夏でも雪を頂く槍・穂高連峰の麓に横たわる上高地は、いまや観光客・登山者のメッカの名をほしいままにしている。針葉樹林に覆われドロノキなど広葉樹も茂る、その光景は千古の昔から斧の入ることのない原始風景のように思える。ところが江戸時代から松本藩の普請用材の切り出し場として、多くの杣人が入り、伐採された木材は筏を組んで梓川を通して松本藩へ運ばれ、江戸末期から明治初期にはあらかた有用な材は伐採されつくしていたという。いま我々が目にする光景は、やっと回復途上の森林風景に過ぎないという。
杣人が通った徳本峠の他に、便利な大滝山経由の道を拓き、上高地からさらに中山峠を越えて飛騨に至る米の道を切り拓く人々。肥沃な土壌に恵まれながら水不足に悩まされた安曇野に十ケ堰を拓いて米どころに変え、さらに余剰米を飛騨に運ぶ道の開拓に生涯を捧げた女主人公をしつらえて小説風に上高地開拓の歴史を解説した本書は、安曇野・上高地・そして飛騨の歴史を知る格好の読み物である。本書を紐解きながら山の日を過ごすのも一興と思われる。
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燃える山脈 山岳歴史小説 単行本(ソフトカバー) – 2016/6/3
穂高健一
(著)
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日本は自然災害列島です。天候異変の大飢饉に襲われた天明・天保時代はとても悲惨でした。信濃のあづみ野は荒れ果てた山野でした。資金も土木技術もない農民たちが手を取り、巨大な農水路「拾ヶ堰」などを開削し、日本随一の緑豊かな田園地帯に変えました。そのうえ、米不足で苦しむ飛騨国へ、あづみ野から常念山脈、上高地を経由し、飛騨山脈の2座を越えた「米の道」をつくりました。幕藩体制の枠組みが敵になり味方になり、数十年の歳月を要しました。若い男女、夫婦愛、郷土愛、山岳信仰など人間愛に満ちた、こころに響く作品です。
上高地はウエストンの時代に拓かれたものと思われている方が多いなか、天保時代に「米の道」の飛州新道の中継地、槍ヶ岳登拝基地として開かれたことも知っていただきつつ、播隆上人による槍ヶ岳開山にかかわるエピソードなども絡め、天明大飢饉から続く歴史的事実を、ぜひ小説で味わっていただきたい。
時代の流れに翻弄される安曇野の農民たち、徳川幕府の思惑、そして上高地の開拓の歴史を描いた長編歴史小説。
天明3(1783)年、浅間山の噴火が引き金となって天明大飢饉が起きた。
常念山脈の山麓・安曇平の農民たちは水不足で飢餓状態に陥るが、
大庄屋、等々力孫一郎は奈良井川から15キロに及ぶ巨大な「拾ケ堰」の開削を計画、
多々の悪条件を乗り越えて農水路を完成させる。
新田開発が進み豊かな安曇平になったが、一方では過剰生産による米価の暴落が起きる。
そこで米の販路を飛騨国へもとめるために、常念山脈(大滝山・蝶ヶ岳)、
上高地、飛騨山脈(焼岳)を越える「米の道」の開削が進められる。
安曇平の庄屋・岩岡伴次郎は私財を投げ打ち、上高地までの「伴次郎新道」を開削。
上高地の湯屋(宿屋)の経営に乗り出し、娘の志由(13歳)に宿をまかせる。
このころ播隆上人による槍ヶ岳の開山が行なわれ、上高地は飛州新道の中継地、
槍ヶ岳登拝基地として期待されるようになるが、天保の大飢饉が発生。
松本平から飛騨国へ米を運びたくても幕府直轄領の飛騨国は街道の開通を認めようとせず、湯屋は経営の危機に陥る。
飛州新道が開通し、上高地が栄える日は果たして来るのか…。
※長野県中信地方(松本市、塩尻市、大町市など)の地方紙「市民タイムス」に連載中の人気小説「燃える山脈」を単行本化。
上高地はウエストンの時代に拓かれたものと思われている方が多いなか、天保時代に「米の道」の飛州新道の中継地、槍ヶ岳登拝基地として開かれたことも知っていただきつつ、播隆上人による槍ヶ岳開山にかかわるエピソードなども絡め、天明大飢饉から続く歴史的事実を、ぜひ小説で味わっていただきたい。
