「人の死には意味がなく価値もない。つまり逆に考えれば、誰の死も等価値だということになる。だから私には、どの人間がいつ死のうが関係がなかった。けれど、それにも関わらず、私は今日も、人の死を見定めるためにわざわざ出向いている。なぜか?仕事だからだ。やるべきことはやるが余計なことはやらない」
この死神のスタンスが絶妙だ。多くの死神は、よほどのことがない限り「可」の報告をすることから対象者に2,3度会って報告を終わらせるところ、『千葉』と名乗る本書主人公の死神は、しっかり調査を行ったうえで判断をする。
音楽を聴くことがなによりの楽しみだが、やるべき仕事があると判断したときは、音楽を聴きたい欲求をぐっと我慢する。かといって、妙に対象者に肩入れすることはない。
この死神と対象者との距離感が絶妙だ。
それがためか、いずれの対象者も『千葉』と名乗る奇妙な男をいつしか受け入れている。
そこが本書の面白みでもある。
いずれの短編も面白く、特に「死神と藤田」「恋愛で死神」など短編として最高なのですが、更にラスト短編「死神対老女」では「ほお」と本書全体の構成にも関心させられる。
ですので本書は短編集ですが、前から順番に読んだほうがラストの感動が高まります。
ただ、残念なのは唯一「吹雪に死神」だけが、本書の中で浮いている感じがします。
「吹雪に死神」はいかにもミステリーという体裁の作品で、もうひとつリアリティが感じられず、他の短編の自然な印象との落差を感じます。この短編さえなければ五つ星にしたところです。
全体として、とても面白く読めましたので、続けて同じ死神シリーズの長編「死神の浮力」も読んでみたい思わせる魅力があります。
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