あまり期待せずに買ってみましたが、思った以上の作品でした。
帯にもある様に主人公が最初から絶体絶命のピンチで、犯人が分かった状態からスタートするのですが・・
ニュージーランドが設定と言うのは珍しいと思いますが、土地柄含めて結構楽しめる作品だと思います。
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死んだレモン (創元推理文庫) Kindle版
1ページ目から主人公が絶体絶命!
圧倒的サスペンスは怒濤の結末へ――
ニュージーランド発、意外性抜群のミステリ!
ナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作
酒を飲んで運転し、自損事故で下半身の自由を失ったフィンは、心機一転、ニュージーランド最南端の町へ引っ越す。住居は人里離れたコテージで、26年前にその家に住んでいた少女が失踪していた。彼女が消えてから6週間後、不気味な三兄弟が住む隣のゾイル家の土地から、骨の一部が発見された。住人は逮捕されたが結局未解決となっていた。ゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすれば? 事件を詳しく調べ始めるフィン。だが5か月後、彼は三兄弟に命を狙われ……。最後の最後まで読者を翻弄するナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。
解説=吉野仁
圧倒的サスペンスは怒濤の結末へ――
ニュージーランド発、意外性抜群のミステリ!
ナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作
酒を飲んで運転し、自損事故で下半身の自由を失ったフィンは、心機一転、ニュージーランド最南端の町へ引っ越す。住居は人里離れたコテージで、26年前にその家に住んでいた少女が失踪していた。彼女が消えてから6週間後、不気味な三兄弟が住む隣のゾイル家の土地から、骨の一部が発見された。住人は逮捕されたが結局未解決となっていた。ゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすれば? 事件を詳しく調べ始めるフィン。だが5か月後、彼は三兄弟に命を狙われ……。最後の最後まで読者を翻弄するナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。
解説=吉野仁
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2020/7/31
- ファイルサイズ1200 KB
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
酒に溺れた末に事故で車いす生活となったフィンは、今まさにニュージーランドの南の果てで崖に宙吊りになっていた。隣家の不気味な三兄弟の長男に殺されかけたのだ。フィンは自分が引っ越してきたコテージに住んでいた少女が失踪した、26年前の未解決事件を調べており、三兄弟の関与を疑っていたのだが…。最後の最後まで読者を翻弄する、ナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。ニュージーランド発、意外性抜群のミステリ! --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ベル,フィン
1978年南アフリカ生まれ。法心理学の専門家として、南アフリカの裁判所や刑務所で被告人や受刑者の心のケアにあたっていた。その後ニュージーランドへ移住し、ウェリントンの刑務所で精神鑑定や受刑者のカウンセリングなどに従事する。2016年にパートナーとともに生活拠点を南島のダニーデンへと移し、専業作家としてのスタートを切る。2016年に『死んだレモン』Dead Lemons(2019年にThe Killing Groundに改題)をAmazon Kindleダイレクト・パブリッシングで発表し、ナイオ・マーシュ賞新人賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
1978年南アフリカ生まれ。法心理学の専門家として、南アフリカの裁判所や刑務所で被告人や受刑者の心のケアにあたっていた。その後ニュージーランドへ移住し、ウェリントンの刑務所で精神鑑定や受刑者のカウンセリングなどに従事する。2016年にパートナーとともに生活拠点を南島のダニーデンへと移し、専業作家としてのスタートを切る。2016年に『死んだレモン』Dead Lemons(2019年にThe Killing Groundに改題)をAmazon Kindleダイレクト・パブリッシングで発表し、ナイオ・マーシュ賞新人賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B089PZG1XW
