本の題名の刺激性に惹かれて読んだ。「本当の理由」を知りたかった。
著者は、アメリカの野村証券で活躍し、沖縄のサンマリーナホテルを復興させ、首切られて、沖縄大学の先生になった。輝かしいビジネスマンセンスがある人だと思っていたので、沖縄について、このようなことを書くのは、面白そうだと思った。
私も沖縄に深く関わってきたこともあるので、私の思っていた沖縄と著者の沖縄観がかなり距離があることがあったというより、貧困がなくならない理由を、沖縄の社会構造がありながら、経営者の利益を独り占め過ぎて、「愛の経営」をすべきであるとし、また、結局はひとりひとりが自尊心を持つこととしていることである。
沖縄の未来が全く描けていないばかりか、自分の成功経験をおしつける結果になっている。
少なくとも、貧困を招き出している社会構造をどう変えるべきなのかの言及がない。
沖縄の貧困については、かなり著者の都合のいいように並べられている。
沖縄の貧困率がダントツ1位と言っている。確かに、高い。でも、様相は違う面もある。
沖縄県の平均年収は、42位(それ以下のところは、福島、鳥取、鹿児島、島根、秋田)
沖縄県の生活保護受給者4位(大阪、北海道、高知)
沖縄県の自殺者 全国平均以下
など、沖縄県が低い水準にありながら、しかし 最下位ではない。
では、沖縄より悪いところは、どうやって説明するのだろうか?
オリオンビールのカーライルの買収にしても、もと野村証券の元ビジネスマンらしからぬ表層的な分析に驚く。
沖縄の人は、クラクションを鳴らさない。著者は、同調圧力をあげる。(この同調圧力は、沖縄だけでなく、日本にあり、著者が愛の経営を唱えることで、会社の同調圧力にあって、クビになったりしている)これは、私もいくつかの仮説を持っていた。「自動車学校で教えない(実際のこと)」「沖縄の車は海の風に弱いクラクションの機械は外してある(ウソ)」などを立てて、ウチナンチューに聞いて見たら、「沖縄は狭いから、急いでも仕方がない。時間はたっぷりある」ということだった。そんなに急いでどうする。ということが、本当の理由の一つである。このクラクションを鳴らさないことに、著者は異常な関心を持ち、出る杭は打たれる。優秀なものは足が引っ張られるなどという。
おい。おい。ちょっと、違うでしょう。ヤマトンチューの定規で、沖縄を測るべきではない。
著者の話を聞いて、「うちあたい」したというのは、呆れるばかりだ。結局、はっきりしたことは、本の表題が間違っていたのだ。「沖縄の貧困がなくならない本当の理由」は、沖縄の人が貧困ではなく豊かだと思っているからだ。愛の経営や自尊心を持つことではないのだ。
設問を間違えれば、正しい答えが出ない。それは、授業のシーンで、緑を探しなさいと学生に設問して、目を閉じさせて、赤はどこにあったのか?という例が出されているが、とにかく沖縄は最貧困県で、貧困の事実をあげないと納得できないような論調なのである。
日本政府から、補助をたくさん受けて、税制優遇もされていることが、沖縄の貧困を生み出しているというわけではない。沖縄は、離島であり、経済的な交流が、飛行機や船に頼らなくてはならないという陸続きではないという地政的な要因もある。沖縄問題の解決は、在日米軍基地を温存して、多くの県民が反対する新たな基地を建設することをやめさせ、日本政府のヒモ付きで押し付け的な補助金と政府主導の沖縄の補助をやめるべきである。そのことについて、著者は全く無視をしている。つまりは、沖縄県民のための「創造的沖縄」の未来ビジョンが描けていないことが、「愛」に逃避するのだろう。
沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書) (日本語) 新書 – 2020/6/16
樋口 耕太郎
(著)
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本の長さ256ページ
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言語日本語
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出版社光文社
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発売日2020/6/16
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ISBN-104334044794
