彼女の歌を生で聴いたことがある人のほとんど全てが、この新作を待ち焦がれていたのでは?
…といえるほど、1作ごとに進化して新しい色を魅せてくれるなっちゃん。
今回も期待を裏切らない、いえ期待以上の作品になってると思います!
アルバムタイトル「深呼吸の必要」、理屈抜きで大好きです。キャッチーな曲ながらもひたむきな想いが感じられるのは、本格的にメジャーの世界へ進出していく彼女自身の意気込みでもあるのかも。既出のシングル「青の向こうに〜」は女の子同士の友情を描いたものだったし、恋愛感情や客観性のない自己葛藤のような歌ばかりが流行っている中、輪郭のはっきりしたこんな歌たちを創れる甲斐名都という存在は貴重だと思います!
「つまさき金魚」の、恋しい夏が滴るような世界観は若い女の子達必聴の泣けるラブソングだし、「ラビュー」「天の川」も、それぞれに傑作なんだけど、驚かされたのはラストの「SUPER ECOH」でした。
日常的な風景から生まれるものや想いを切り取ってただ直裁に表現することだけを「等身大」と呼ぶのなら、なっちゃんはこの歌でそれを大きく超えた気がします。はじめは拙くさえ感じられる主人公(なんと「星」です!)の「独白」があまりに切なくて、暗い大宇宙に心細げに漂っている孤独感が何度聴いてもずぅんと胸に迫ってくるのです。
でも、ラストに向かい愛を求める力強い叫びへと変貌してゆくその瞬間の歌声に、彼女のパワーと底知れない可能性を感じました。孤独と絶望を背負いつつ地上の愛する人との絆を信じた「星」の叫びをこんな詞に、曲にできるとは。なっちゃんはどれだけ空を見つめたことだろう。名曲だと思います。
多様な魅力と可能性に溢れた一枚。1人でも多くの人になっちゃんのこのアルバムを聴いてほしいです。