『理性の限界』の発行からちょうど1ヶ月が過ぎました。幸いにも読者の皆様から大変温かく受け入れていただき、すばらしい書評の数々を頂戴し、おかげさまで版も3刷を重ねることができました。著者としましては望外の喜びであり、読者と関係者の皆様に深く感謝しております。誠にありがとうございます。
以前から私は、難解な話をわかりやすく楽しく進めるためには「雑談」が最も有効なのではないかと思っていました。そこで本書も、なによりも読者の皆様に「知的刺激」を味わっていただくことを目的に、多彩な登場人物がシンポジウムで自由闊達に議論を繰り広げるという形式にしました。改めて数えてみたところ、登場人物は次の36名でした。
司会者・会社員・数理経済学者・哲学史家・運動選手・生理学者・科学社会学者・実験物理学者・カント主義者・論理実証主義者・論理学者・シェイクスピア学者・大学生A・国際政治学者・フランス社会主義者・フランス国粋主義者・心理学者・A候補・B候補・C候補・D候補・E候補・情報科学者・急進的フェミニスト・映像評論家・ロマン主義者・法律学者・科学主義者・科学史家・方法論的虚無主義者・相補主義者・ロシア資本主義者・大学生B・大学生C・大学生D・大学生E(登場順)。
さて、某教授から夜中に酔声で電話が掛かってきて「あのカント主義者というのは、まさか僕のことではないだろうね?」と聞かれたのですが、とんでもないことです。「おわりに」にも書きましたように、本書の登場人物は、あくまで議論の進展に都合がよいように生み出した「架空の人物像」に過ぎません。具体的なモデルが現実世界に存在するわけではありませんので、ご了承いただけましたら幸いです。
とはいえ、不思議なことに、書き進めていくうちに登場人物が勝手に個性を発揮し始めたことも事実です。現在の彼らは、『理性の限界』で議論し尽くすことのできなかった「限界論」に関わる題材について、再びディスカッションを開始した模様です。その結果が発行されましたら(いつのことになるのかは、わかりませんが)、またご笑覧いただけますように、よろしくお願い申し上げます。
2008年7月17日 高橋昌一郎
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著者について
高橋 昌一郎
1959年生まれ。國學院大學文学部教授。専門は、論理学・哲学。主要著書に『理性の限界』『ゲーデルの哲学』(以上、講談社現代新書)、『哲学ディベート』(NHKブックス)、『科学哲学のすすめ』(丸善)、『環境と人間』(共著、岩波書店)、『パラドックス!』(共著、日本評論社)などがある。
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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高橋/昌一郎
1959年生まれ。ミシガン大学大学院哲学研究科修士課程修了。現在は、國學院大學文学部教授。専門は、論理学・哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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