- 出版社 : 東京創元社 (2020/7/31)
- 発売日 : 2020/7/31
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1200 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 400ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 217,335位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 1,463位創元推理文庫
- - 1,839位その他の外国文学研究関連書籍
- - 6,333位評論・文学研究 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
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2020年9月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ミステリをたまに読むときは、ほとんどタイトルと基本的な舞台設定で選んでいます。本書もそうなのですが、私の場合はこの方法で選んでほぼ外れたためしがありません。
主人公が危機的な状況を現在として一人称でそこから脱する様子と、過去数ヶ月の出来事とを交互に語る手法は、そう目新しいものではないにせよ、本書ではこれがうまく機能しています。
特に、最初は主人公の語る過去が抽象的でセンチメンタルなため、あまり好きになれないタイプだなと考えていたのです。が、カウンセリングの過程などを通じて、なるほど、自分を哀れむいけすかない奴ではなく、そんな自分を変えようとして未だ戸惑っているのか、とわかってくるにつれ、主人公への共感が増していきます。こうしてストーリーの展開よりも、むしろ主人公の心理を通じてぐいぐいと引き込まれていくような印象です。
ニュージーランド最南端の町の人々の生活も民族的な歴史も興味深く、サスペンスの強烈さよりも、閉塞と解放のギャップを感じさせるようなエンタメをミステリに求める私としては、好みの通りといえます。
内容的には粗とはいえないまでの不満もあり、訳語に疑問に思うところもありましたが、満足のいく作品でした。本書で脇役だった人物が主人公だという2作目も刊行を待ちたいです。
主人公が危機的な状況を現在として一人称でそこから脱する様子と、過去数ヶ月の出来事とを交互に語る手法は、そう目新しいものではないにせよ、本書ではこれがうまく機能しています。
特に、最初は主人公の語る過去が抽象的でセンチメンタルなため、あまり好きになれないタイプだなと考えていたのです。が、カウンセリングの過程などを通じて、なるほど、自分を哀れむいけすかない奴ではなく、そんな自分を変えようとして未だ戸惑っているのか、とわかってくるにつれ、主人公への共感が増していきます。こうしてストーリーの展開よりも、むしろ主人公の心理を通じてぐいぐいと引き込まれていくような印象です。
ニュージーランド最南端の町の人々の生活も民族的な歴史も興味深く、サスペンスの強烈さよりも、閉塞と解放のギャップを感じさせるようなエンタメをミステリに求める私としては、好みの通りといえます。
内容的には粗とはいえないまでの不満もあり、訳語に疑問に思うところもありましたが、満足のいく作品でした。本書で脇役だった人物が主人公だという2作目も刊行を待ちたいです。
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
「死んだレモン "Dead Lemons"」(フィン・ベル 創元推理文庫)を読み終えました。
南アフリカ出身、飲酒運転による自損事故で下半身の自由を喪ったフィン・ベルは、ニュージーランド最南端の町に引っ越しますが、その住居はいわくつき、26年前、その家に住む一人の少女が失踪していました。その後、隣のゾイル家の土地から少女の骨が発見されますが、証拠不十分のためゾイル家は逮捕を免れています。初めて訪れた土地で、美容室のオーナー・パトリシア、セラピスト・ベティ、「マーダーボール」と呼ばれる車椅子ラグビーで知り合ったマオリ族のタイと知り合い、次第にその関わり合いができてくる中、他にもいくつかの謎がもたらされ、フィン自身がその事件を調査し始めますが。。。まあ大筋は、ここまでにしたいと思います(笑)
巻頭のあのスリリングなシーンから<現在>の章と<五カ月前>の章が交互に語られ、ミステリの常道とは言え、巧みにサスペンスを醸成していますね。また、今まであまり描かれることのなかったニュージーランドの南の風景と風俗、捕鯨業、造船、そして明かしてはいけない歴史が物語の章を追うごとにその事実の重さを堆積させながら、単なるサスペンス小説としてだけではなく、(散りばめられた多くの伏線を回収して)パズラーとしてもしっかりとそのプロットが構築されていると思います。欲を言えば、起承転結の「転」のパートに、サスペンスを弱めてしまうあるポイントがあるような気もしましたが。。。それは、私の単なる好みの問題かもしれません。
