毒液の細かい作用などを延々と説明して結局なんでこうなるのかは分かっていないというのが多い。
不思議な生物の形態を進化で決めつける態度に違和感を覚えました。
神や何者かの意志があったからこそこのような生物が存在すると考えたほうがスッキリします。
価格と内容があってないので損した気分です。
毒々生物の奇妙な進化 (日本語) 単行本 – 2017/2/16
クリスティー ウィルコックス
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
-
本の長さ278ページ
-
言語日本語
-
出版社文藝春秋
-
発売日2017/2/16
-
ISBN-104163906010
-
ISBN-13978-4163906010
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
- 大人のための図鑑 毒と薬鈴木 勉単行本(ソフトカバー)
- ふしぎな世界を見てみよう! 猛毒生物 大図鑑長沼 毅単行本(ソフトカバー)
- 生物毒の科学 (大英自然史博物館シリーズ 3)ロナルド・ジェンナー単行本(ソフトカバー)
- 図解でよくわかる毒のきほん: 毒の科学から、猛毒生物、毒物劇物の取扱方法まで (すぐわかるすごくわかる!)五十君 靜信単行本
- 増補 へんな毒 すごい毒 (ちくま文庫)田中 真知文庫
- 毒々生物の奇妙な進化 (文春文庫)文庫
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
進化した毒は薬にもなる。世にも奇妙な毒々研究の世界。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ウィルコックス,クリスティー
生物学者。2014年にハワイ大学で博士号取得(細胞分子生物学)。現在はハワイ大学でポスドクとして毒々生物を研究する傍ら、サイエンス・ライターとして『ニューヨーク・タイムズ』や『ワシントン・ポスト』にも寄稿している
垂水/雄二
翻訳家。科学ジャーナリスト。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。生物学、進化論翻訳の第一人者として知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
生物学者。2014年にハワイ大学で博士号取得(細胞分子生物学)。現在はハワイ大学でポスドクとして毒々生物を研究する傍ら、サイエンス・ライターとして『ニューヨーク・タイムズ』や『ワシントン・ポスト』にも寄稿している
垂水/雄二
翻訳家。科学ジャーナリスト。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。生物学、進化論翻訳の第一人者として知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2017/2/16)
- 発売日 : 2017/2/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 278ページ
- ISBN-10 : 4163906010
- ISBN-13 : 978-4163906010
-
Amazon 売れ筋ランキング:
- 358,018位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 119位生化学 (本)
- - 359位遺伝子・分子生物学
- - 775位環境・エコロジー (本)
- カスタマーレビュー:
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.0
星5つ中の4
15 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
女性筆者のクリスティー氏は・・・毒が大好きである。読者の私が感情を強く揺さぶられた所は、イモガイの毒の多様性でした。私も有毒生物への尊敬の念を深くしました。
本書の内容は、全世界の毒への興味、有毒生物への畏敬にあふれています。糖尿病の最新治療薬 (GLP-1阻害薬) も有毒生物 (アメリカドクトカゲ) から得られたものだった!!
本書の内容は、全世界の毒への興味、有毒生物への畏敬にあふれています。糖尿病の最新治療薬 (GLP-1阻害薬) も有毒生物 (アメリカドクトカゲ) から得られたものだった!!
