会社の決算書は「貸借対照表」「損益計算書」「利益処分案」の3つにより構成されていたが、2000年3月期の決算から「キャッシュ・フロー計算書」が新たに加わった。決算書の基本中の基本をわかりやすく解説し、これまで増刷を重ねてきた本書も、第6章にキャッシュ・フロー計算書の項を設け、改訂・増補を行った。最大の特徴といえる「わかりやすさ」に比重を置いた執筆スタイルは改訂版でも生かされており、キャッシュ・フロー計算書はどのように構成されているのか、どう読めばいいのかを平易な言葉でまとめている。
たとえば、「営業キャッシュ・フローで稼いだ範囲で投資活動が出来れば健全」とか、「投資した後、余剰資金があれば、借入返済に充てたり、株主に対する優遇が可能となり…、理想的」と分析。同計算書を構成している営業、投資、財務の3つの活動におけるキャッシュ・フローの関係を簡潔に説明してくれる。従来の「損益計算書」「貸借対照表」のしくみを説明した第1章から第4章においても、損益計算書のポイントとなる5種類の利益や、貸借対照表の「資産の部」「負債・資本の部」で使う用語を咀嚼(そしゃく)する。
講師としての経験が豊富な石島らしく、随所でポイントをまとめたり図解したり、要点に的を絞った解説には定評がある。実務家が読むには物足りなさがあるものの、決算書を一から勉強したいサラリーマンや数字に弱い経営者にはうってつけの入門書といえる。(奥谷貴仁)
会社の利益・財産・借金などがひと目でわかる「決算書」は、企業活動の成果がすべて凝縮された「会社の通信簿」。経営状態から未来の戦略まで、さまざまな情報が読み取れる。本書では、損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書の3つの決算書の基本中の基本を、図表をふんだんに盛りこみ、わかりやすさにこだわって徹底解説。数字が苦手な手にこそおすすめしたい決算書入門の決定版。