特筆すべきは、主人公フィン・ベルのキャラクタリゼーションにあると思います。自分を偽ったあげくに、酒に溺れ、結婚生活が崩壊し、更にアルコールに依存し、運転を誤り、車椅子生活という名の社会復帰に至った主人公が辿り着いた先には、多くの苦難が待ち受けていましたが、セラピスト・ベティとのセッションの中から、ある答えを見出します。「苦痛がなければその原因を自覚せず、自覚がなければ変わらない。変わらなければ、苦痛のそもそもの原因となった問題は決して解決されない」
自覚とは、認めることですね。心の底からその罪を認めることによって、傍らにいてくれる誰かを信じることができるようになり、自分の人生を委ねることもまた可能になるのだと思います。
「幸せな人は、不幸な人と同じ人生を並んで歩むことはできない」というこの「"Dead Lemons"=人生の落伍者」の一節の言葉が読書中反響し続けましたが、とは言え、たとえニュージーランドの最南端、絶望の果てにあったとしても、<苦痛>を自覚した人は次第に立ち直っていくものなのだと思います。<Who-Done-It>でありながら、世界の果ての<再生>の物語だと思います。
南アフリカ出身、飲酒運転による自損事故で下半身の自由を喪ったフィン・ベルは、ニュージーランド最南端の町に引っ越しますが、その住居はいわくつき、26年前、その家に住む一人の少女が失踪していました。その後、隣のゾイル家の土地から少女の骨が発見されますが、証拠不十分のためゾイル家は逮捕を免れています。初めて訪れた土地で、美容室のオーナー・パトリシア、セラピスト・ベティ、「マーダーボール」と呼ばれる車椅子ラグビーで知り合ったマオリ族のタイと知り合い、次第にその関わり合いができてくる中、他にもいくつかの謎がもたらされ、フィン自身がその事件を調査し始めますが。。。まあ大筋は、ここまでにしたいと思います(笑)
巻頭のあのスリリングなシーンから<現在>の章と<五カ月前>の章が交互に語られ、ミステリの常道とは言え、巧みにサスペンスを醸成していますね。また、今まであまり描かれることのなかったニュージーランドの南の風景と風俗、捕鯨業、造船、そして明かしてはいけない歴史が物語の章を追うごとにその事実の重さを堆積させながら、単なるサスペンス小説としてだけではなく、(散りばめられた多くの伏線を回収して)パズラーとしてもしっかりとそのプロットが構築されていると思います。欲を言えば、起承転結の「転」のパートに、サスペンスを弱めてしまうあるポイントがあるような気もしましたが。。。それは、私の単なる好みの問題かもしれません。
特筆すべきは、主人公フィン・ベルのキャラクタリゼーションにあると思います。自分を偽ったあげくに、酒に溺れ、結婚生活が崩壊し、更にアルコールに依存し、運転を誤り、車椅子生活という名の社会復帰に至った主人公が辿り着いた先には、多くの苦難が待ち受けていましたが、セラピスト・ベティとのセッションの中から、ある答えを見出します。「苦痛がなければその原因を自覚せず、自覚がなければ変わらない。変わらなければ、苦痛のそもそもの原因となった問題は決して解決されない」
自覚とは、認めることですね。心の底からその罪を認めることによって、傍らにいてくれる誰かを信じることができるようになり、自分の人生を委ねることもまた可能になるのだと思います。
「幸せな人は、不幸な人と同じ人生を並んで歩むことはできない」というこの「"Dead Lemons"=人生の落伍者」の一節の言葉が読書中反響し続けましたが、とは言え、たとえニュージーランドの最南端、絶望の果てにあったとしても、<苦痛>を自覚した人は次第に立ち直っていくものなのだと思います。<Who-Done-It>でありながら、世界の果ての<再生>の物語だと思います。
2020年8月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
七月の目玉となった作品。個性がいくつもある。一つにはニュージーランド発ミステリー。作者は、法心理学者としての本業の傍ら、小説は電子書籍でしか契約しないという欲のない姿勢を貫いているが、この通り、内容が素晴らしいため、作者の意に反して紙のメディアでも世界中に翻訳され、売れっ子となりつつある。
ページを開いた途端、絶体絶命の窮地にある主人公の現在が描写される。いきなりの海岸の崖に車いすごと足が岩に引っかかって宙ぶらりん。ぼくはこの作品の前に、クレア・マッキントッシュの『その手を離すのは、私』という本を読んでいて、その最終シーンが海辺の崖の上での意味深なシーンだった。まるでその続きみたいに始まるのだが、場所は『その手を離すのは、私』のウェールズの崖ではなく、遠く離れた南半球、ニュージーランドは南東のしかも南の外れにあるリヴァトン。面白過ぎて、グーグルマップで場所を探す作業からぼくの読書は始まる。凄い!
