少年犯罪、外国人犯罪…「治安悪化」が叫ばれて久しい。そのような言説について、統計を中心に検証した書。
本書では、統計データを見ながら、認知件数、犯罪件数、検挙人員…これらの統計の傾向、言葉の違い、そして、それらを使い分けることによって作られる「治安悪化」という雰囲気に対して疑問点を呈していく。
本書では、「治安が悪くなっているか、良くなっているのか良くわからない」と言う結論を導き出す。私などは、これらの統計から、「治安悪化などはウソである!」と言ってしまいがちなのだが、「犯罪統計に限っていえば、統計データからある一定の結論を導き出すことは難しく、反対に、一定の枠組み(結論)をもとにデータを読み解くことはやさしい」と言う著者の言葉からすれば、私のような態度もまた「治安悪化」を述べる態度と同じである。もどかしくとも、この結論にとどめる著者は誠実であろう。
後半の言説の背景の考察に関しては、著者の経歴からの経験論などもあるのだろうが、やや論拠が弱いと感じた。その辺りを減点材料としたい。
ただ、犯罪統計について考える上で、非常に参考になる書だというのは間違いないだろう。
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治安はほんとうに悪化しているのか 単行本 – 2006/6/1
久保 大
(著)
- 本の長さ267ページ
- 言語日本語
- 出版社公人社
- 発売日2006/6/1
- ISBN-104861620252
- ISBN-13978-4861620256
登録情報
- 出版社 : 公人社 (2006/6/1)
- 発売日 : 2006/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 267ページ
- ISBN-10 : 4861620252
- ISBN-13 : 978-4861620256
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,474,991位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2006年7月19日に日本でレビュー済み
前東京都治安対策担当部長という要職にあったものが、治安悪化に纏わる言説をひとつひとつ検証していく。
少年凶悪化、外国人犯罪の増加が治安悪化の元凶と…ただ行政がそれらを言い張る資料を精査すると、犯罪件数と、検挙人員を都合に合わせて使い分けている代物でなんら根拠がないということを丁寧に説明していく。
これが行政側の知であり、まんまと騙されていいように治安悪化言説の片棒を担ぐマスコミの差ということなのでしょう。いちおう治安が悪化していると証明できないというだけで、悪化している可能性があることは否定しないといいつつも、総て否定していけばその種の言説を唱えることのいかがわしさが燻りだされています。
「指数治安」と「体感治安」、「防犯」と「治安」の言葉の使い分けなど巧妙に言葉がもつイメージを行政側が利用しているさまについて無造作ではなかったかと問いかける一冊になっている。
少年凶悪化、外国人犯罪の増加が治安悪化の元凶と…ただ行政がそれらを言い張る資料を精査すると、犯罪件数と、検挙人員を都合に合わせて使い分けている代物でなんら根拠がないということを丁寧に説明していく。
これが行政側の知であり、まんまと騙されていいように治安悪化言説の片棒を担ぐマスコミの差ということなのでしょう。いちおう治安が悪化していると証明できないというだけで、悪化している可能性があることは否定しないといいつつも、総て否定していけばその種の言説を唱えることのいかがわしさが燻りだされています。
「指数治安」と「体感治安」、「防犯」と「治安」の言葉の使い分けなど巧妙に言葉がもつイメージを行政側が利用しているさまについて無造作ではなかったかと問いかける一冊になっている。
2007年4月10日に日本でレビュー済み
この本の著者は石原都政下で治安対策本部長を務めた人。「あとがき」にもあるように、東京都の排除的・治安国家的政策をいにそわぬまま推進し、退職後本書を書くことを決意したようだ。
