全国に残るオリジナルの状態の天守閣を訪ねて回る旅行記です。旅情と歴史とデータをうまくミックスした紀行文でよみやすい。天守閣でも復興天守の方が圧倒的に多いが、こちらは概ね鉄筋コンクリート造で博物館になっていることが多い。そうすると自然、建物は脇役で眺望と収蔵品に目が行く。しかしオリジナルの現存天守はそれ自体が歴史の生き証人だ。建物としては強度不足のものなので博物館の様な用途を担うことは無い。その柱、床板、天井の木目、瓦、石垣などその一つ一つが生き抜いていた時代を語る。筆者はその声を聴きながら文章を紡ぐ。
ただ、それがさほど響かないのはどうしたものか。挿入されるエピソードがどれも観光パンフレットに載っていそうなものだからだろうか。対比して描かれているはずの現代の風景がありきたりだからか。少なくともこの本を読んで現存天守を見に行きたいとまでは思わない。
ただ、今度の連休に旅行するのに行先を選ぶ参考にはなる。
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