ベスト1000レビュアー
Amazonで購入
冒頭いきなり、
「 26種類の毒ヘビに咬まれ、23回骨折した研究者 」が登場し、
これに負けじと著者(カバーに著者近影あり。若いお姉ちゃんだった)も、
「 一度サルに咬まれたことがあったが、
そのときは、8回の免疫グロブリン注射と4回の狂犬病予防注射だけで済んだ。
それからウニに刺されたことも・・・ 」と、ダメージ自慢を始めますが、
基本的にこの本は、非常にマジメな本でした。
・
・
この本に登場する人たちは、
プロ・アマ(?)問わず、本当にブッ飛んだ人たちばかりです。
・
「 すでに、ヘビなどの爬虫類を飼っている人たち、
おおむね10代の子供や若者の間で、
毒を持つペット( 彼らは『 ホット< な奴ら >』と呼ぶ )を用いて、
自家免疫実践を始める人が増えている。
彼らは、『 ホット 』を飼育したり、研究したりしている人はみな、
その種に対して免疫をもつべきだと主張していて、
自分たちがその重要な運動を率いていると思っている。
しかし、
ほとんどの飼育家は、
自家免疫実践者によって爬虫類を飼う人たちの評判が貶められていると考えていて、
彼らをマッチョ・カルトになぞらえている。
それに対して、自家免疫実践者たちは、
ブラックマンバのような悪名高い種によって、
ひたすら自分たちが咬まれる様子をビデオに撮り、それを公開している。
そして、彼らをクレイジーと呼ぶ人に向かって中指を立てているのだ 」
・
・・・こういうお話は、たしかに各章にあるのですが、
この本の大部分は、以下のようなマジメなお話です。
・
「 私の皮膚細胞がキーボードに触れたとき、
その圧力は、皮膚の最外層である真皮のすぐ下にある、
機械受容器の活性化を引き起こす。
すると、ニューロンの細胞膜にある、圧力に反応するイオンチャンネルが開き、
その瞬間、イオンが活動を始める。
イオンチャンネルとは、
特定のイオンを選択的に透過させる役割をもつ膜タンパク質のことで、
どんな荷電粒子でも通り抜けられるものもあれば、
1種類のイオンしか通過できないものもある。
圧力に反応するのはナトリウムチャンネルであり、
ナトリウムイオンを細胞内に流入させる性質をもっている。
そのため、瞬間的に、細胞の外側よりも内側に、
より多くの正電荷が集まることになり、
イオンチャンネルのまわりの電位はプラス30ミリボルトになる。
そして、そのチャンネルは閉じてしまう 」
・
・
・・・この大部分のマジメなパートまでをも含めて、
楽しく読める人にとっては、この本は最高に面白い本になると思います。
コブラの毒液を麻薬の代わりに使っている、頭のイカれた連中のお話などなど、
面白い逸話が多い本ではあるのですが、
とにかく基本的にマジメな本で、マジメなお話が長いので、
読み手を確実に選ぶ本だと思います。
この本を出した文藝春秋が以前出した、
「 世にも奇妙な人体実験の歴史 」のような、ブッ飛んだ英雄列伝みたいな本ではありませんでした。
だから、マジメで頭の良い人向けの本です。
・
ところで、
この著者のお姉さんには、ブッ飛んだ知り合いが多いようなので、
次回はブッ飛んだ、
というかほとんどイカれているとしか思えない科学者たちの逸話だけを集めた本を読んでみたいです。
このレビューが参考になれば幸いです。 ( `・ω・) ウーム…
「 26種類の毒ヘビに咬まれ、23回骨折した研究者 」が登場し、
これに負けじと著者(カバーに著者近影あり。若いお姉ちゃんだった)も、
「 一度サルに咬まれたことがあったが、
そのときは、8回の免疫グロブリン注射と4回の狂犬病予防注射だけで済んだ。
それからウニに刺されたことも・・・ 」と、ダメージ自慢を始めますが、
基本的にこの本は、非常にマジメな本でした。
・
・
この本に登場する人たちは、
プロ・アマ(?)問わず、本当にブッ飛んだ人たちばかりです。
・
「 すでに、ヘビなどの爬虫類を飼っている人たち、
