チベット出身のペマ・ギャルポ氏は、昭和40(1965)年12月、12歳の時に日本に留学生として迎えられ、文化の違いに戸惑いながらも、周囲の人々の協力により、日本に対する理解を深めていった。ギャルポ氏が感服したのが、日本人の公共心の高さと「おかげさま」という言葉である。何かを成し得たときに、自分だけの力だと考える傲慢さを捨てて、この結果は自分を応援してくれた全ての人々のおかげによるものだと受け止める。その精神は、個々人の生き方だけでなく、これからの時代、世界が必要としているものである。
その素晴らしい日本社会の秩序や倫理が、1980年以降、「自由」「プライバシー」「国際化」といった掛け声のもと、どんどん破壊されていったことを残念がっている。個人の自由を無制限に拡張していけば、その自由を規制するルールを国民皆で作り上げていこうというのが、民主主義の根本的な姿勢である。つまり、自由と民主主義は、ある意味対立する概念で、だからこそその両方が必要なのである。
ギャルポ氏は、中国がチベットを侵略し、民衆を虐殺したことは許してはならない行為だが、チベット側にも多くの過ちがあったことを認めなければならないとしている。チベットで大きな勢力となっていた僧侶たちが国防のための近代的な軍隊の必要性を重要視しなかったのは、中国の侵略に対して決定的な弱点だった。更に、国連への加盟にも批判的だったことが、国際社会の支援を受けにくくした。当時のチベット人社会は、あまりにも過去の伝統と信仰にとらわれ、時代の変化を理解していなかった。国内の団結力のなさ、国際感覚のない一国平和主義、外交交渉の不手際などがチベットを滅ぼした原因であると認めざるを得ないと述べている。
同時にギャルポ氏は、現在の日本国の憲法前文と第9条を守るべきだとする日本の知識人、政治家の発言は、かつてのチベットを滅ぼした言説とまるで同じ幻想にとらわれたのもののように思えると述べている。この憲法は、自国を軍隊によって防衛し、主権を守る意識を喪失した国家の姿にしか見えない。日本国が国際平和を希求し、戦争を放棄しても、相手国が同じ考えに立ってくれるとは限らない。
9条を守れという人たちの中には、たとえ侵略軍に占領されても、非武装を訴える人もいる。が、侵略者に植民地化された実態を知るギャルポ氏は、他民族に支配されるという現実を知らない人の戯言にしか聞こえないと言い、1950~1976年のチベット人犠牲者数は120万7387人だと述べている。
未だに、外国の軍隊が侵略してきても、白旗を挙げればいい、占領されても平和が守れればいいという類の議論をする人がいるようだが、それは日本がアメリカによる占領以外に他民族に占領支配された経験がないから言えることである。占領した相手が知性と法律をもって支配してくれる保証などどこにもなく、チベットのように二級市民として扱われ、何の権利もない状態に置かれることがいかに悲惨であるかを考えれば、そのようなことを軽々しく言えるものではないという。
日本の選挙では、外交や防衛というテーマが必ずしも選挙における得票につながらないという現実があり、このことも変えていかなければ、真の意味での国防体制は作れないと述べている。
安倍首相は、何とかして戦後レジームからの脱却を図り、日本が国際社会で役割を果たすための環境整備をしようとした。しかし、リーダーだけが頑張っても、政治が前に進むことは難しい。国民全体、政党全体が、国にとって一番重要な政治課題は何か、どの方向に日本が向かうべきかを判断する基準を持つ必要がある。
日本国が守るに値する国だという意識を国民が持たなければ、決して国が強くなることはない。国が強くなることということは、まず国民全体が社会に貢献する意思を持つということだ。そのためには、少なくとも法律をきちんと守って生きていれば、衣食住を保証されるという、かつて日本ではその価値が認められていた福祉国家的なシステムが「国防」のためにも必要なのである。
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犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人 単行本(ソフトカバー) – 2018/2/10
ペマ・ギャルポ
(著)
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来日52年の集大成
日本は第2のチベットになる!
チベット人犠牲者1,200,000人
日本人よ、中国の属国になってもいいのか?
