ギャンブルで子会社に106億8千万の損害を出した (元)大王製紙会長 井川意高氏による著書である。懴悔録とあるが生い立ちから始まり、家族関係、学生生活、大王製紙での勤務/経営、そして問題となったカジノでのギャンブルを含め、逮捕と収監、現在に至るまでが語られている。
ギャンブルに嵌るまでは、父親のバックアップあれど、年間70億円の赤字を抱えた子会社をトントンの収支まで回復させたのであるからビジネスマンとして全うしていたのは事実なのであろう。危機感を持ちながら金融機関との折衝で苦労しているのが分かる。東大出身の頭脳を持ち、その金策経験と「カネ」の重要性を認識していながらも、その後ギャンブルへ注ぎ込んでしまう。はたから見ると疑問だらけだ。
「500万を4時間かけて2000万円まで出来たのだから、8時間で1億円から3億円に出来るはずだ・・・。」この言葉で思い出したのがパンドラの箱である。パンドラの箱で最後に残ったのは希望であったが、ギャンブルではその希望が身を滅ぼす。自分にとって極めて都合の良い希望は地獄への入り口、「もう一回、もう一回」が悪夢へと歩みたてる。カジノでは、ローリングバック(マカオのみ)、ジャンケット(仲介業者)の存在と決裁の早い金貸し、高級車での出迎えとVIPルーム、優越感を与えつつ人生を安易に狂わせるシステムが出来上がっている。製紙会社経営者であった著者が、「カネ」と言う”紙” に飲み込まれたのは皮肉としか言いようがない。
著者は、資金調達は「(子会社の)運転資金ではなく余裕資金を利用している」(P197~)、「書類偽造してまで資金を調達したわけではない」(P207)と弁明しているが不正は不正、謝罪しているものの、やはり企業のトップとして、同族経営としての傲慢さ、エリートとしての選民意識がどこかにあるのだろう。その他にも 謙遜しつつも自己顕示欲・自画自賛の強さ、自己弁護するような点も見受けられる。これは読み手側である我々庶民の僻みから来るものでは決してないだろう。
芸能人との付き合いについて記述されているが、予防線を張っているようにも思えた。火の粉を払いたいのか、週刊誌の噂を否定し、具体的な芸能人の名が次々と出しているが、この部分は何故か流暢で冗長だ。この章は中身が無い割には必要以上に語られており、却って怪しく感じてしまう。それに全てではないが、大半が良い噂を聞かない芸能人たちだ。
この中では、ルポライターによる、印象操作と勝手な想像による文面化を批判している。またこの文庫本には特別書き下ろし文が追記されており、日本のカジノ法案が可決されたことにも触れている。”カジノよりはるかに悪どいパチンコと競馬と宝くじ”と持ち出し、カジノを、あるいは自分を正当化しようとする意図が感じられ、負けん気の強さが伺える。全くやらない人間からすれば『どれも賭け事、全て愚かごと』だ。
もっとも本人はおそらく気づいていない。収監時、理不尽な懲罰を受けたことに不満を述べているが、著者が行った行動は子会社の方々にとって理不尽ではなかったとでも言うのだろうか? こういったことが読み手側の感情を逆撫でさせているのだろう。ただ、日本のカジノ運営のノウハウの未熟さについては同感した。管理体制のずさんさはカジノが出来上がっていない現時点でも容易に想像出来る。
この商品をお持ちですか?
マーケットプレイスに出品する
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 単行本(ソフトカバー) – 2013/11/13
購入を強化する
カジノに入れ込み、注ぎ込んだカネの総額106億8000万円。
一部上場企業・大王製紙創業家に生まれ、会長の職にありながら、
なぜ男は子会社から莫大な資金を借り入れ、カネの沼にはまり込んだのか。
その代償として、塀の中に堕ちた男の懺悔がここに――。
一部上場企業・大王製紙創業家に生まれ、会長の職にありながら、
なぜ男は子会社から莫大な資金を借り入れ、カネの沼にはまり込んだのか。
その代償として、塀の中に堕ちた男の懺悔がここに――。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社双葉社
- 発売日2013/11/13
- ISBN-104575306029
- ISBN-13978-4575306026
よく一緒に購入されている商品
この商品を見た後に買っているのは?
