分もあるため、劇中に流れる「ゴンドラの唄」は歌詞を参照しておくといいかもです。
他の小さいツボは
・通夜の酔っぱらいのグダグダ感が昭和ぽくてよい。左卜全は稀有な存在感ですね。
・金子信雄が若くて最初わかりませんでした。
あたりですね。
喜劇のなかに、相性悪そうなシリアスな主題を置いていて、それが両立しているバランスのよさ。
それは静かに強烈な存在感を放つ志村喬の存在感によるものかと思います。終始うつむいて頼りなさげな表情は、物凄い説得力がありますね。
そのうえで、あおりカットで(白黒でも美しさがわかる)夕焼け風景に顔を上げて気づけることができた、という流れは爽快感があります。
演出で気に入っているのは、ハッピーバースデー後は時間を遡る大胆な流れになっていること。
喜劇的なフックを狙ったかもしれませんが、ハッピーバースデー後を完全な第三者視点に割り切ることで「覚醒して迷いの無い主役寄りの観点」よりも繊細に生きざまを描けている気がします。
主役寄りだと平板な感じになり、ともすると間に合うのか的なタイムサスペンス風味も出て物語の邪魔をしそうです。
昔の作品で聞き取りづらい部分もあるため、劇中に流れる「ゴンドラの唄」は歌詞を参照しておくといいかもです。
他の小さいツボは
・通夜の酔っぱらいのグダグダ感が昭和ぽくてよい。左卜全は稀有な存在感ですね。
・金子信雄が若くて最初わかりませんでした。
あたりですね。
2021年6月13日に日本でレビュー済み
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70年前の映画だが、死に直面した時人は何を考えるかを問う普遍的なテーマは今も昔も変わらない。
とはいえ、当時の時代全体を切り取ったような描写、社会や風俗が事細かに描かれているのが興味深い。また人間の顔って三世代でこんなにも変わっていくのかと単純に驚いた。
子供の頃、祖父の家に仕事関連の人、親戚一同が集まって夜更け迄語らっていた風景を思い出した。お節介でうるさくて、でも何処か憎めない温かさがあの頃の世の中にはあった気がする。
主人公が最期に救われた気持ちで旅立っていくラストには希望がある。
とはいえ、当時の時代全体を切り取ったような描写、社会や風俗が事細かに描かれているのが興味深い。また人間の顔って三世代でこんなにも変わっていくのかと単純に驚いた。
子供の頃、祖父の家に仕事関連の人、親戚一同が集まって夜更け迄語らっていた風景を思い出した。お節介でうるさくて、でも何処か憎めない温かさがあの頃の世の中にはあった気がする。
主人公が最期に救われた気持ちで旅立っていくラストには希望がある。
ベスト1000レビュアー
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素晴らしい映画であることは認めたうえで。
この作品のつくられた時代から数十年がたった。ライフステージに関する価値観、考え方は大きく変わっている。まず、こんなに内向的でハンコつくしかできない、部下の監督・指導をしない課長は存在できないだろう。降格した方が組織のため、何より自分のためだ。令和は中間管理職がのほほんと席に居られる時代ではなくなった。上からも下からもやいのやいのいわれるし、自分も上や下にやいのやいの言わねばならないのが令和の課長なのだ。
また、劇中の志村喬の役が、あまりにも遊びを経験せず、現在に至ったように見える描写があるが、さほど遊んでいない私から見ても、五十代後半で、浮気はしないにしても、盛り場のひとつもガイドされて初めて遊んでいる姿は今となっては不自然なくらいに感じる。戦後間もない時代の役所の課長はああいうものだったのだろうか、と思いながら観た。
前半は、ただただ、むやみに生きている時間を浪費するがごとき展開。観ていてつらかった。
後半、本当の意味で「生きる」ことに目覚めて、何かを成し遂げようとする姿には、大いに感動した。
この作品のつくられた時代から数十年がたった。ライフステージに関する価値観、考え方は大きく変わっている。まず、こんなに内向的でハンコつくしかできない、部下の監督・指導をしない課長は存在できないだろう。降格した方が組織のため、何より自分のためだ。令和は中間管理職がのほほんと席に居られる時代ではなくなった。上からも下からもやいのやいのいわれるし、自分も上や下にやいのやいの言わねばならないのが令和の課長なのだ。
また、劇中の志村喬の役が、あまりにも遊びを経験せず、現在に至ったように見える描写があるが、さほど遊んでいない私から見ても、五十代後半で、浮気はしないにしても、盛り場のひとつもガイドされて初めて遊んでいる姿は今となっては不自然なくらいに感じる。戦後間もない時代の役所の課長はああいうものだったのだろうか、と思いながら観た。
前半は、ただただ、むやみに生きている時間を浪費するがごとき展開。観ていてつらかった。
後半、本当の意味で「生きる」ことに目覚めて、何かを成し遂げようとする姿には、大いに感動した。