-
ISBN-13978-4334044794
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商品の説明
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
樋口/耕太郎
1965年生まれ、岩手県盛岡市出身。’89年、筑波大学比較文化学類卒業、野村證券入社。’93年、米国野村證券。’97年、ニューヨーク大学経営学修士課程修了。2001年、不動産トレーディング会社レーサムリサーチへ移籍し金融事業を統括。’04年、沖縄のサンマリーナホテルを取得し、愛を経営理念とする独特の手法で再生。’06年、事業再生を専業とするトリニティ設立、代表取締役社長(現任)。’12年、沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学科准教授(現任)。内閣府・沖縄県主催「金融人財育成講座」講師。沖縄経済同友会常任幹事。『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』が初の著書(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1965年生まれ、岩手県盛岡市出身。’89年、筑波大学比較文化学類卒業、野村證券入社。’93年、米国野村證券。’97年、ニューヨーク大学経営学修士課程修了。2001年、不動産トレーディング会社レーサムリサーチへ移籍し金融事業を統括。’04年、沖縄のサンマリーナホテルを取得し、愛を経営理念とする独特の手法で再生。’06年、事業再生を専業とするトリニティ設立、代表取締役社長(現任)。’12年、沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学科准教授(現任)。内閣府・沖縄県主催「金融人財育成講座」講師。沖縄経済同友会常任幹事。『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』が初の著書(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2020年7月26日に日本でレビュー済み
2018年に著者の「次世代金融講座」の受講生として3ヶ月講座を受けている。
著者は半永久的に振替可能の講座、と謳っていたにも関わらず、「本を書くので」という理由から私の代が最後の受講者となった。
理由になったそれがこの著書である。
著書については、県内地元2紙のうち1つの媒体で2016年に同題名でオンライン寄稿されており、その内容を数年かけて本にしたと思われる。
著書を改めて読み、講座を思い返してみれば、この内容が経営者でなくインフルエンサー志望の島ナイチャーサラリーマンの意見であることがわかる。なぜなら、著者は労働集約型の企業経営経験が2年弱しかなく、サンマリーナの例はその2年の中の実に1期分の実績であり、すべて自己申告でエビデンスとして信憑性がないからだ。
以下は、講座期間に私から著者へ質問した著者による回答である。
・サンマリーナでの人事評価の開示要求
→普通の評価制度ですよ、と開示せず
・講座では人件費について出し惜しみしてる経営者が多いような話ぶりだが、たとえば業種などで率で決めるのはどうか(労働分配率)
→株主が黙っていますかね
国内は99%以上が株主を持たない中小企業であるのに?と疑問に思った。
私にとって講座受講の価値は、サンマリーナでの人事評価、公正で労働者の能力を最大限にあげられる評価を知りたい、という非常に強い興味を満たすべきものであったし、期待した。
しかし聞いてみれば、たった1回の人事評価。たった1期の業績のみで著者の経営能力を判断することは不可能であり、サンマリーナを解任されたのちに、現任の代表取締役を務めるターンアラウンド専業と謳ったトリニティ会社の実績は過去14年の間何一つ経歴に書かれていないのも不思議に感じる。
著書にもでてくる(講座にもでてくる)
サンマリーナの従業員面談で60歳の従業員がいつまで働けるのかのかという切実な質問に対し、「いつまででも働けます」と答えた経営者であった著者は、その後10年続け(半永久的に振替可能)であると謳って受講生募集した講座を突如辞めてしまった。