中国による巧妙な侵略計画は
日中国交正常化から既に始まっていた!
なぜ「寛容の国」は滅ぼされたのか?
「平和憲法」という幻想に惑わされるな!
チベットには、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめたくさんいた。
しかし中国は、そんなチベット人を無慈悲にも、大量に虐殺したのだ。
侵略の実態を知るチベット人には、「平和憲法を守れ」という声は、
他民族による支配の現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。
「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」
本書には、祖国を失ったチベット人の願いが込められている。
私は今は国籍を日本国としている。
一度祖国を失い、しかも同胞たちは虐殺の運命にさらされた。
それだけに、日本では、絶対に同様の悲劇が起きてほしくはない。
チベットにおける体験が、日本の方々に、少しでも役立つことを切に望む。(本文より)
日本は第2のチベットになる!
チベット人犠牲者1,200,000人
日本人よ、中国の属国になってもいいのか?
中国による巧妙な侵略計画は
日中国交正常化から既に始まっていた!
なぜ「寛容の国」は滅ぼされたのか?
「平和憲法」という幻想に惑わされるな!
チベットには、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめたくさんいた。
しかし中国は、そんなチベット人を無慈悲にも、大量に虐殺したのだ。
侵略の実態を知るチベット人には、「平和憲法を守れ」という声は、
他民族による支配の現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。
「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」
本書には、祖国を失ったチベット人の願いが込められている。
私は今は国籍を日本国としている。
一度祖国を失い、しかも同胞たちは虐殺の運命にさらされた。
それだけに、日本では、絶対に同様の悲劇が起きてほしくはない。
チベットにおける体験が、日本の方々に、少しでも役立つことを切に望む。(本文より)
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社ハート出版
- 発売日2018/2/10
- ISBN-104802400462
- ISBN-13978-4802400466
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商品の説明
出版社からのコメント
ペマ・ギャルポ氏は、今の日本が二つの大きな危機に
直面していると指摘する。一つは外的な危機、
もう一つは内的な危機である。
ペマ氏には、今の日本が、中国に侵略された祖国チベットに
重なって見えている。チベット侵略の原因そのものが、今の日本の
根幹に鎮座しているからだ。“平和憲法"のことだ。
チベットにも、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめ大勢いた。
しかし中国は、そんな彼らを無慈悲にも虐殺したのだ。
それを身をもって知るペマ氏には「平和憲法を守れ」という人達の言葉は
他民族支配の現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。
チベットが侵略された最大の原因は、僧侶達が国防のための
近代的な軍隊の必要性を認識していなかったからだ。
チベットの例は、どれだけ平和を願っても侵略は阻止できず
国防を忌避する姿勢が逆に侵略を招くことを示している。
東チベットではゲリラ活動が続いていたが、チベット中央では
抵抗するから中国を怒らせ、平和が損なわれるのだ
という雰囲気があったと言う。
今の日本のメディアの言説や、領海侵犯の中国船に対する
日本政府の対応とよく似ている。
次に内的な危機について。
ペマ氏の日本分析の深いところは、日本の強さの源泉は
「おかげさま」精神にある、と喝破している点だ。
かつての日本企業の強みも「おかげさま」精神にあった。
自社の成長だけを考えるのではなく、国全体の利益を考え、
社員を共同体の一員として守り、社員も会社のために尽くしてきた。
しかし、この美しい礼節、道徳、協調の共同体であった日本の精神は
GHQの統治後、徐々に壊れ、自らの手でも破壊し、
日本の強さが失われていった。
五輪の金メダル選手が「応援してくださった皆様のおかげで」
とコメントするのも、応援者が「日本人すごい」と自然に口に出るのも
両者ともに強い共同体意識があるからだ。
しかし残念なことに、「すごいのは日本人じゃない、選手だ」と
水を差す人達がいる。
これは共同体の中の「おかげさま」の関係を断ち切ろうとするもので