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
東大に現役合格、赤字子会社を立て直した20代、42歳で社長就任、有名人との華麗なる六本木交遊、噂に上がった女性芸能人たち…すべてを手にしていたはずの男はなぜ“カネの沼”にハマり込んだのか?カジノで失った106億8000万円。大王製紙創業家三代目転落の記。
著者について
1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、87年に大王製紙に入社。
三島工場次長、常務取締役、専務取締役、副社長を歴任。
07年より大王製紙取締役社長になる。
同会長を務めていた2010年から11年にかけ、カジノでの使用目的で子会社から総額106億8000万円もの資金を借り入れた事実が発覚。
会長職を辞任した後の2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。
2013年6月、最高裁にて上告が棄却され、懲役4年の実刑判決が確定した。
三島工場次長、常務取締役、専務取締役、副社長を歴任。
07年より大王製紙取締役社長になる。
同会長を務めていた2010年から11年にかけ、カジノでの使用目的で子会社から総額106億8000万円もの資金を借り入れた事実が発覚。
会長職を辞任した後の2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。
2013年6月、最高裁にて上告が棄却され、懲役4年の実刑判決が確定した。
1分以内にKindleで 熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 をお読みいただけます。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
登録情報
- 出版社 : 双葉社 (2013/11/13)
- 発売日 : 2013/11/13
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 272ページ
- ISBN-10 : 4575306029
- ISBN-13 : 978-4575306026
- Amazon 売れ筋ランキング: - 45,862位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.8
星5つ中の3.8
276 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年7月31日に日本でレビュー済み
違反を報告する
Amazonで購入
22人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年8月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
題名が熔けるだったのでギャンブルに関して詳しいことが記載しているのかと思いきやそうでもない印象。
自伝が多く、ギャンブルで失敗したこともどこか認めていないようで他人事のような内容。文書が読みづらく頭に入っていかない印象でした。かなり飛ばしてギャンブル関連のところだけ読みました。ほかの方のレビュー通りでそこは大して記載ないです。文章からも壁を感じプライドが高いのかな?って人物像が真っ先に浮かびました。
弁護士の本とかもたまに読みますが砕けた内容の本とかも多く実生活にも役立つことが多くそういった書籍の後にこちらの本を読んでしまうとなんだかなあという感じ。せっかくとてつもない経験をしたのだからもっと壮大な内容で語ってほしかった。だからここで終わったんだなと思える節もあるのだろうが。
レビュー参考にして古本で購入したがまあ、それでも損したなって内容かな。
自伝が多く、ギャンブルで失敗したこともどこか認めていないようで他人事のような内容。文書が読みづらく頭に入っていかない印象でした。かなり飛ばしてギャンブル関連のところだけ読みました。ほかの方のレビュー通りでそこは大して記載ないです。文章からも壁を感じプライドが高いのかな?って人物像が真っ先に浮かびました。
弁護士の本とかもたまに読みますが砕けた内容の本とかも多く実生活にも役立つことが多くそういった書籍の後にこちらの本を読んでしまうとなんだかなあという感じ。せっかくとてつもない経験をしたのだからもっと壮大な内容で語ってほしかった。だからここで終わったんだなと思える節もあるのだろうが。
レビュー参考にして古本で購入したがまあ、それでも損したなって内容かな。
2019年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マ-ジャンやポ-カ-など運だけでなく頭も使うバクチから、運100%のバカラに移行していった著者の自己分析は最高でした。
106億円をドブに捨てた当事者の、冷徹な自己分析ですよ。
この本は、どんなギャンブル関連著作をも無意味にします。それくらい、凄い。
バカラはジャンケンより運次第です。ジャンケンは、相手の次の手が若干でも予想できますし、選択肢は1/3ですからね。
バカラは潔い究極のバクチです。
そのバカラで地獄の淵を見た著者の稀有な体験と精神の自己分析を疑似体験できるこの著作は凄いとしか言いようがありません。
借金返済で代々苦労して築き上げた大王製紙から一族追放されて、106億円の借金弁済までさせられても、家族崩壊もなく、古くからの交友関係も維持できてる著者は人間的に魅力があるんでしょうね。
凄い本です。
106億円をドブに捨てた当事者の、冷徹な自己分析ですよ。
この本は、どんなギャンブル関連著作をも無意味にします。それくらい、凄い。
バカラはジャンケンより運次第です。ジャンケンは、相手の次の手が若干でも予想できますし、選択肢は1/3ですからね。
バカラは潔い究極のバクチです。
そのバカラで地獄の淵を見た著者の稀有な体験と精神の自己分析を疑似体験できるこの著作は凄いとしか言いようがありません。
