『流人道中記』、ひと言で表すと、相棒物語&青年成長記です。
浅田さんもハイペースで書かれています(驚)
つい先日、「大名倒産」を読んだと思ったら、今度はこの作品。
冒頭書いたように、今作は流人と押送人(おうそうにん)の相棒物語であり、また、相棒の一方の押送人の成長記です。
押送人は、真面目一筋の見習い与力である十九歳の”僕”石川乙次郎。
彼と、自ら甘んじて?罪人という立場を受け容れた、人としての度量が大きな青山玄蕃の道中旅での軽妙な?噛み合わない?やり取りを楽しみつつ、石川青年が短い旅の間で青山の人となりに影響を受け、ひと回り大きく成長する姿を目にし、爽やかな読後感に浸りました。
物語の最後で、江戸の御代が安泰し、世の中から戦さが失せても、武士という身分が残ったという矛盾が語られる箇所が妙に腹にストンと落ちました。
作者が一番言いたかったのはこの事実ではないでしょうか。
家光公(三代将軍)では無理でも、綱吉公(五代将軍)か、吉宗公(八代将軍)あたりが武士を排せば、江戸時代の後半は、まるで違った様相になっていたかもしれません。
評価は、☆5つを付けたいところですが、悲しきかな、亀吉を殺してしまったので、☆4つです(苦笑)
流人道中記(上) (単行本) (日本語) 単行本 – 2020/3/6
浅田 次郎
(著)
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本の長さ371ページ
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言語日本語
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出版社中央公論新社
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発売日2020/3/6
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ISBN-104120052621
-
ISBN-13978-4120052620
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
万延元年(一八六〇年)。姦通の罪を犯したという旗本・青山玄蕃に、奉行所は青山家の安堵と引き替えに切腹を言い渡す。だがこの男の答えは一つ。「痛えからいやだ」玄蕃には蝦夷松前藩への流罪判決が下り、押送人に選ばれた十九歳の見習与力・石川乙次郎とともに、奥州街道を北へと歩む。口も態度も悪い玄蕃だが、道中で行き会う抜き差しならぬ事情を抱えた人々を、決して見捨てぬ心意気があった。
著者について
浅田次郎
一九五一年東京都生まれ。九五年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、九七年『鉄道員』で直木賞、二〇〇〇年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、〇六年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、〇八年『中原の虹』で吉川英治文学賞、一〇年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。他に『赤猫異聞』『一路』など著書多数。
一九五一年東京都生まれ。九五年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、九七年『鉄道員』で直木賞、二〇〇〇年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、〇六年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、〇八年『中原の虹』で吉川英治文学賞、一〇年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。他に『赤猫異聞』『一路』など著書多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
浅田/次郎
1951年東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、15年紫綬褒章、16年『帰郷』で大佛次郎賞、19年菊池寛賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1951年東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、15年紫綬褒章、16年『帰郷』で大佛次郎賞、19年菊池寛賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2020/3/6)
- 発売日 : 2020/3/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 371ページ
- ISBN-10 : 4120052621
- ISBN-13 : 978-4120052620
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- - 92位歴史・時代小説 (本)
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
物語は江戸末期、200年以上続いた封建制度、幕藩体制の瓦解を、流罪となった直参旗本と押送人となった町方与力が、立場の違う二人の目を通して描いている。
旅でめぐり合う、町人、農民、商人、更に盗人や敵討ちなど市井の人々の苦悩や定めを、ユーモアとペーソスを織り交ぜて描いた珠玉の一品。
しかし作者は、変わりつつある江戸時代に生きる人々の価値観の変化と、現代に生きる人々とをオーバーラップさせ、我々に多くの示唆を与えてくれている。
法は何故生まれ、何のためにあるのか。 礼を持って生きる事の大切さ。 立場の違いや格差間の相手を思いやることの難しさ。 高齢化社会おける老若の溝が生まれる考え方の違い。 人が胸をはって楽しく生きていくこととは。
等々、浅田次郎の作品の中では、「蒼穹の昴」「壬生義士伝」にならぶ傑作。 この書をどう読み解き、作者の意図に迫れるかは、まさに読者の力量、ゆえにレビューの評価は分かれるかもしれない。