おおむね10代の子供や若者の間で、
毒を持つペット( 彼らは『 ホット< な奴ら >』と呼ぶ )を用いて、
自家免疫実践を始める人が増えている。
彼らは、『 ホット 』を飼育したり、研究したりしている人はみな、
その種に対して免疫をもつべきだと主張していて、
自分たちがその重要な運動を率いていると思っている。
しかし、
ほとんどの飼育家は、
自家免疫実践者によって爬虫類を飼う人たちの評判が貶められていると考えていて、
彼らをマッチョ・カルトになぞらえている。
それに対して、自家免疫実践者たちは、
ブラックマンバのような悪名高い種によって、
ひたすら自分たちが咬まれる様子をビデオに撮り、それを公開している。
そして、彼らをクレイジーと呼ぶ人に向かって中指を立てているのだ 」
・
・・・こういうお話は、たしかに各章にあるのですが、
この本の大部分は、以下のようなマジメなお話です。
・
「 私の皮膚細胞がキーボードに触れたとき、
その圧力は、皮膚の最外層である真皮のすぐ下にある、
機械受容器の活性化を引き起こす。
すると、ニューロンの細胞膜にある、圧力に反応するイオンチャンネルが開き、
その瞬間、イオンが活動を始める。
イオンチャンネルとは、
特定のイオンを選択的に透過させる役割をもつ膜タンパク質のことで、
どんな荷電粒子でも通り抜けられるものもあれば、
1種類のイオンしか通過できないものもある。
圧力に反応するのはナトリウムチャンネルであり、
ナトリウムイオンを細胞内に流入させる性質をもっている。
そのため、瞬間的に、細胞の外側よりも内側に、
より多くの正電荷が集まることになり、
イオンチャンネルのまわりの電位はプラス30ミリボルトになる。
そして、そのチャンネルは閉じてしまう 」
・
・
・・・この大部分のマジメなパートまでをも含めて、
楽しく読める人にとっては、この本は最高に面白い本になると思います。
コブラの毒液を麻薬の代わりに使っている、頭のイカれた連中のお話などなど、
面白い逸話が多い本ではあるのですが、
とにかく基本的にマジメな本で、マジメなお話が長いので、
読み手を確実に選ぶ本だと思います。
この本を出した文藝春秋が以前出した、
「 世にも奇妙な人体実験の歴史 」のような、ブッ飛んだ英雄列伝みたいな本ではありませんでした。
だから、マジメで頭の良い人向けの本です。
・
ところで、
この著者のお姉さんには、ブッ飛んだ知り合いが多いようなので、
次回はブッ飛んだ、
というかほとんどイカれているとしか思えない科学者たちの逸話だけを集めた本を読んでみたいです。
このレビューが参考になれば幸いです。 ( `・ω・) ウーム…
2017年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
専門家の書いた本なので専門的ですが、一般的に知られていないことが多く、興味深い。退屈しません良い本だと思います。
2017年3月2日に日本でレビュー済み
「毒をもつ生物には生命の歴史が詰まっている」(p.248)
大仰に聞こえるかもしれないこの最終節タイトルも、読み進めたあとでは確かにそう思えてくる。
何十倍、何百倍もの体格差をひっくり返し食物連鎖のピラミッドをも変えうる毒。
相手を麻痺させるには1つの成分で十分なのに、なぜ毒液には数百の化合物が含まれているのか。
まったく異なる種がよく似た毒素を持つのはなぜなのか。
毒に対抗する免疫系はどのように獲得されたのか。
分子生物学や生化学の領域もポップすぎず堅くなりすぎない絶妙のバランスで解説してくれる。
そしてなにより、それらを結びつける様々な毒のエピソードがとにかく面白い。
毒を用いた古代の暗殺術。毒蛇と蛇食動物の共進化。餌とするゴキブリを毒で操るハチ。
ひっそりと噛み皮膚を壊死させるクモ。コブラ毒でトリップするパーティーetc
毒による激痛の章は読んでるだけでゾワッとする。