こういった思想が日本を害してきたのだ。
ペマ氏はダライ・ラマ法王を靖国神社に案内したことがある。
チベットにも、靖国の英霊達と同じく、捨て身の精神で中国に
立ち向かい、散っていった人達が大勢いた。しかしその記録は何も残されてない。
ペマ氏は靖国の存在をうらやましく思ったという。
国を失うということは、祖国のために命を捧げた英霊を
顕彰することもできなくなる、ということだからだ。
「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」
本書には、祖国を失ったペマ氏の願いが込められている。
直面していると指摘する。一つは外的な危機、
もう一つは内的な危機である。
ペマ氏には、今の日本が、中国に侵略された祖国チベットに
重なって見えている。チベット侵略の原因そのものが、今の日本の
根幹に鎮座しているからだ。“平和憲法"のことだ。
チベットにも、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめ大勢いた。
しかし中国は、そんな彼らを無慈悲にも虐殺したのだ。
それを身をもって知るペマ氏には「平和憲法を守れ」という人達の言葉は
他民族支配の現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。
チベットが侵略された最大の原因は、僧侶達が国防のための
近代的な軍隊の必要性を認識していなかったからだ。
チベットの例は、どれだけ平和を願っても侵略は阻止できず
国防を忌避する姿勢が逆に侵略を招くことを示している。
東チベットではゲリラ活動が続いていたが、チベット中央では
抵抗するから中国を怒らせ、平和が損なわれるのだ
という雰囲気があったと言う。
今の日本のメディアの言説や、領海侵犯の中国船に対する
日本政府の対応とよく似ている。
次に内的な危機について。
ペマ氏の日本分析の深いところは、日本の強さの源泉は
「おかげさま」精神にある、と喝破している点だ。
かつての日本企業の強みも「おかげさま」精神にあった。
自社の成長だけを考えるのではなく、国全体の利益を考え、
社員を共同体の一員として守り、社員も会社のために尽くしてきた。
しかし、この美しい礼節、道徳、協調の共同体であった日本の精神は
GHQの統治後、徐々に壊れ、自らの手でも破壊し、
日本の強さが失われていった。
五輪の金メダル選手が「応援してくださった皆様のおかげで」
とコメントするのも、応援者が「日本人すごい」と自然に口に出るのも
両者ともに強い共同体意識があるからだ。
しかし残念なことに、「すごいのは日本人じゃない、選手だ」と
水を差す人達がいる。
これは共同体の中の「おかげさま」の関係を断ち切ろうとするもので
こういった思想が日本を害してきたのだ。
ペマ氏はダライ・ラマ法王を靖国神社に案内したことがある。
チベットにも、靖国の英霊達と同じく、捨て身の精神で中国に
立ち向かい、散っていった人達が大勢いた。しかしその記録は何も残されてない。
ペマ氏は靖国の存在をうらやましく思ったという。
国を失うということは、祖国のために命を捧げた英霊を
顕彰することもできなくなる、ということだからだ。
「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」
本書には、祖国を失ったペマ氏の願いが込められている。
内容(「BOOK」データベースより)
チベットには、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめたくさんいた。しかし中国は、そんなチベット人を無慈悲にも、大量に虐殺したのだ。侵略の実態を知るチベット人には、「平和憲法を守れ」という声は、他民族による支配の現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」本書には、祖国を失ったチベット人の願いが込められている。
著者について
ペマ・ギャルポ
1953年、チベット・カム地方のニャロンに生まれる。1959年、中国軍の侵略によりインドに脱出。
1965年、日本に移住。
1976年、亜細亜大学法学部卒業。
1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。
現在、拓殖大学客員教授、チベット文化研究所所長、アジア自由民主連帯協議会会長。
2005年、日本に帰化。
主な著書に『チベット入門』(日中出版)、『「国」を捨てられない日本人の悲劇』(講談社)、
『中国が隠し続けるチベットの真実 仏教文化とチベット民族が消滅する日』(扶桑社)、
『立ち上がれ日本! 目醒めよ、麗しの国』(雷韻出版)、『日本人が知らなかったチベットの真実』
(海竜社)などがある。
1953年、チベット・カム地方のニャロンに生まれる。1959年、中国軍の侵略によりインドに脱出。
1965年、日本に移住。