結果的にサンマリーナは転売されたので60歳従業員との約束も果たされたかどうか不明だが、
もともとレーサムが利益を得るため価値を高めた後に転売予定だったサンマリーナを、一発屋になるリスクを無視して雇われ経営を続けようとした?からクビになるのは当然ではないのか?とすら勘繰ってしまう。支出に関しては基準を示さず人件費に投下せよ、の一点張りに見え、盗みを働いた従業員も実績を作れない5名の役員も解雇せず報酬をあげた(数字では提示していない)が、収益(解決策)の具体的な方法などに関しての言及はなく労働集約型企業の経営者的目線はまったくゼロである。
著者のリーダーシップ論は、ただ従業員への共感や報酬を充分に与える(数値基準はなし)に終始し、一貫して人件費支出が生産性へ与える具体的な仕組みを分析出来ていないため、同業種であっても互換性がなく分かりづらい。
「共感や自尊心を鼓舞する」ことが実質的にどのくらいの期間継続して業績に影響を及ぼすのか検証できていない。
結果としてただの「良い人アピール」にしか見えない。
「尊敬語や丁寧語もうまく使えない沖縄の労働者に期待しても仕方ない」というような著者の言いようであったが、全く失礼でウチナーンチュを相当に勘違いされている。沖縄人も基本的に有能だ。その有能さをさらに最大限に訓練し引き出すのが経営者の仕事の1つである。
沖縄人の捉え方についても、14年前の先入観や固定観念に異様に執着している。
それは著書にも「出る杭は打たれる集団圧力」や「変化を嫌う沖縄経済」という言葉で表されている。
ちょっと違うんじゃないか。。。
確かに一昔前に内地から上陸したサービスが県民に合わず一時撤退したりもしたが、沖縄人だって良いサービス・良い商品・便利であったり合理的であれば、存分に金を払っている。付き合いで金を払い続けたりはしない。今はたくさんのサービス・企業が、沖縄市場に戻ったり新規参入し、賑わっている。沖縄は今でも人口が増え続けており企業が狙う日本の中でも大きな地方マーケットだ。
「遠慮しがちで意見の言えない同じのものを買う優しいウチナーンチュ」というのが著者の未だに持つ強い偏見にみえる。そして言うならこの傾向は沖縄人に限ったことではない。日本人全体もその傾向だ。そのような表現をして沖縄の大学や講座などで収入を得てるのをみると、一部の主体性のない沖縄人を一部の数字だけを示して良いカモにしてるようにしかみえない。
著書に使われるエピソード、そのほとんどが著者の都合の良い経験値から導かれた結論で、
客観性を欠き、信頼に足る裏付けを伴わない独善的なロジックのものが多い。
徹底した統計や検証によらず、14年以上前にもなる著者の古い成功体験に囚われすぎている。
肩書にある優秀なビジネスパーソンと思わしき経歴に疑問すら感じずにはいられない。そもそも華々しくみえる経歴も、著者の言葉を使うならば「前登った山の経歴」である。読者や受講者を(養分)にしないという意思があるならば「今登っている山」の経営実績を経歴に載せるべきである。
捉え方が多様な〝愛”を目的としていることは、愛を逃げ道にもできる。迷える学生、管理職労働者・経営者をターゲットにした講座や著書は愛という名の支配、愛という名の搾取である。
沖縄県の私大で高等教育の現場に立つ立場ならば、理念の「愛なら今どうするか?」を掘り下げ、愛の定義から始めてはどうか??
地元で安くはない私大の授業料を払う学生に対して准教授として真摯に向きあい、「またまた登る山を変えました」と言うことのないようにしていただきたいと沖縄県民として、沖縄の労働者として、沖縄の経営者として、沖縄で子を持つ親として願うばかりである。
コメント追記
著者は半永久的に振替可能の講座、と謳っていたにも関わらず、「本を書くので」という理由から私の代が最後の受講者となった。
理由になったそれがこの著書である。
著書については、県内地元2紙のうち1つの媒体で2016年に同題名でオンライン寄稿されており、その内容を数年かけて本にしたと思われる。
著書を改めて読み、講座を思い返してみれば、この内容が経営者でなくインフルエンサー志望の島ナイチャーサラリーマンの意見であることがわかる。なぜなら、著者は労働集約型の企業経営経験が2年弱しかなく、サンマリーナの例はその2年の中の実に1期分の実績であり、すべて自己申告でエビデンスとして信憑性がないからだ。
以下は、講座期間に私から著者へ質問した著者による回答である。
・サンマリーナでの人事評価の開示要求
→普通の評価制度ですよ、と開示せず