借金返済で代々苦労して築き上げた大王製紙から一族追放されて、106億円の借金弁済までさせられても、家族崩壊もなく、古くからの交友関係も維持できてる著者は人間的に魅力があるんでしょうね。
凄い本です。
2018年11月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分はカジノは未経験で興味もないが、なぜカジノがそこまで人間を食い尽くしてしまうのか、
興味があった。
お札なんて原価数十円の紙切れだが、それに支配され命を絶つ者まで存在する。
なんておかしな世の中だろう。
まとめると、カジノで作った損失をカジノで取り戻そうとしてはいけない、
ダメ、絶対。という教訓である。
井川氏は過去の自分を分析し、臨場感たっぷりの表現力で伝えてくれている。
知らない世界を覗くことができて、他人事なだけに面白かった。
興味があった。
お札なんて原価数十円の紙切れだが、それに支配され命を絶つ者まで存在する。
なんておかしな世の中だろう。
まとめると、カジノで作った損失をカジノで取り戻そうとしてはいけない、
ダメ、絶対。という教訓である。
井川氏は過去の自分を分析し、臨場感たっぷりの表現力で伝えてくれている。
知らない世界を覗くことができて、他人事なだけに面白かった。
2018年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
県境を跨いだ先にある大王製紙。
我が家からも遠くにうっすらとエリエールタワーが見え、家にはエリエールのティッシュがある馴染みある企業。
その企業の(元)会長がおこした不祥事について、当人が詳しく記しています。
カジノの仕組みを詳しく書いている部分は、自分が興味ないためあまり分かりません。
しかし、彼の経営者としての仕事振りや考え方は素晴らしく思いました。
また、大王製紙の中興の祖である彼の父親との関係が書かれている部分が興味深かったです。
帝王学的教育(高級な飲み屋に行って顔を売る)な場面では上流階級なレベルで想像もつきませんが、
「学生の頃に瞬間湯沸し器の父に勉強を見てもらうのが嫌だった」という部分はまさに「あるある」でした。
そういう素朴な体験記は一般家庭にも通じ、親近感が持てました。
いずれにしても優秀な経営者だった彼をも惑わすギャンブルは怖いなと思いました。
自分自身はギャンブルに興味はないですが、今後も絶対に手を出さないよう戒めの書として本書を度々読んでいきます。
我が家からも遠くにうっすらとエリエールタワーが見え、家にはエリエールのティッシュがある馴染みある企業。
その企業の(元)会長がおこした不祥事について、当人が詳しく記しています。
カジノの仕組みを詳しく書いている部分は、自分が興味ないためあまり分かりません。
しかし、彼の経営者としての仕事振りや考え方は素晴らしく思いました。
また、大王製紙の中興の祖である彼の父親との関係が書かれている部分が興味深かったです。
帝王学的教育(高級な飲み屋に行って顔を売る)な場面では上流階級なレベルで想像もつきませんが、
「学生の頃に瞬間湯沸し器の父に勉強を見てもらうのが嫌だった」という部分はまさに「あるある」でした。
そういう素朴な体験記は一般家庭にも通じ、親近感が持てました。
いずれにしても優秀な経営者だった彼をも惑わすギャンブルは怖いなと思いました。
自分自身はギャンブルに興味はないですが、今後も絶対に手を出さないよう戒めの書として本書を度々読んでいきます。
2021年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ギャンブルで詰んで安い人生しか無くなった自分には大変面白い本でした。
本の中身として、海外カジノでの熱い勝負の話しばかりかと思いきや、これまでの自分や、盛ったマスコミ報道に対して、自分の思っている事実を語る、自伝のような本でした。
ギャンブルをしたことない人、現在進行形でギャンブルに夢中、毎日パチンコ行くような人には向かない本かと思います。
ギャンブルで大きな物を失って詰んだ人、底付きして何とか返せる借金を返してる人には向いている本かと。
スケールは違うけど、20代、8年で1600万負け、仕事で稼いだ金を全て競馬とパチンコに注ぎ込んで詰んだ、自分には内容がよくわかる?本であり、ギャンブルが好きだったと思い込んでいる自分に悲しい事実を受け入れさせるのに役立った本でした。
本の中身として、海外カジノでの熱い勝負の話しばかりかと思いきや、これまでの自分や、盛ったマスコミ報道に対して、自分の思っている事実を語る、自伝のような本でした。
ギャンブルをしたことない人、現在進行形でギャンブルに夢中、毎日パチンコ行くような人には向かない本かと思います。
ギャンブルで大きな物を失って詰んだ人、底付きして何とか返せる借金を返してる人には向いている本かと。
スケールは違うけど、20代、8年で1600万負け、仕事で稼いだ金を全て競馬とパチンコに注ぎ込んで詰んだ、自分には内容がよくわかる?本であり、ギャンブルが好きだったと思い込んでいる自分に悲しい事実を受け入れさせるのに役立った本でした。
2019年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世間を騒がした事件。記憶に残っている人も多いハズ。あの報道を見ていると、何アホなコトしとんねん?どんだけの人に迷惑かけたの?の笑った人が大半でしょう。しかし、関係者はそうでは済まされない。
恥をかき迷惑をかけたという思いから、人生を振り返り丸裸に語ることに迷いはあっただろう。しかし、その姿勢は評価したい。関係者は一生憎む人も大勢いるでしょう。どう感じるかは人それぞれ。ギャンブル依存症やそれに近い人にも読んでもらいたい。
恥をかき迷惑をかけたという思いから、人生を振り返り丸裸に語ることに迷いはあっただろう。しかし、その姿勢は評価したい。関係者は一生憎む人も大勢いるでしょう。どう感じるかは人それぞれ。ギャンブル依存症やそれに近い人にも読んでもらいたい。





