著者は心理学の専門家で、被害者の心のケアを仕事にしている人です。
犯罪被害者のインタビューをそのまま乗せるなど、生の声を中心につづられた本です。
法律をかじったことのある私には、「被害者の権利実現といったって、その復讐心で加害者の更正の邪魔や行き過ぎた厳罰化なんてもっての他だろ!」と思っていました。ですから、「加害者の気持ちや情報が伝わらない」からと、被害者保護制度を整える昨今の新聞報道の実情も、本当はわかっていなかったんだと思います。
その文中には「被害者のボロボロになった心に向き合ってきた人間」として、これから被害者に関わる人や法律家への辛口の言葉がちりばめられています。
「がんばれというけど、なにをがんばったらいいの?」「忘れろだなんて、寿命で親を無くした人と、殺されて死んだのとは全然違うのにわかったようなこといって!」といった、生の声を中心に掲載されています。被害者へのインタビューのレポートや、NHKの報道の文章化でつづるゆえに、多少本としては読みにくいと思います。けれど、生の声であるがゆえに、静かで集中できる環境で自分の想像力を最大限発揮して読めば、心の奥底に一生影響するような重みのある本でもあります。
新聞報道やワイドショーで扱われる「人間」への扱いを深く考えさせられる本です。司法に関わる方、ワイドショーなどの報道に疑問を感じている方、周りに犯罪被害者になった方がいてその接し方に迷っている方、そしてご自身が被害にあわれ、絶望のふちにいる方にも読んでもらいたい本です。
生の警察の対応、医療機関の対応、弁護士の対応などものっているので、関係機関の方や興味のある方、ぜひ流し読みをせず、自分に置き換えて呼んでいただければ、犯罪に対しての見方が変わると思います。これから法曹を目指す若い受験生も、小西さんの本としては全体に渡って伸べられた入門書的な趣もあるのでぜひ一度読んでみて下さい。
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