南の果てで南極に一番近い海岸線。凄い! それも崖の上で宙ぶらり状態。しかも車いす利用者なのか。凄い。描写は六か月前の過去に、私ことフィン・ベル(そう著者と主人公が同名である)が銃と、人の頭を吹き飛ばせるホローポイント弾を買い込むシーンから始まる。その後、気になり過ぎる現在と、過去とを行き来しつつ物語は進んでゆく。
主人公は南アフリカ出身でニュージーランドに流れ着いた「人生の落後者」(=原題のDead Lemons)であり、妻に去られ、酔いどれてトラックに突っ込んで両足とその感覚を失ってしまった車いす生活者。『楽園の世捨て人』というカナリア諸島に行き着いた中年男が正義を通して自分を撮り戻す作品があったが、そちらが悲壮で真面目な小説だったのに比べると、こちらの作品は同じような絶望的設定なのに、何故か明るいのだ。脇役たちの明るさ、軽さ、人の好さ、等々が主人公を助けると同時に、読者をも笑いや優しさに満ちた時間へと掬い上げてくれる。主人公の独り語りも、悲壮感というより破れかぶれな決意感のようなものがすっと通っていてなかなか宜しい。
作家の持ち分であるサイコセラピーの部分は、優しく厳しく熱いおばはんセラピストによって、すごく専門的な知識を駆使して語られてゆく。この辺の知識豊富な部分と、ニュージーランドに流れ着いた者たちの歴史を紐解く部分も凄まじい。
捕鯨やら砂金やらに群がった無法者たちの300年前の姿がロマンチックであると同時にワイルドで、その舞台となったこのリヴァトンの辺りが、何ともきな臭い隣人三兄弟の薄ら寒いような悪の怖さを醸し出し、主人公の緊張感を行間から滲ませ続ける。過去に起こった少女とその父の連続行方不明事件を調査するにつれ、緊張は高まる。
主人公が車を飛ばして相談に駆け付ける元刑事ボブ・レスの犯罪心理分析の語りのシーンもおそらく作者ならではの専門知識が活躍する。怖い隣人のこと。行方不明事件のこと。主人公自身が脅しや恐怖に曝される緊張状態の中で、世界の果ての海岸線に接した小さな町が、事件の再びの捜査に湧き立つ。
そして最後に現在に戻る。二転三転。驚きの結末。全体を包む現在時間の緊張感と、じっくり語りゆっくり進み、時々恐怖、という過去時間がついに集約する大団円。見事な構成。見事な読ませ感。ミステリの要素をいろいろと重ね合わせてホチキスで止めたような結末。読み始めたら最終シーンまで収まりのつかないこの一冊に、是非とも翻弄されて頂きたい。
しかし、これがこの作者、小説デビューだって? うーむ、俄かに信じ難いのだ。次が楽しみである。
ページを開いた途端、絶体絶命の窮地にある主人公の現在が描写される。いきなりの海岸の崖に車いすごと足が岩に引っかかって宙ぶらりん。ぼくはこの作品の前に、クレア・マッキントッシュの『その手を離すのは、私』という本を読んでいて、その最終シーンが海辺の崖の上での意味深なシーンだった。まるでその続きみたいに始まるのだが、場所は『その手を離すのは、私』のウェールズの崖ではなく、遠く離れた南半球、ニュージーランドは南東のしかも南の外れにあるリヴァトン。面白過ぎて、グーグルマップで場所を探す作業からぼくの読書は始まる。凄い!