掲載写真は10点ほどと少ないが、筆致が素晴らしく、視覚に頼らず「毒の魅力」を知れる。
次回作があれば植物も取り上げてほしい。
大仰に聞こえるかもしれないこの最終節タイトルも、読み進めたあとでは確かにそう思えてくる。
何十倍、何百倍もの体格差をひっくり返し食物連鎖のピラミッドをも変えうる毒。
相手を麻痺させるには1つの成分で十分なのに、なぜ毒液には数百の化合物が含まれているのか。
まったく異なる種がよく似た毒素を持つのはなぜなのか。
毒に対抗する免疫系はどのように獲得されたのか。
分子生物学や生化学の領域もポップすぎず堅くなりすぎない絶妙のバランスで解説してくれる。
そしてなにより、それらを結びつける様々な毒のエピソードがとにかく面白い。
毒を用いた古代の暗殺術。毒蛇と蛇食動物の共進化。餌とするゴキブリを毒で操るハチ。
ひっそりと噛み皮膚を壊死させるクモ。コブラ毒でトリップするパーティーetc
毒による激痛の章は読んでるだけでゾワッとする。
掲載写真は10点ほどと少ないが、筆致が素晴らしく、視覚に頼らず「毒の魅力」を知れる。
次回作があれば植物も取り上げてほしい。
ベスト50レビュアー
『毒々生物の奇妙な進化』(クリスティー・ウィルコックス著、垂水雄二訳、文藝春秋)では、多くの毒液動物が取り上げられています。
いずれの毒液動物もそれぞれ興味深いのですが、とりわけ身の毛がよだつのは、「恐怖のマインド・コントロール」の章の主人公・エメラルドゴキブリバチです。「エメラルドゴキブリバチは、獲物の心を操り、ゾンビ化させる特殊な毒をもっている。毒を送り込まれたゴキブリは、幼虫の餌として進んで自らを差し出すのだ」。
「エメラルドゴキブリバチは、自分の子どもの餌にするゴキブリに対して、その心をコントロールして、怖れの感覚や運命から逃れようとする意思を奪い取ってしまうのである。健全なゴキブリを心のないゾンビに変えるのは、なんらかの治療不能なウイルスではない――毒液である。とはいえ、それはただの毒液ではない。麻薬のように作用する、ゴキブリの脳を標的とした特殊な毒液である」。
エメラルドゴキブリバチは、狙ったゴキブリの脳内に直接、毒液を注入するのです。「相手の数分の一の大きさしかないこの寄生バチは、頭上から攻撃を開始し、急降下してゴキブリを口で掴むと、『毒針』(産卵管が変形したもの)で胸部にある第一歩脚のあいだに狙いをつける。この素早い一撃には、ほんの2、3秒しかかからず、毒液化合物は迅速に作用して、ゴキブリを一時的に麻痺させる。そのおかげで、ゴキブリバチは2回目の攻撃をより正確におこなうことができる。その長い毒針で、心を操る毒液を2箇所の神経節(昆虫の脳に相当する部分)を狙って送り込むのだ」。
「ゴキブリの運動能力は無傷で残るのだが、彼らはどうしてもそれを使いたがらない。毒液は、彼らの感覚を失わせはしない――そのかわりに、感覚に対する脳の反応の仕方を変えるのである。毒液は特定のニューロンを弱めて、活性と反応性を低下させるのだ。それによって、ゴキブリは突然、恐怖心を失うことになり、唯々諾々と葬られ、生きたまま食べられることになる」。
「ゴキブリが静かになって動かなくなると、ゴキブリバチはその触角を噛みきり、甘くて栄養のある血液を飲むことで、エネルギーを補充することができる。それから、騎手が手綱を扱うように、残った触角を使って獲物を墓場まで導いていく。ひとたび巣穴の中に入ると、ゴキブリの体に卵を一つ産みつけ、なかに自分の子どもを残して入り口を塞いでしまう。そして、まるで心の操作だけではまだ足りないといわんばかりに、ゴキブリバチの毒液はとどめの一撃を加える。ゴキブリが避けることのできない悲運を待ち受けているあいだ、その代謝速度を低下させるのだ――確実に長生きして。新鮮なままむさぼり食われることができるように」。
「ゴキブリバチの幼虫は卵から孵化したとき、確実に餌を食べられるようになっている。そして、まもなく羽化した新しいゴキブリバチが巣穴から姿を現し、ゴキブリの死体をあとに残して飛び去っていくのだ」。
