及川美羽は、高校3年生の末期、雅裕と恋人になり、初体験を済ませた。お互い受験生ということもあり恋人らしいことはほぼ何もできず、進学先も別々になり、電車で30分という距離ではあるものの、離れ離れになった。
美羽は大学入学と同時にサークルは高校でも続けてきたテニスを続けたいということで、テニスサークル「ラブオール」に入ることにし、早速新歓コンパに参加した。実はラブオールはテニスサークルの皮を被った極悪最凶のヤリサーであり、新歓コンパ早々美羽は酔い潰されてラブオールの連中によって犯される。もともと雅裕はラブオールに関して胡散臭いことを耳にしており警戒していたが、世間知らずで流されやすい性格の美羽はラブオールの「優しい勧誘」にまんまと騙され、そこからもうラブオールからは抜け出せなくなる凌辱のキャンパスライフが始まった。おまけにただやられるだけでなく、脅迫のための写真撮影や王様ゲーム・野球拳まがいのテニス・とんでもない下着は序の口で、実況動画撮影までやられる羽目だ。大学進学を機に一人暮らしも始めた美羽だが、美羽の自室でもラブオールの連中は押しかけてくる。同時に雅裕が美羽の部屋にいても、雅裕は美羽の身に何が起こってるのかは何も知らない。
ラブオールによって来る日も来る日もやられまくる美羽。屈辱感・雅裕への申し訳なさもありながらも、ラブオールでしか感じられなくなるまでに「開発」されていき、一時はそれから逃れるために雅裕と必死に「付き合うふり」もしたが、自分の中ではどうも満たされない。別に雅裕のことが嫌いになった訳ではない。雅裕のことは好きだ。でも、自分の頭の中では、雅裕では満足できず、ラブオールの連中でしか快感を得られなくなっていく。こうして来る日も来る日もラブオールの連中にやられまくった美羽は、最終的にラブオールの連中の誰が父親なのか分からない子を身ごもるが、雅裕は自分の子だと思い込んでいるようである。雅裕と「恋人」としての縁は切れてはないものの、すっかりラブオールに開発されて子を身ごもった美羽は、雅裕には申し訳ないながらも自分に快楽を与えてはくれず、ラブオールに通いながらやられまくる日々を送るのであった。その快感にはゾクゾクする美羽なのであった。
雅裕は最後の最後まで美羽がラブオールの連中からどんな仕打ちを受けていて、おまけに美羽の心情、もとい雅裕への感覚がどう変化していってるかは、何も知らない。ラブオールの連中曰く、「おめでたい奴」だと。
原画を担当した絵師伊倉ナギサはカバー裏のプロフィールコメントで本作を「ヌキゲー」と呼んでいる。確かに内容・イラストとしては「ヌキゲー」だろう。だが、単に読者の「ヌキ」だけに絞られていると言えば、そうではなく、雅裕によってラブオールの真の姿を知ってしまいラブオールを打ち消そうと雅裕と必死に「付き合うふり」をする美羽だが、心の底から雅裕では満足できなくなっていく、雅裕では快感を得られなくなっていく美羽の心情変化も織り交ぜられている。こうしてますますラブオールの地獄に堕ちていく美羽ではあるが、そういう心情変化の場面は、やや勇み足なのは否めない(尤も、「ヌキゲー」だから仕方ない面もあるが)。
全般的に「ヤリ」に特化したオトナ文庫の中では、彼氏のいる純情な美少女がヤリサーに徹底的に攻められていきそこからの心情変化も織り交ぜられているのは、「青春」の面が少しあり、完全ではないが「ヌキ」と「青春」の二面性を楽しむには、オトナ文庫・版元のパラダイムの中では佳作なのではなかろうか。
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