・講座では人件費について出し惜しみしてる経営者が多いような話ぶりだが、たとえば業種などで率で決めるのはどうか(労働分配率)
→株主が黙っていますかね
国内は99%以上が株主を持たない中小企業であるのに?と疑問に思った。
私にとって講座受講の価値は、サンマリーナでの人事評価、公正で労働者の能力を最大限にあげられる評価を知りたい、という非常に強い興味を満たすべきものであったし、期待した。
しかし聞いてみれば、たった1回の人事評価。たった1期の業績のみで著者の経営能力を判断することは不可能であり、サンマリーナを解任されたのちに、現任の代表取締役を務めるターンアラウンド専業と謳ったトリニティ会社の実績は過去14年の間何一つ経歴に書かれていないのも不思議に感じる。
著書にもでてくる(講座にもでてくる)
サンマリーナの従業員面談で60歳の従業員がいつまで働けるのかのかという切実な質問に対し、「いつまででも働けます」と答えた経営者であった著者は、その後10年続け(半永久的に振替可能)であると謳って受講生募集した講座を突如辞めてしまった。
結果的にサンマリーナは転売されたので60歳従業員との約束も果たされたかどうか不明だが、
もともとレーサムが利益を得るため価値を高めた後に転売予定だったサンマリーナを、一発屋になるリスクを無視して雇われ経営を続けようとした?からクビになるのは当然ではないのか?とすら勘繰ってしまう。支出に関しては基準を示さず人件費に投下せよ、の一点張りに見え、盗みを働いた従業員も実績を作れない5名の役員も解雇せず報酬をあげた(数字では提示していない)が、収益(解決策)の具体的な方法などに関しての言及はなく労働集約型企業の経営者的目線はまったくゼロである。
著者のリーダーシップ論は、ただ従業員への共感や報酬を充分に与える(数値基準はなし)に終始し、一貫して人件費支出が生産性へ与える具体的な仕組みを分析出来ていないため、同業種であっても互換性がなく分かりづらい。
「共感や自尊心を鼓舞する」ことが実質的にどのくらいの期間継続して業績に影響を及ぼすのか検証できていない。
結果としてただの「良い人アピール」にしか見えない。
「尊敬語や丁寧語もうまく使えない沖縄の労働者に期待しても仕方ない」というような著者の言いようであったが、全く失礼でウチナーンチュを相当に勘違いされている。沖縄人も基本的に有能だ。その有能さをさらに最大限に訓練し引き出すのが経営者の仕事の1つである。
沖縄人の捉え方についても、14年前の先入観や固定観念に異様に執着している。
それは著書にも「出る杭は打たれる集団圧力」や「変化を嫌う沖縄経済」という言葉で表されている。
ちょっと違うんじゃないか。。。
確かに一昔前に内地から上陸したサービスが県民に合わず一時撤退したりもしたが、沖縄人だって良いサービス・良い商品・便利であったり合理的であれば、存分に金を払っている。付き合いで金を払い続けたりはしない。今はたくさんのサービス・企業が、沖縄市場に戻ったり新規参入し、賑わっている。沖縄は今でも人口が増え続けており企業が狙う日本の中でも大きな地方マーケットだ。
「遠慮しがちで意見の言えない同じのものを買う優しいウチナーンチュ」というのが著者の未だに持つ強い偏見にみえる。そして言うならこの傾向は沖縄人に限ったことではない。日本人全体もその傾向だ。そのような表現をして沖縄の大学や講座などで収入を得てるのをみると、一部の主体性のない沖縄人を一部の数字だけを示して良いカモにしてるようにしかみえない。
著書に使われるエピソード、そのほとんどが著者の都合の良い経験値から導かれた結論で、
客観性を欠き、信頼に足る裏付けを伴わない独善的なロジックのものが多い。
徹底した統計や検証によらず、14年以上前にもなる著者の古い成功体験に囚われすぎている。
肩書にある優秀なビジネスパーソンと思わしき経歴に疑問すら感じずにはいられない。そもそも華々しくみえる経歴も、著者の言葉を使うならば「前登った山の経歴」である。読者や受講者を(養分)にしないという意思があるならば「今登っている山」の経営実績を経歴に載せるべきである。
捉え方が多様な〝愛”を目的としていることは、愛を逃げ道にもできる。迷える学生、管理職労働者・経営者をターゲットにした講座や著書は愛という名の支配、愛という名の搾取である。
沖縄県の私大で高等教育の現場に立つ立場ならば、理念の「愛なら今どうするか?」を掘り下げ、愛の定義から始めてはどうか??
