HONZの紹介で本書に出会った。書評を集めた本を読むことの意義を強く認識したところである。
それほど本書は面白かった。米国の高校生達が「科学のオリンピック」に参加する姿を描き出す
ノンフィクションだ。読んでいて以下二点が感想となった。
一点目。米国の力の源泉を垣間見た気がした。
本書を読む限り、米国は極めて「開かれた」社会である。「科学のオリンピック」の参加者は
まさに「科学者」であることだけが条件である。いや、実際に参加している高校生達は、若しかしたら
自身を科学者だと思っていないかもしれない。ただ自分の好きなことに打ち込み、その結果を他人と
共有したいと思っているだけかもしれない。
そんな「思い」に対して、機会を与え、結果に対しては真摯に評価する姿勢の清々しさは本書の
通奏低音である。米国がどこまで「開かれた社会」かどうかは僕には分からない。最近の大統領選挙の
結果を見ても、閉塞感が強い社会のような気もする。但し、かつ一方、本書が描き出している米国の
もう一つの一面を見る限り、まだまだ社会を「開こう」としていく基本的な姿勢は健在に見える。
日本にはまだまだ不足している部分だろう。
二点目。改めて人間の持つ好奇心の強さに感銘を受けた。
本書に登場する高校生達の好奇心は並大抵ではない。勿論、ここに登場する高校生達が特別に
好奇心が強いことは論を待たないだろう。但し、大なり小なり人というものは好奇心の動物
である。人間という哺乳類がここまで繁栄しているのは、好奇心を持つ点にあると僕は思う。
そんな人類の歴史の短縮版が本書の精髄と言える。
好奇心とは、それにしても、何なのだろうか。「天才とは普通の人が問題を発見しないものに問題を
見出す人である」という定義をどこかで読んだ記憶がある。「好奇」とは「奇を好む」と書く。「奇」
とは何なのか。「常ではないもの」という意味なのかもしれない。「常」の中に「常ならざるもの」を見つけて
好むという姿勢は、本書で紹介される子供たちに通底しているのではないか。
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