本書で、エメラルドゴキブリバチにいいようにされっぱなしのゴキブリの事例を知ったら、普段は憎たらしいゴキブリがかわいそうに思われてきました。
いずれの毒液動物もそれぞれ興味深いのですが、とりわけ身の毛がよだつのは、「恐怖のマインド・コントロール」の章の主人公・エメラルドゴキブリバチです。「エメラルドゴキブリバチは、獲物の心を操り、ゾンビ化させる特殊な毒をもっている。毒を送り込まれたゴキブリは、幼虫の餌として進んで自らを差し出すのだ」。
「エメラルドゴキブリバチは、自分の子どもの餌にするゴキブリに対して、その心をコントロールして、怖れの感覚や運命から逃れようとする意思を奪い取ってしまうのである。健全なゴキブリを心のないゾンビに変えるのは、なんらかの治療不能なウイルスではない――毒液である。とはいえ、それはただの毒液ではない。麻薬のように作用する、ゴキブリの脳を標的とした特殊な毒液である」。
エメラルドゴキブリバチは、狙ったゴキブリの脳内に直接、毒液を注入するのです。「相手の数分の一の大きさしかないこの寄生バチは、頭上から攻撃を開始し、急降下してゴキブリを口で掴むと、『毒針』(産卵管が変形したもの)で胸部にある第一歩脚のあいだに狙いをつける。この素早い一撃には、ほんの2、3秒しかかからず、毒液化合物は迅速に作用して、ゴキブリを一時的に麻痺させる。そのおかげで、ゴキブリバチは2回目の攻撃をより正確におこなうことができる。その長い毒針で、心を操る毒液を2箇所の神経節(昆虫の脳に相当する部分)を狙って送り込むのだ」。
「ゴキブリの運動能力は無傷で残るのだが、彼らはどうしてもそれを使いたがらない。毒液は、彼らの感覚を失わせはしない――そのかわりに、感覚に対する脳の反応の仕方を変えるのである。毒液は特定のニューロンを弱めて、活性と反応性を低下させるのだ。それによって、ゴキブリは突然、恐怖心を失うことになり、唯々諾々と葬られ、生きたまま食べられることになる」。
「ゴキブリが静かになって動かなくなると、ゴキブリバチはその触角を噛みきり、甘くて栄養のある血液を飲むことで、エネルギーを補充することができる。それから、騎手が手綱を扱うように、残った触角を使って獲物を墓場まで導いていく。ひとたび巣穴の中に入ると、ゴキブリの体に卵を一つ産みつけ、なかに自分の子どもを残して入り口を塞いでしまう。そして、まるで心の操作だけではまだ足りないといわんばかりに、ゴキブリバチの毒液はとどめの一撃を加える。ゴキブリが避けることのできない悲運を待ち受けているあいだ、その代謝速度を低下させるのだ――確実に長生きして。新鮮なままむさぼり食われることができるように」。
「ゴキブリバチの幼虫は卵から孵化したとき、確実に餌を食べられるようになっている。そして、まもなく羽化した新しいゴキブリバチが巣穴から姿を現し、ゴキブリの死体をあとに残して飛び去っていくのだ」。
本書で、エメラルドゴキブリバチにいいようにされっぱなしのゴキブリの事例を知ったら、普段は憎たらしいゴキブリがかわいそうに思われてきました。
2017年8月14日に日本でレビュー済み
エッセー的に様々な毒々生物を取り上げながら、毒々生物という具体的観点から人類への影響・未来へとさまざまな観点から知的刺激を与えられた。ヒトの免疫機構を考えたときに細菌やウイルスだけでなく、「毒」も範疇に含まれるというのは盲点。それこそアナフィラキシーショックなど考えれば自然と腑に落ちる―そして、そこから山田風太郎ばりに自家免疫実践者(毒に対する耐性を強める試練)の跋扈に至り笑うしかなくなる。「進化」という観点だけでなく、抗毒素科学という「医療」面で既にその有用性が実証・先行き明るい一面にも触れられた。―「毒」が古来より人気ジャンルであり続けていることに根拠あり…漢字の成り立ちとして「母」が含まれていることを邪推したくもなる。