東日本大震災で浮かび上がった「日本文化」像を描いたノンフィクションです。筆者は長年ザ・タイムズの東京支局長を務める人物。
感情に訴えかける細部と冷徹な目に揺さぶられ、大号泣しながら読んでしまいました。未曾有の災害が引き起こした悲劇の温度が強く強く伝わってくる。
石巻の大川小の関係者を丹念に追っているのと、被災者の言葉を聞き続けた僧侶の話が軸です。
もともと英語の本なので日本の価値観を説明するために様々な人のドキュメントが描かれていて何が「課題」で何が「悲劇」なのかが細かく細かく、体験談を積み重ねて語られ、本当に様々な立場の人たちが登場するのに、それぞれに感情移入してしまいます。立場によって変化する善悪というものを体感したようです。読み始めたらやめられません。
その上で、日本社会と政治の課題点、日本の自然と共生する死生観、その両者を通底する「受容」という文化を描き出すという大変秀逸なドキュメンタリーになっていると思います。
原作の発刊は2017年で、大川小学校の裁判の結審を持って発行されたのでしょうか。
Kindleで読んだので気にもしてなかったですが、表紙を見るとちょっとあやしげですね(笑)
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