警察当局は「治安が悪化している」とさかんに喧伝されているが、「認知件数」と「検挙件数」の巧みな使い分け等で統計が操作されていることなどによって、虚像の「セキュリティ不安」がつくられていることが、統計資料をふんだんにつかって明らかにされていく。とても丁寧にわかりやすく説明しているのでかなり参考になる。
また本書の特徴は、「現場」の人間が書いたとはおもえないほど、社会科学的な知見を駆使していることだ。治安対策の長をやってた人間が、マイク・デイビスの「要塞都市LA」だの、ミシェル・フーコーだのマルクスだのを引用し、抽象的な理論を使い議論のフレームワークをつくろうと試みているなんてのはちょっと驚きだった。
おそらくだが、著者のような全共闘世代くらいまでの官僚というのは、そういう社会科学の本を日常的に読む習慣があるんだろう。立場やイデオロギーの違いの問題以前の、社会認識の共通基盤をつくりあげるような読書経験が「取り締まる側にも、取り締まられる側」にもあったんだろう。
昨今の官僚とか警察はそうした読書経験をもたなくなってきているようにおもう。「取り締まる側」が「国家」とか「社会」とかをトータルに把握しようという動機をもたないことがより偏狭な治安国家化をもたらすのではないか、そう思ってしまった。
警察当局は「治安が悪化している」とさかんに喧伝されているが、「認知件数」と「検挙件数」の巧みな使い分け等で統計が操作されていることなどによって、虚像の「セキュリティ不安」がつくられていることが、統計資料をふんだんにつかって明らかにされていく。とても丁寧にわかりやすく説明しているのでかなり参考になる。
また本書の特徴は、「現場」の人間が書いたとはおもえないほど、社会科学的な知見を駆使していることだ。治安対策の長をやってた人間が、マイク・デイビスの「要塞都市LA」だの、ミシェル・フーコーだのマルクスだのを引用し、抽象的な理論を使い議論のフレームワークをつくろうと試みているなんてのはちょっと驚きだった。
おそらくだが、著者のような全共闘世代くらいまでの官僚というのは、そういう社会科学の本を日常的に読む習慣があるんだろう。立場やイデオロギーの違いの問題以前の、社会認識の共通基盤をつくりあげるような読書経験が「取り締まる側にも、取り締まられる側」にもあったんだろう。
昨今の官僚とか警察はそうした読書経験をもたなくなってきているようにおもう。「取り締まる側」が「国家」とか「社会」とかをトータルに把握しようという動機をもたないことがより偏狭な治安国家化をもたらすのではないか、そう思ってしまった。
2006年8月10日に日本でレビュー済み
凶悪犯罪は増えている、外国人犯罪が増えている、少年犯罪はふえている、治安は悪化している・・・・これらは一見本当に思えるが、本当なのか。それに答えたのが、本書である。
犯罪統計を読む難しさ(犯罪統計に限っていえば、統計データからある一定の結論を導き出すことは難しく、反対に、一定の枠組み(結論)をもとにデータを読み解くことはやさしい。p261)、少年犯罪や外国人犯罪が増えているかどうかは疑わしいこと、治安悪化言説の先にある世界像の提示など、マスコミなどに「洗脳」された読者に別な見方を提示できており、いい本なので、星5つ。
犯罪統計を読む難しさ(犯罪統計に限っていえば、統計データからある一定の結論を導き出すことは難しく、反対に、一定の枠組み(結論)をもとにデータを読み解くことはやさしい。p261)、少年犯罪や外国人犯罪が増えているかどうかは疑わしいこと、治安悪化言説の先にある世界像の提示など、マスコミなどに「洗脳」された読者に別な見方を提示できており、いい本なので、星5つ。
2006年6月22日に日本でレビュー済み
本書は「治安悪化」という身近な言説を懐疑的に分析するとともに、言説発生のメカニズムをわかりやすく解説している。筆者は学者ではないが、本書の内容は学者顔負けの洗礼された指摘に富んでいる。実際に、多くの学者の知見や調査内容をふんだんに引用し、教養をつける上でも最適である。犯罪学(とりわけ犯罪社会学)を学ぶ者は必読の書であるが、文体もやわらかく非常に読みやすい印象を受ける。よって、研究者や学者はもとより、広く一般の読者にも受け入れやすいであろう。本書が多くの方々に読まれることを心より祈願する次第である。