1976年、亜細亜大学法学部卒業。
1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。
現在、拓殖大学客員教授、チベット文化研究所所長、アジア自由民主連帯協議会会長。
2005年、日本に帰化。
主な著書に『チベット入門』(日中出版)、『「国」を捨てられない日本人の悲劇』(講談社)、
『中国が隠し続けるチベットの真実 仏教文化とチベット民族が消滅する日』(扶桑社)、
『立ち上がれ日本! 目醒めよ、麗しの国』(雷韻出版)、『日本人が知らなかったチベットの真実』
(海竜社)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ギャルポ,ペマ
1953年、チベット・カム地方のニャロンに生まれる。1959年、中国軍の侵略によりインドに脱出。1965年、日本に移住。1976年、亜細亜大学法学部卒業。1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。拓殖大学客員教授、チベット文化研究所所長、アジア自由民主連帯協議会会長。2005年、日本に帰化。著書も多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1953年、チベット・カム地方のニャロンに生まれる。1959年、中国軍の侵略によりインドに脱出。1965年、日本に移住。1976年、亜細亜大学法学部卒業。1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。拓殖大学客員教授、チベット文化研究所所長、アジア自由民主連帯協議会会長。2005年、日本に帰化。著書も多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : ハート出版 (2018/2/10)
- 発売日 : 2018/2/10
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 272ページ
- ISBN-10 : 4802400462
- ISBN-13 : 978-4802400466
- Amazon 売れ筋ランキング: - 342,721位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 196位中国のエリアスタディ
- - 211位アジア・アフリカの地理・地域研究
- - 4,376位政治入門
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著者について
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2018年2月19日に日本でレビュー済み
祖国を奪われたチベット人として、著者が中国の侵略性、その巧みさ、そして日本側の甘さを指摘している部分は大変説得力がある。しかし同時に、この本は、著者が60年代半ばに来日し、日本文化に覚えた戸惑いと、その後、温かい日本人との交流で理解を深めていったことの記録でもある。さらには、60年代には日本社会が持っていた公的意識、職業倫理、共同体意識、日本型経営などが、特に80年代以後「国際化」「改革」「個性の尊重」といった美名のもとに、急速に解体していくことと、それによって日本社会が変質していったことを、中国の侵略同様の脅威であり、日本の内的解体であることを明確に警告していることだ。著者は安倍政権の外交には一定の評価を与えつつ、現在もこの社会の解体は続いていることを厳しく指摘している。本書が外的侵略への警告としてだけではなく、日本の社会の内部の解体の克服のための書としても読まれてほしい
2018年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
決して感情に任せて中国批判しているのではなく、日本人の琴線に触れるように淡々と実体験を織り交ぜて分かりやすく書かれています。
特にチベットが中国に侵略されていく過程を読むと、かつてチベットが侵略を受け始めた頃と今の日本の世論や情勢がそっくりである事に気がつき、背筋が凍りつくような恐怖を覚えました。
著者はインド経由で日本に亡命した後 戦前 戦中世代の日本の有志に支えられて今日がある事を恩義に感じ、現代の日本が祖国の二の舞になる事を憂いて本書を推敲してくれた事を、今の日本人は感謝しなければならないと思います。現代日本全国民 必読の良書。
特にチベットが中国に侵略されていく過程を読むと、かつてチベットが侵略を受け始めた頃と今の日本の世論や情勢がそっくりである事に気がつき、背筋が凍りつくような恐怖を覚えました。
著者はインド経由で日本に亡命した後 戦前 戦中世代の日本の有志に支えられて今日がある事を恩義に感じ、現代の日本が祖国の二の舞になる事を憂いて本書を推敲してくれた事を、今の日本人は感謝しなければならないと思います。現代日本全国民 必読の良書。
