サイコ・サスペンスの優れた書き手として文壇に登場したアメリカ期待の新鋭バーカムの絶賛された第3作で本邦初紹介作です。本書は古くは実在する殺人鬼の切り裂きジャックの昔からこの種の小説の定番である女性が犠牲者のパターンを裏返し逆に男が次々に殺されて行く物語になっています。悪の側のヒロイン「殺す女」ラッキーは幼い頃に父が母に加える暴力がエスカレートして陰惨な殺人事件になる場面を目撃してしまった事がトラウマとなり大人になって精神異常と二重人格が発病します。片や正義の側のヒーローのフランク・ルッソ刑事はどうも本業の警察捜査よりもプライベートの愛情生活の方に気を奪われ熱心な様に見えますが、元警官の父の血を受け継ぐ優秀な彼は世間を騒がすワインボトル連続殺人事件の謎に得意の鋭い直感を武器に粘り強く挑みます。
本書の面白さには、一見無関係に思えるストーリーを交互に描いて行って最後鮮やかに全てを結びつける警察小説の定番である見事なテクニックや、出所した元殺人犯の父と今やサイコ・キラーと化した危ない娘が21年の時を経て再会した時に一体何が起きるのだろうという強烈なサスペンスがあります。けれど私が考える本書の最大の素晴らしさは、やはり主人公フランク刑事を取り巻く複数の女性達の中に真犯人がいると確信する事で、やがて最悪の結末と悲劇が訪れるのではないかという予感に胸が締めつけられ不安で堪らなくなる息を呑む緊迫感の読み心地です。著者はわざと登場する女性の誰もが疑わしく思える状況を作り上げ、過去に恋人と別れた経験があるフランク刑事が新たに出逢った恋を成就させ幸福の絶頂にいるかの如くドラマチックに描く真に心憎い演出で最後の最後まで読者の気を揉ませ最高に盛り上げてくれます。遂に迎える戦慄の真相は最後から3頁目の最終行で主人公の口からそっと優しく語られますので、貴方ご自身で衝撃を受け止めて頂きたいと思います。
この商品をお持ちですか?
マーケットプレイスに出品する
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
殺す女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 26-1) 文庫 – 2010/3/5
父が母を嬲り殺す様を目撃した少女は永久に変わってしまった。
下劣な男どもを次々と手にかける美貌の殺人鬼に――
下劣な男どもを次々と手にかける美貌の殺人鬼に――
少女の目の前で、父は母を殺した。ワインボトルを局部に挿入し、頭を床に叩きつけて。見てはならないものを見てしまった少女は絶世の美女に成長した21年後、ワインボトルを用いて次々と男を殺し、死体を辱めることに快感を見出すようになっていた……。一方、この連続殺人事件を追う刑事フランクは、犯人が女だという確信を深めていく。彼が出会う美女たちの中に“殺す女”がいるのだろうか? 痛切な愛と暴力に彩られたサイコ・サスペンス!
