震災から10年経たなければ刊行する事は不可能な本だっただろう。
震災前から遺体引き上げダイバーをしている宮城県名取市閖上の吉田の視点で描かれるノンフィクション小説。(つまり、この男は実在する)
目の前に沈んだ遺体が見えるほどの再現性を持つ文章。筆者自身が吉田なのではないかと思わせるほどの描写力。これほど文章から気持ち悪いほどリアリティがある景色を見せる著書を僕は知らない。
土木潜水を仕事にしていた主人公(吉田)は依頼されて仙台港などで自殺者の引き上げをするようになる。自己肯定感の低い家庭環境で育った吉田は、引き上げダイバーに自分の才能を見出し、自分にしか出来ない仕事だ、と使命感を感じるようになるが、遺体を関わることで蝕まれていく。衝撃的なのは、引き上げ後に笑ってしまうシーンだ。不謹慎と感じる人もいるが多いかもしれないが、本書を読めば吉田の気持ちもわかるだろう。
複雑な家庭環境に育ち、自分で会社を作るも破産、家庭を持ち離婚して再婚、震災後の引き上げダイバーになり会社の再興。その全てに理不尽とも言える障害が立ちはだかり、その中で吉田はあがき、人間として成長して行く。
読み終えた頃、吉田と共に自分も成長しているように感じた。
筆者の矢田さんに直接にお会いして執筆の経緯をお伺いしたが、いかに人の話を傾聴し、様々な想いを抱えてこの本を上梓された事を知った。
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![[矢田海里]の潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景](https://m.media-amazon.com/images/I/514ZiWtHwOL._SY346_.jpg)
潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景 Kindle版
海難事故、入水自殺、人命救助、そして2011年3月11日東日本大震災――宮城県仙台の海底に潜り続け、いくつもの「魂」を引き上げてきたプロの潜水士・吉田浩文。凄腕のダイバーとして地元自治体からの信頼も厚く、長年にわたって遺体引き上げ・捜索、救助活動に携わってきた男が目にしたものとは? 生と死、出会いと別れ、破壊と再生――「現場」に立ち会った者のみが知る様々な人間模様と苦闘を描くドキュメント。
- 言語日本語
- 出版社柏書房
- 発売日2021/2/25
- ファイルサイズ1669 KB
商品の説明
著者について
矢田海里(やだ かいり)
1980年、千葉県市川市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。在学中、イラク戦争下のアメリカ合衆国を自転車横断しながら戦争の是非を問うプロジェクト"Across-America"を行い、この体験を文章にまとめた「アクロス・アメリカ」を執筆、雑誌「かがり火」に連載。また2011年以降、マニラのストリートに暮らす人々を見つめるドキュメントの制作にも着手。以降、人の内面の光と影を追いながら取材活動を展開。東日本大震災直後に現地入りし、現地に居を構えながら被災した人々の声を拾う活動を続ける。ユネスコなどと共同し、全国で震災写真展を開催。放送批評雑誌「GALAC」に「東北再生と放送メディア」を連載。スポーツ・冒険マガジン「ド級! 」でエクストリーマーの一人に選ばれる。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
1980年、千葉県市川市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。在学中、イラク戦争下のアメリカ合衆国を自転車横断しながら戦争の是非を問うプロジェクト"Across-America"を行い、この体験を文章にまとめた「アクロス・アメリカ」を執筆、雑誌「かがり火」に連載。また2011年以降、マニラのストリートに暮らす人々を見つめるドキュメントの制作にも着手。以降、人の内面の光と影を追いながら取材活動を展開。東日本大震災直後に現地入りし、現地に居を構えながら被災した人々の声を拾う活動を続ける。ユネスコなどと共同し、全国で震災写真展を開催。放送批評雑誌「GALAC」に「東北再生と放送メディア」を連載。スポーツ・冒険マガジン「ド級! 」でエクストリーマーの一人に選ばれる。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B08ZCBS5Y9
- 出版社 : 柏書房 (2021/2/25)
