この7巻と続く8巻が復活編。
70年台初頭は手塚先生的には低迷期
あるいはフスマを挟んで30人の借金取りを待たせて原稿を書いていたこともある、などと
(多少の誇張はあると思うが)伝説的に語られたりもする時期。
ただこの復活編は、人間から無機物への転生をラブストーリーを軸に描くという離れ業を見せ
とくに前半の無機物と人間の逆転表現やコマ割りなど漫画としての表現も傑出している。
73年のブラックジャックまではスランプと言われることも多いが、創作力が衰えているとは全く思えない。
ただ後半急に話がバタバタして作劇としては「鳳凰編」や「未来編」のような完成度がない、火の鳥を代表するエピソードになり得ていないのが残念でならない。
それでも長い火の鳥全編通して手塚先生の天才性のようなものが最も現れている作品と思う。
生命を正しく使うとか、そういう二元論を、輪廻というアイディアを使って乗り越えようとした跡がたしかに見て取れる。
同時期に書いていた作品、ダッチワイフに魂が宿る『やけっぱちのマリア』
醜い主人公が美に対する復讐をする『アラバスター』など
この作品に似たエッセンスが入っている事が多く、復活編が気に入ったかたには一読あれ。
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