2018年12月22日に日本でレビュー済み
わたしは著者が長年、日本で苦労しながら祖国と同胞を救うことに尽力されてきたことに、心から敬意を表します。これからも中国の横暴な圧力に屈しないで、がんばっていただきたい。また日本と日本人への忠告にも感謝します。
しかしチベットと日本は根本的に異なる国です。かつて中国に唐王朝があった時代、チベットは吐蕃と呼ばれた軍事大国で、唐を圧迫していた時代もあるのです。さらにチベット人は商業民族としてもすぐれた素質を持っていました。しかし仏教を国教としてから、多くの男子が出家して僧侶になりました。多い時期には成人男性の2割が出家したといいます。そして結婚しない、子供をつくらない、遺伝子を残さない、経済活動もしない。その2割を残りの国民が食べさせていかねばならなかったのです。そうなってくると、国が傾き始めます。やがて中国から圧迫を受けるようになり、次いで中国の属国となり、ついには併合されてしまいました。
あまり知られていないことですが、僧侶になっても結婚できる国は日本だけです。日本も平安時代まで僧侶は結婚できなかったのですが、鎌倉時代になって、親鸞がどうしても結婚したい相手がいたため、結婚できることにしたのです。そのため結婚している日本の僧侶は、外国の僧侶から「あれは本物の僧ではない」と批判されることもあります。しかし日本には中世(封建時代)がありました。中世とは、男子が後継者として容赦なく鍛え上げられた時代です。封建時代の是非はともかく、発達した中世のあった国だけが近代国家に変貌できたのは歴史的事実なのです。これが日本の選んだ道だといえます。
チベット仏教が人類共通の貴重な精神遺産なのは承知していますが、それと近代国家運営をどう両立させるかは難しい問題です。チベット人は仏教という貴重な遺産を抱えながら、古代国家のまま存続することを選んだともいえます。これからのチベット人とチベット文化の未来に、幸あらんことを祈るばかりです。
しかしチベットと日本は根本的に異なる国です。かつて中国に唐王朝があった時代、チベットは吐蕃と呼ばれた軍事大国で、唐を圧迫していた時代もあるのです。さらにチベット人は商業民族としてもすぐれた素質を持っていました。しかし仏教を国教としてから、多くの男子が出家して僧侶になりました。多い時期には成人男性の2割が出家したといいます。そして結婚しない、子供をつくらない、遺伝子を残さない、経済活動もしない。その2割を残りの国民が食べさせていかねばならなかったのです。そうなってくると、国が傾き始めます。やがて中国から圧迫を受けるようになり、次いで中国の属国となり、ついには併合されてしまいました。
あまり知られていないことですが、僧侶になっても結婚できる国は日本だけです。日本も平安時代まで僧侶は結婚できなかったのですが、鎌倉時代になって、親鸞がどうしても結婚したい相手がいたため、結婚できることにしたのです。そのため結婚している日本の僧侶は、外国の僧侶から「あれは本物の僧ではない」と批判されることもあります。しかし日本には中世(封建時代)がありました。中世とは、男子が後継者として容赦なく鍛え上げられた時代です。封建時代の是非はともかく、発達した中世のあった国だけが近代国家に変貌できたのは歴史的事実なのです。これが日本の選んだ道だといえます。
チベット仏教が人類共通の貴重な精神遺産なのは承知していますが、それと近代国家運営をどう両立させるかは難しい問題です。チベット人は仏教という貴重な遺産を抱えながら、古代国家のまま存続することを選んだともいえます。これからのチベット人とチベット文化の未来に、幸あらんことを祈るばかりです。
2018年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても勉強になりました。有難う御座いました。チベット仏教にも興味を持ちました。
2018年3月31日に日本でレビュー済み
人口600万人といわれていたチベットは、中国の侵略で120万人が犠牲になった。人口の20%。現在の日本で考えると、2,540万人の犠牲者に相当する。
1949年に建国した中共は、「チベットを開発する」という交流のなかで道路建設にチベット人を強制労働させた。この道路は結局軍隊を送るのに利用され、軍事制圧を許してしまう。
現在の「一帯一路」が何を目指しているかを暗示するエピソードであろう。
本書はチベット滅亡で日本に亡命し、日本に帰化した著者が日本に対する提言を行っている。
1949年に建国した中共は、「チベットを開発する」という交流のなかで道路建設にチベット人を強制労働させた。この道路は結局軍隊を送るのに利用され、軍事制圧を許してしまう。
現在の「一帯一路」が何を目指しているかを暗示するエピソードであろう。
本書はチベット滅亡で日本に亡命し、日本に帰化した著者が日本に対する提言を行っている。