旅でめぐり合う、町人、農民、商人、更に盗人や敵討ちなど市井の人々の苦悩や定めを、ユーモアとペーソスを織り交ぜて描いた珠玉の一品。
しかし作者は、変わりつつある江戸時代に生きる人々の価値観の変化と、現代に生きる人々とをオーバーラップさせ、我々に多くの示唆を与えてくれている。
法は何故生まれ、何のためにあるのか。 礼を持って生きる事の大切さ。 立場の違いや格差間の相手を思いやることの難しさ。 高齢化社会おける老若の溝が生まれる考え方の違い。 人が胸をはって楽しく生きていくこととは。
等々、浅田次郎の作品の中では、「蒼穹の昴」「壬生義士伝」にならぶ傑作。 この書をどう読み解き、作者の意図に迫れるかは、まさに読者の力量、ゆえにレビューの評価は分かれるかもしれない。
2020年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
久しぶりの浅田次郎さんの作品を読みました。上手い!!流石です。
引き込まれました。すぐさま二回も読み直しました。
正直、浅田次郎さんの作品は余りにもコツを押さえていて、旨すぎて、ある種あざとさを感じることがありました。
でも、やはり大衆文学とはかくあるべきだと思いますし、何よりもこの作家の非凡さを物語るのは「この話は何処かで読んだ話だ」と思うことが無いことです。
時代物の巨匠、山本周五郎さん、池波正太郎さん、藤沢周平さんなど、もう書き尽くされている世界で
尚且つ新しい作品に書き上げられてることが、やはりこの作家の非凡なる才能だと思います。
素直に名人芸だと思いますし、久しぶりに楽しく、ほろっとさせられ、ラストは大泣きしました。
何度でも読み直せる良い作品です。
引き込まれました。すぐさま二回も読み直しました。
正直、浅田次郎さんの作品は余りにもコツを押さえていて、旨すぎて、ある種あざとさを感じることがありました。
でも、やはり大衆文学とはかくあるべきだと思いますし、何よりもこの作家の非凡さを物語るのは「この話は何処かで読んだ話だ」と思うことが無いことです。
時代物の巨匠、山本周五郎さん、池波正太郎さん、藤沢周平さんなど、もう書き尽くされている世界で
尚且つ新しい作品に書き上げられてることが、やはりこの作家の非凡なる才能だと思います。
素直に名人芸だと思いますし、久しぶりに楽しく、ほろっとさせられ、ラストは大泣きしました。
何度でも読み直せる良い作品です。
2020年4月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
購入前にレビューを読んで躊躇しましたが、思い切って購入しました。
「大名倒産」のように貧乏神が登場することもなく、「一路」のように馬が喋ることもない。かと言って新選組3部作のようにシリアス一辺倒でもない。私が読んだ浅田作品の中で一番近いのは「黒書院の六兵衛」でしょうか。主人公の正体といいましょうか、本性が次第に明かされるという構成はよく似ています。
詳しいストーリーには触れませんが、水戸黄門のような単純な勧善懲悪の物語ではありません。しかしながらピカレスクのような痛快さがある訳でもない。キーワードは「法の上にある礼」ということになるのでしょう。何度か読まなければ消化できないような気がします。
「大名倒産」のように貧乏神が登場することもなく、「一路」のように馬が喋ることもない。かと言って新選組3部作のようにシリアス一辺倒でもない。私が読んだ浅田作品の中で一番近いのは「黒書院の六兵衛」でしょうか。主人公の正体といいましょうか、本性が次第に明かされるという構成はよく似ています。
詳しいストーリーには触れませんが、水戸黄門のような単純な勧善懲悪の物語ではありません。しかしながらピカレスクのような痛快さがある訳でもない。キーワードは「法の上にある礼」ということになるのでしょう。何度か読まなければ消化できないような気がします。
2020年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
しばらく遠ざかっていた「泣かせの次郎」の作品に触れました。期待を裏切らず泣かせてくれます。美しい日本語と愛しい登場人物たち。主人公の「乙様」は、未完成で経験の浅い多少浅はかですが、純粋な青年です。兄貴のような玄蕃と旅をしながら男として社会人として成長していきます。
勧善懲悪ではなく、お願いだから助けて!と、ページをめくりながら祈るように読み進めました。コロナ鬱になりそうな昨今ですが、この二人と一緒に心の旅に出かけます。
さすがです。
勧善懲悪ではなく、お願いだから助けて!と、ページをめくりながら祈るように読み進めました。コロナ鬱になりそうな昨今ですが、この二人と一緒に心の旅に出かけます。
さすがです。
2020年5月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
浅田さんの作品は好きで、今までもあまり外れはなかったのですが、本作は今一つの読後感です。鍵となる流人の旗本の価値観、生き様が何かスッキリとしません。浅田さんの作品は、何か妥協できないものを命を賭してでも貫くことが主軸となっていることが多いと思うのですが、本編は結局、それが何か判然とせず、結果、こいつ、それほどの人なのとの感じで終わってしまいました。何かあまり理解されない皮肉を密かに自己満足している旗本退屈男との印象で、事件の発端となった女性と赤子などは、全く浮かばれないのだろうなと思ってしまいました。
2020年7月28日に日本でレビュー済み
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紀行小説として、時代小説として楽しく、最後まで読めます。ただ、主人公の青山玄蕃のふるまいが、どうも中途半端ではないかと感じてしまうのですが。幕府の姿勢や体制を批判して、切腹という処分に抵抗したのなら、もっと徹底的にアウトサイダーとしての生き方に乗り換えればよいのに、地方の小権力に対しては、大身の旗本(元)という肩書きを利用して、嵩にかかって通す。世の中の方便と言えばそうなんですが、ちょっと歯切れが悪くないかとおもいました。共に過ごす石川さんのほうが、ごく低い身分から、中間管理職に抜擢されたにも関わらず、それがまだ身体になじまずに、生き方を手探りしているようで、自分に引き寄せて共感してみたりしましたが。
ともかく、一度手に取って読んでみられるには損の無い本だと思います。
ともかく、一度手に取って読んでみられるには損の無い本だと思います。