地元で安くはない私大の授業料を払う学生に対して准教授として真摯に向きあい、「またまた登る山を変えました」と言うことのないようにしていただきたいと沖縄県民として、沖縄の労働者として、沖縄の経営者として、沖縄で子を持つ親として願うばかりである。
コメント追記
2020年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
沖縄の経済は、国からの効率補助(税金)によって成り立っている。
豊富なデータでもって著者・樋口耕太郎氏は、沖縄の問題をあぶりだしていく。
ページをめくる読者が、もし沖縄県民(沖縄県民)であれば、ウチアタイ(心にグサグサと刺さる)する内容だろう。オリオンビールの買収(県外、海外資本による)や、小売業のサンエーが県外進出が出来ていない(過去に進出したが現在は撤退)ことに言及する本書でのくだりは、関係者には耳に痛いであろう。
本書の前半部分で、沖縄企業や沖縄の人々を一方的に批判してるようにも、感じる読者もいるかもしれない。しかし、これは著者の沖縄への愛情であり、沖縄によって著者自身が癒やされ人生を再出発させた体験から来るモノであろう(沖縄でのホテル支配人としての体験、沖縄の大学で教授しての経験が本書で語られる)。
この愛情が、コロナ後に必要とされる「人間の経済」を実現する原動力なのだろう。
著者は証券、不動産業界に身をおいてグローバル経済で活躍してきた人物でもある。
現在は沖縄というローカルから論評をボーダレスに発信されています。
著者が本書で問題にしている、国から沖縄への効率補助について。その効率補助を国が沖縄へとなぜ止めないのか?その原因についての検証が本書ではなされていなかった。その一点だけは消化不良が残る。
また著者の経歴が証券会社に勤めていた経験から、多くの親友がいまでも同会社にいるーと記述も見られた。そうであれば、オリオンビールの買収が単に酒税法の問題や、経済のグローバル化によるものでは無いーという真相部分についても言及があるともっと興味深く読めた。
最後に、多くの方が一読するに値する本だと感じました。
豊富なデータでもって著者・樋口耕太郎氏は、沖縄の問題をあぶりだしていく。
ページをめくる読者が、もし沖縄県民(沖縄県民)であれば、ウチアタイ(心にグサグサと刺さる)する内容だろう。オリオンビールの買収(県外、海外資本による)や、小売業のサンエーが県外進出が出来ていない(過去に進出したが現在は撤退)ことに言及する本書でのくだりは、関係者には耳に痛いであろう。
本書の前半部分で、沖縄企業や沖縄の人々を一方的に批判してるようにも、感じる読者もいるかもしれない。しかし、これは著者の沖縄への愛情であり、沖縄によって著者自身が癒やされ人生を再出発させた体験から来るモノであろう(沖縄でのホテル支配人としての体験、沖縄の大学で教授しての経験が本書で語られる)。
この愛情が、コロナ後に必要とされる「人間の経済」を実現する原動力なのだろう。
著者は証券、不動産業界に身をおいてグローバル経済で活躍してきた人物でもある。
現在は沖縄というローカルから論評をボーダレスに発信されています。
著者が本書で問題にしている、国から沖縄への効率補助について。その効率補助を国が沖縄へとなぜ止めないのか?その原因についての検証が本書ではなされていなかった。その一点だけは消化不良が残る。
また著者の経歴が証券会社に勤めていた経験から、多くの親友がいまでも同会社にいるーと記述も見られた。そうであれば、オリオンビールの買収が単に酒税法の問題や、経済のグローバル化によるものでは無いーという真相部分についても言及があるともっと興味深く読めた。
最後に、多くの方が一読するに値する本だと感じました。
2020年7月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
沖縄の貧困の原因を考察している本。
本書の重要な指摘は、「根本的な問題は、沖縄の人々の心の持ち方にある」という点だろう。