時代の流れに翻弄される安曇野の農民たち、徳川幕府の思惑、そして上高地の開拓の歴史を描いた長編歴史小説。
天明3(1783)年、浅間山の噴火が引き金となって天明大飢饉が起きた。
常念山脈の山麓・安曇平の農民たちは水不足で飢餓状態に陥るが、
大庄屋、等々力孫一郎は奈良井川から15キロに及ぶ巨大な「拾ケ堰」の開削を計画、
多々の悪条件を乗り越えて農水路を完成させる。
新田開発が進み豊かな安曇平になったが、一方では過剰生産による米価の暴落が起きる。
そこで米の販路を飛騨国へもとめるために、常念山脈(大滝山・蝶ヶ岳)、
上高地、飛騨山脈(焼岳)を越える「米の道」の開削が進められる。
安曇平の庄屋・岩岡伴次郎は私財を投げ打ち、上高地までの「伴次郎新道」を開削。
上高地の湯屋(宿屋)の経営に乗り出し、娘の志由(13歳)に宿をまかせる。
このころ播隆上人による槍ヶ岳の開山が行なわれ、上高地は飛州新道の中継地、
槍ヶ岳登拝基地として期待されるようになるが、天保の大飢饉が発生。
松本平から飛騨国へ米を運びたくても幕府直轄領の飛騨国は街道の開通を認めようとせず、湯屋は経営の危機に陥る。
飛州新道が開通し、上高地が栄える日は果たして来るのか…。
※長野県中信地方(松本市、塩尻市、大町市など)の地方紙「市民タイムス」に連載中の人気小説「燃える山脈」を単行本化。
- 本の長さ440ページ
- 言語日本語
- 出版社山と渓谷社
- 発売日2016/6/3
- ISBN-104635320138
- ISBN-13978-4635320139
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
日本は自然災害列島です。天候異変の大飢饉に襲われた天明・天保時代はとても悲惨でした。信濃のあづみ野は荒れた山野でした。資金も、土木技術もない農民たちが手を取り、巨大な農水路「拾ケ堰」などを開削し、日本随一の緑豊かな田園地帯に変えました。そのうえ、米不足で苦しむ飛騨国へ、あづみ野から常念山脈、上高地を経由し、飛騨山脈の2座を越えた「米の道」をつくりました。幕藩体制の枠組みが敵になり味方になり、数十年の歳月を要しました。若い男女の恋、夫婦愛、郷土愛、山岳信仰など人間愛に満ちた、こころに響く作品です。
著者について
あづみ野の若い娘が徳川将軍を動かし、上高地を拓いた。 日本山岳会会員で山男の穂高健一さんが本作によって
祝日「山の日」と上高地記念大会を祝賀してくれることに感謝する。
全国「山の日」協議会会長 衆議院議員 谷垣禎一
祝日「山の日」と上高地記念大会を祝賀してくれることに感謝する。
全国「山の日」協議会会長 衆議院議員 谷垣禎一
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
穂高/健一
広島県生まれ、中央大学卒業。日本山岳会、日本文藝家協会、日本ペンクラブ(広報・会報委員)、日本写真協会、歴史時代作家クラブ、各会に所属。読売・日本テレビ文化センター、目黒学園カルチャースクールで「文学賞を目指す小説講座」、朝日カルチャーセンター「写真エッセイ教室」、淑徳大学・公開講座で「初心者の安全登山教室」「知られざる幕末史」の講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
広島県生まれ、中央大学卒業。日本山岳会、日本文藝家協会、日本ペンクラブ(広報・会報委員)、日本写真協会、歴史時代作家クラブ、各会に所属。読売・日本テレビ文化センター、目黒学園カルチャースクールで「文学賞を目指す小説講座」、朝日カルチャーセンター「写真エッセイ教室」、淑徳大学・公開講座で「初心者の安全登山教室」「知られざる幕末史」の講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 山と渓谷社 (2016/6/3)
- 発売日 : 2016/6/3