- 発売日 : 2021/2/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1669 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 254ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 145,497位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 279位地球科学・エコロジー (Kindleストア)
- - 285位福祉 (Kindleストア)
- - 420位都市開発・都市問題 (本)
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カスタマーレビュー
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震災から10年経たなければ刊行する事は不可能な本だっただろう。震災前から遺体引き上げダイバーをしている宮城県名取市閖上の吉田の視点で描かれるノンフィクション小説。(つまり、この男は実在する)目の前に沈んだ遺体が見えるほどの再現性を持つ文章。筆者自身が吉田なのではないかと思わせるほどの描写力。これほど文章から気持ち悪いほどリアリティがある景色を見せる著書を僕は知らない。土木潜水を仕事にしていた主人公(吉田)は依頼されて仙台港などで自殺者の引き上げをするようになる。自己肯定感の低い家庭環境で育った吉田は、引き上げダイバーに自分の才能を見出し、自分にしか出来ない仕事だ、と使命感を感じるようになるが、遺体を関わることで蝕まれていく。衝撃的なのは、引き上げ後に笑ってしまうシーンだ。不謹慎と感じる人もいるが多いかもしれないが、本書を読めば吉田の気持ちもわかるだろう。複雑な家庭環境に育ち、自分で会社を作るも破産、家庭を持ち離婚して再婚、震災後の引き上げダイバーになり会社の再興。その全てに理不尽とも言える障害が立ちはだかり、その中で吉田はあがき、人間として成長して行く。読み終えた頃、吉田と共に自分も成長しているように感じた。筆者の矢田さんに直接にお会いして執筆の経緯をお伺いしたが、いかに人の話を傾聴し、様々な想いを抱えてこの本を上梓された事を知った。
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2021年2月26日に日本でレビュー済み
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震災から10年経たなければ刊行する事は不可能な本だっただろう。
震災前から遺体引き上げダイバーをしている宮城県名取市閖上の吉田の視点で描かれるノンフィクション小説。(つまり、この男は実在する)
目の前に沈んだ遺体が見えるほどの再現性を持つ文章。筆者自身が吉田なのではないかと思わせるほどの描写力。これほど文章から気持ち悪いほどリアリティがある景色を見せる著書を僕は知らない。
土木潜水を仕事にしていた主人公(吉田)は依頼されて仙台港などで自殺者の引き上げをするようになる。自己肯定感の低い家庭環境で育った吉田は、引き上げダイバーに自分の才能を見出し、自分にしか出来ない仕事だ、と使命感を感じるようになるが、遺体を関わることで蝕まれていく。衝撃的なのは、引き上げ後に笑ってしまうシーンだ。不謹慎と感じる人もいるが多いかもしれないが、本書を読めば吉田の気持ちもわかるだろう。
複雑な家庭環境に育ち、自分で会社を作るも破産、家庭を持ち離婚して再婚、震災後の引き上げダイバーになり会社の再興。その全てに理不尽とも言える障害が立ちはだかり、その中で吉田はあがき、人間として成長して行く。
読み終えた頃、吉田と共に自分も成長しているように感じた。
筆者の矢田さんに直接にお会いして執筆の経緯をお伺いしたが、いかに人の話を傾聴し、様々な想いを抱えてこの本を上梓された事を知った。
震災前から遺体引き上げダイバーをしている宮城県名取市閖上の吉田の視点で描かれるノンフィクション小説。(つまり、この男は実在する)
目の前に沈んだ遺体が見えるほどの再現性を持つ文章。筆者自身が吉田なのではないかと思わせるほどの描写力。これほど文章から気持ち悪いほどリアリティがある景色を見せる著書を僕は知らない。
土木潜水を仕事にしていた主人公(吉田)は依頼されて仙台港などで自殺者の引き上げをするようになる。自己肯定感の低い家庭環境で育った吉田は、引き上げダイバーに自分の才能を見出し、自分にしか出来ない仕事だ、と使命感を感じるようになるが、遺体を関わることで蝕まれていく。衝撃的なのは、引き上げ後に笑ってしまうシーンだ。不謹慎と感じる人もいるが多いかもしれないが、本書を読めば吉田の気持ちもわかるだろう。