- 本の長さ447ページ
- 出版社早川書房
- 発売日2010/3/5
- ISBN-104151787011
- ISBN-13978-4151787010
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
少女の目の前で、父は母を殺した―ワインボトルを局部に挿入し頭を床に叩きつけて。見てはならないものを見てしまった少女は美しく成長した21年後、ワインボトルを用いて次々と男を殺し、死体を辱めることに快楽を見出すようになった…。一方、この連続殺人事件を追う刑事フランクは犯人が女だという確信を深めていく。彼が出会う美女たちの中に“殺す女”がいるのか?痛切な愛と暴力に彩られたサイコ・サスペンス。
著者について
長く大学教科書の出版社のCEOを務めた後、フルタイムの作家に転身。地方の小出版社から刊行したBlood Tide(2003年)、 Undercurrent(2006年)の好評を受け、大手出版社であるセント・マーティンズから本書を刊行。ベテラン編集者であった妻と二人三脚での執筆を続けている。フロリダ州サラソタ在住。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
バーカム,ウェイン
長く大学教科書の出版社のCEOを務めた後、フルタイムの作家に転身。地方の小出版社から刊行したBlood Tide(2003年)、Undercurrent(2006年)の好評を受け、大手出版社であるセント・マーティンズから『殺す女』を刊行。ベテラン編集者であった妻と二人三脚での執筆を続けている。フロリダ州サラソタ在住
山中/朝晶
1970年北海道生、東京外国語大学外国語学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
長く大学教科書の出版社のCEOを務めた後、フルタイムの作家に転身。地方の小出版社から刊行したBlood Tide(2003年)、Undercurrent(2006年)の好評を受け、大手出版社であるセント・マーティンズから『殺す女』を刊行。ベテラン編集者であった妻と二人三脚での執筆を続けている。フロリダ州サラソタ在住
山中/朝晶
1970年北海道生、東京外国語大学外国語学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2010/3/5)
- 発売日 : 2010/3/5
- 文庫 : 447ページ
- ISBN-10 : 4151787011
- ISBN-13 : 978-4151787010
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,003,023位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 2,312位ハヤカワ・ミステリ
- - 36,743位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- - 41,406位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.3
星5つ中の4.3
3 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2010年5月5日に日本でレビュー済み
違反を報告する
Amazonで購入
役に立った
2012年7月23日に日本でレビュー済み
原書はWayne Barcomb「The Hunted」、一年もしないうちに訳本が出されるのは、ミステリ・ファンにはうれしいことです。
本ミステリーの過激さ、猟奇さは[内容紹介]で予想ができるでしょう。ところが読んでいくうちに、内容の過激さに随伴して“人を愛することの切なさと痛み”をも作者は描いていることを感ずるのですが・・・そればかりではありません。
作者のPlot構成(短い章立てなど)が巧みで、語り手のビューポイントの変化の速さによって、”殺す女“が明らかに普段の姿を見せているのにもかかわらず、この女が誰か???
犯人探しの妙味もあるサイコ・スリラー・ミステリー。
是非どうぞ!
本ミステリーの過激さ、猟奇さは[内容紹介]で予想ができるでしょう。ところが読んでいくうちに、内容の過激さに随伴して“人を愛することの切なさと痛み”をも作者は描いていることを感ずるのですが・・・そればかりではありません。
作者のPlot構成(短い章立てなど)が巧みで、語り手のビューポイントの変化の速さによって、”殺す女“が明らかに普段の姿を見せているのにもかかわらず、この女が誰か???
犯人探しの妙味もあるサイコ・スリラー・ミステリー。
是非どうぞ!
2010年6月6日に日本でレビュー済み
本を読む上で新人の発掘も楽しみのひとつです。誰も見向きのしなかったころからひいきにしていて突然ブレイクしたときの快感は他に替えがたいものがあります。そんな期待から手にとりました。ストーリーはかつて虐待を受けた女性が、自分の母親が殺されたときと同じように男を殺していく連続殺人事件で犯人はいったい誰なのかを考えながらハラハラドキドキしながら進んでいきます。登場人物が多くて、刑事フランクの視点だけでなく、犯人の父親の視点、連続殺人犯の女の視点からもストーリーが展開してゆき構成も凝ったものになっています。
フー・ダニットに関しても最後の最後まで誰が犯人なのかたくみに隠されており、誰が犯人であってもおかしくない状況が終盤まで楽しむことができます。その演出もあってか、裏を返せば彼女が犯人だという必然性が乏しくなってしまった点は残念でした。登場人物についてはお披露目的な感じがあり出し惜しみ感があることから、今後のシリーズ化が期待されるところです。
フー・ダニットに関しても最後の最後まで誰が犯人なのかたくみに隠されており、誰が犯人であってもおかしくない状況が終盤まで楽しむことができます。その演出もあってか、裏を返せば彼女が犯人だという必然性が乏しくなってしまった点は残念でした。登場人物についてはお披露目的な感じがあり出し惜しみ感があることから、今後のシリーズ化が期待されるところです。