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 440ページ
- ISBN-10 : 4635320138
- ISBN-13 : 978-4635320139
- Amazon 売れ筋ランキング: - 901,600位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 2,800位登山・ハイキング (本)
- - 11,880位歴史・時代小説 (本)
- - 26,632位日本文学
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.8
星5つ中の3.8
4 件のグローバル評価
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年7月11日に日本でレビュー済み
登山をささやかな趣味としている私は、これまでも、北アルプス登山の玄関口として上高地には幾度も訪れた経験がある。
そのたびごとに、大自然の神々しいまでの巨大な風景に圧倒され、また季節や天候・時間帯等の違いに応じて千変万化する自然の姿に人智を超えるものとして心を奪われてきたところである。
今回、この「燃える山脈」を読むことによって、上高地の見方に新たな面が加わることとなった。この書によれば、江戸時代に安曇平から上高地を経て飛騨の国にまで至る半次郎新道、飛州新道が開かれたことは歴史的事実のようである。物理的な開削だけでも相当の難工事であることは想像に難くないが、これを阻む政治的・社会的な壁は遥かに高かったようである。本書はその開削を題材とした歴史的フィクションではあるが、その開削に携わった人々の思いを上高地の湯屋女将である岩岡志由を中心に(なんと、江戸時代の上高地には温泉付きの宿があった。なぜ、そうした施設が存在しえたのか、その理由も本書のテーマとも関連し本書の中に示されている)多様な人間模様の中で生き生きと伝えてくれる。残念ながら、この新道は幕末には閉鎖されてしまったが(その理由も、本書の中で示されている)、物事を成就するにおいて、いかなる困難も為せば為る、乗り越えることができるという生きる活力を与えてくれる一品と言えよう。
本書を通じて、上高地という土地に、自然だけではなく歴史と人間ドラマという新たな魅力が加わった。これから夏山シーズンを迎えるが、今度訪れる上高地は今までとは違う新たな姿を私に示してくれるに違いない。楽しみである。
そのたびごとに、大自然の神々しいまでの巨大な風景に圧倒され、また季節や天候・時間帯等の違いに応じて千変万化する自然の姿に人智を超えるものとして心を奪われてきたところである。
今回、この「燃える山脈」を読むことによって、上高地の見方に新たな面が加わることとなった。この書によれば、江戸時代に安曇平から上高地を経て飛騨の国にまで至る半次郎新道、飛州新道が開かれたことは歴史的事実のようである。物理的な開削だけでも相当の難工事であることは想像に難くないが、これを阻む政治的・社会的な壁は遥かに高かったようである。本書はその開削を題材とした歴史的フィクションではあるが、その開削に携わった人々の思いを上高地の湯屋女将である岩岡志由を中心に(なんと、江戸時代の上高地には温泉付きの宿があった。なぜ、そうした施設が存在しえたのか、その理由も本書のテーマとも関連し本書の中に示されている)多様な人間模様の中で生き生きと伝えてくれる。残念ながら、この新道は幕末には閉鎖されてしまったが(その理由も、本書の中で示されている)、物事を成就するにおいて、いかなる困難も為せば為る、乗り越えることができるという生きる活力を与えてくれる一品と言えよう。
本書を通じて、上高地という土地に、自然だけではなく歴史と人間ドラマという新たな魅力が加わった。これから夏山シーズンを迎えるが、今度訪れる上高地は今までとは違う新たな姿を私に示してくれるに違いない。楽しみである。