複雑な家庭環境に育ち、自分で会社を作るも破産、家庭を持ち離婚して再婚、震災後の引き上げダイバーになり会社の再興。その全てに理不尽とも言える障害が立ちはだかり、その中で吉田はあがき、人間として成長して行く。
読み終えた頃、吉田と共に自分も成長しているように感じた。
筆者の矢田さんに直接にお会いして執筆の経緯をお伺いしたが、いかに人の話を傾聴し、様々な想いを抱えてこの本を上梓された事を知った。
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20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
星6個相当。
本書には、一気に読ませてしまうチカラがあります。
遺体引き上げ専門のダイバーという職業だけでも、興味深いものがありますが、その作業の過酷さは想像がつき、時には感謝されるような場面があるだろうと想像します。
しかし、本書は良い意味でこれを大きく裏切り、描かれた世界はとても冷たく凄惨なものでした。
悲惨な捜索状況によってダメージを受ける脳が、バランスを取るためにとった行為。金銭支払いの現実に追い詰められる潜水士の経済事情。感情をむき出しにして捜索を依頼する側と、状況を的確に判断しているプロの潜水士との対立。どれも想像していなかった世界が展開されていました。
良書。
本書には、一気に読ませてしまうチカラがあります。
遺体引き上げ専門のダイバーという職業だけでも、興味深いものがありますが、その作業の過酷さは想像がつき、時には感謝されるような場面があるだろうと想像します。
しかし、本書は良い意味でこれを大きく裏切り、描かれた世界はとても冷たく凄惨なものでした。
悲惨な捜索状況によってダメージを受ける脳が、バランスを取るためにとった行為。金銭支払いの現実に追い詰められる潜水士の経済事情。感情をむき出しにして捜索を依頼する側と、状況を的確に判断しているプロの潜水士との対立。どれも想像していなかった世界が展開されていました。
良書。
2021年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
激動の人生を送っている1人の潜水士の話としてシンプルにおもしろい。不器用だけど愚直な主人公が様々な困難や人にぶちあたり、時には爽快に、時には葛藤する様が読んでいて飽きない。
特に、遺体をひきあげるという非日常の中で苦悩しながらも、己の信念を曲げず、身を削ってでも死者とその家族を救っていく主人公の姿に心を揺さぶられる。
死とは何か、死に直面した時に何を思うか、深く考えさせられる読みごたえのある良書と言える。
ほぼインタビューだけを通して、これだけ主人公の内面を細かくありありと描写できていることに感心した。そして、並外れた取材力に、相当な時間をかけたのだと思う。ここ最近のノンフィクションの中でも群を抜いて完成度が高い。
全ての人に読んでほしい
特に、遺体をひきあげるという非日常の中で苦悩しながらも、己の信念を曲げず、身を削ってでも死者とその家族を救っていく主人公の姿に心を揺さぶられる。
死とは何か、死に直面した時に何を思うか、深く考えさせられる読みごたえのある良書と言える。
ほぼインタビューだけを通して、これだけ主人公の内面を細かくありありと描写できていることに感心した。そして、並外れた取材力に、相当な時間をかけたのだと思う。ここ最近のノンフィクションの中でも群を抜いて完成度が高い。
全ての人に読んでほしい
2021年2月22日に日本でレビュー済み
主人公の吉田さんにとって、遺体を引き上げるということは、死者の魂を救うことでありながら、同時に遺族の魂を救うことでもあったのだと思う。どちらの魂も、決してこの世をさまよい続ける必要のないように。それは、人生の「取り返しのつかなさ」に対する、ささやかな救済でしかないのかもしれない。だがそのために、彼は潜り続けたのではないだろうか。冒頭から引き込まれ、最後まで一気に読み切ってしまった。このセンシティブで難しいテーマを、よくぞここまで魅力的な作品に仕上げたものだと思う。大いに心を動かされた。いずれ、ノンフィクションの金字塔と呼ばれるようになる作品だと思う。
2021年2月17日に日本でレビュー済み
生きること、死ぬこと。そしてその間にある「違い」とはなんなのだろう?死を間近で幾度となく見続けることが、ダイバーの心にどれだけ深い傷を負わせるのか、われわれ一般人には想像すらつかない。人命救助というと聞こえはいいけれど、実際はきれいごとでは済まされないということが、この本を読んでわかりました。「死ぬ気になればなんだってできる。絶対あきらめない」経験に裏打ちされた彼の言葉は心に響きました。今、苦境にあるすべての人におすすめの本です。