沖縄の人々には、「目立つ行動をする人物を嫌う」「現状維持を好む」などの傾向があり、その結果、「個性的な人や有能な人材をつぶす」「イノベーションを起こそうとしない」といった問題が起きているそうである。
私は読みながら「日本人の精神性の悪いところを煮詰めたもの = 沖縄マインド」という印象をもった(本書の終盤に、著者もそう考えていることが明かされる)。
「世界の中の日本」と「日本の中の沖縄」が類似の関係にあるとすれば、日本人が本書から学ぶべきことは少なくないはずだ。
著者は、問題解決のカギは、健全な自己愛の獲得にあると考えている。たしかにそれは重要な指摘だろう。しかし私はむしろ、問題の本質は「人間関係が流動的か、閉鎖的か」という点にあるのではないかと思った。
人の出入りがない組織内では、「悪い評判」はいつまでも消えずに残る。そのため流動性の低い日本的な組織では、学校でも職場でも、いじめがなくならない。そのような閉鎖的な環境で生きのびるための最適戦略は、必然的に「リスクをとらず、人と違うことは一切しないこと」となる。沖縄は、本土よりも閉鎖的なため、この問題がいっそう顕在化しやすいのではないか。
日本にせよ沖縄にせよ、このような「閉鎖的な社会」は現代に適合的ではない。なぜなら、現代に求められるのは(AIでは代替できないような)「個性的でイノベーティブな人材」だからだ。
日本(そして沖縄)の問題を解決しうる最も効果的な方法は、「人材の流動性を高める」ことだと私は思う。しかしそのためには、終身雇用や年功序列といった日本的な雇用環境を廃し、人々が異なる組織間を移動しやすくする必要がある。沖縄の場合、さらに「小さな島」という地理的な制約があるため、流動性の確保はいっそうハードルが高い。
せめて沖縄の人々の間で「本土に出て、ふたたび沖縄に戻ること」をポジティブに評価するような価値観が形成されることが理想だが、本書を読むかぎり、道のりは険しそうである。
本書の重要な指摘は、「根本的な問題は、沖縄の人々の心の持ち方にある」という点だろう。
沖縄の人々には、「目立つ行動をする人物を嫌う」「現状維持を好む」などの傾向があり、その結果、「個性的な人や有能な人材をつぶす」「イノベーションを起こそうとしない」といった問題が起きているそうである。
私は読みながら「日本人の精神性の悪いところを煮詰めたもの = 沖縄マインド」という印象をもった(本書の終盤に、著者もそう考えていることが明かされる)。
「世界の中の日本」と「日本の中の沖縄」が類似の関係にあるとすれば、日本人が本書から学ぶべきことは少なくないはずだ。
著者は、問題解決のカギは、健全な自己愛の獲得にあると考えている。たしかにそれは重要な指摘だろう。しかし私はむしろ、問題の本質は「人間関係が流動的か、閉鎖的か」という点にあるのではないかと思った。
人の出入りがない組織内では、「悪い評判」はいつまでも消えずに残る。そのため流動性の低い日本的な組織では、学校でも職場でも、いじめがなくならない。そのような閉鎖的な環境で生きのびるための最適戦略は、必然的に「リスクをとらず、人と違うことは一切しないこと」となる。沖縄は、本土よりも閉鎖的なため、この問題がいっそう顕在化しやすいのではないか。
日本にせよ沖縄にせよ、このような「閉鎖的な社会」は現代に適合的ではない。なぜなら、現代に求められるのは(AIでは代替できないような)「個性的でイノベーティブな人材」だからだ。
日本(そして沖縄)の問題を解決しうる最も効果的な方法は、「人材の流動性を高める」ことだと私は思う。しかしそのためには、終身雇用や年功序列といった日本的な雇用環境を廃し、人々が異なる組織間を移動しやすくする必要がある。沖縄の場合、さらに「小さな島」という地理的な制約があるため、流動性の確保はいっそうハードルが高い。
せめて沖縄の人々の間で「本土に出て、ふたたび沖縄に戻ること」をポジティブに評価するような価値観が形成されることが理想だが、本書を読むかぎり、道のりは険しそうである。