南の果てで南極に一番近い海岸線。凄い! それも崖の上で宙ぶらり状態。しかも車いす利用者なのか。凄い。描写は六か月前の過去に、私ことフィン・ベル(そう著者と主人公が同名である)が銃と、人の頭を吹き飛ばせるホローポイント弾を買い込むシーンから始まる。その後、気になり過ぎる現在と、過去とを行き来しつつ物語は進んでゆく。
主人公は南アフリカ出身でニュージーランドに流れ着いた「人生の落後者」(=原題のDead Lemons)であり、妻に去られ、酔いどれてトラックに突っ込んで両足とその感覚を失ってしまった車いす生活者。『楽園の世捨て人』というカナリア諸島に行き着いた中年男が正義を通して自分を撮り戻す作品があったが、そちらが悲壮で真面目な小説だったのに比べると、こちらの作品は同じような絶望的設定なのに、何故か明るいのだ。脇役たちの明るさ、軽さ、人の好さ、等々が主人公を助けると同時に、読者をも笑いや優しさに満ちた時間へと掬い上げてくれる。主人公の独り語りも、悲壮感というより破れかぶれな決意感のようなものがすっと通っていてなかなか宜しい。
作家の持ち分であるサイコセラピーの部分は、優しく厳しく熱いおばはんセラピストによって、すごく専門的な知識を駆使して語られてゆく。この辺の知識豊富な部分と、ニュージーランドに流れ着いた者たちの歴史を紐解く部分も凄まじい。
捕鯨やら砂金やらに群がった無法者たちの300年前の姿がロマンチックであると同時にワイルドで、その舞台となったこのリヴァトンの辺りが、何ともきな臭い隣人三兄弟の薄ら寒いような悪の怖さを醸し出し、主人公の緊張感を行間から滲ませ続ける。過去に起こった少女とその父の連続行方不明事件を調査するにつれ、緊張は高まる。
主人公が車を飛ばして相談に駆け付ける元刑事ボブ・レスの犯罪心理分析の語りのシーンもおそらく作者ならではの専門知識が活躍する。怖い隣人のこと。行方不明事件のこと。主人公自身が脅しや恐怖に曝される緊張状態の中で、世界の果ての海岸線に接した小さな町が、事件の再びの捜査に湧き立つ。
そして最後に現在に戻る。二転三転。驚きの結末。全体を包む現在時間の緊張感と、じっくり語りゆっくり進み、時々恐怖、という過去時間がついに集約する大団円。見事な構成。見事な読ませ感。ミステリの要素をいろいろと重ね合わせてホチキスで止めたような結末。読み始めたら最終シーンまで収まりのつかないこの一冊に、是非とも翻弄されて頂きたい。
しかし、これがこの作者、小説デビューだって? うーむ、俄かに信じ難いのだ。次が楽しみである。
2020年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
期待して読み始めたが、1/3もいかずに苦痛になってきた。
物語は主人公が崖から落ちかかるリアルタイムパートと、主人公が舞台となる街にやってきてからの過去パートが、パラレルに進んで最後に収束していく構成。そういう構成だと、普通は「なんで主人公は崖からぶら下がることになったのか?」と2のパートをつなぐ部分を想像しながら読むのだが、本書は意外性も何もない。これならパラレルじゃなくて1本道のほうがよかったのでは。
途中のカウンセラーは説教臭いし、悪役たちは作者が不気味さを印象づけようとしているのはわかるものの、人物の造形が浅くて不気味さが足りない。ネタバレになるので具体的には書かないが、結末は説明不足でまったく腑に落ちなかった。
物語は主人公が崖から落ちかかるリアルタイムパートと、主人公が舞台となる街にやってきてからの過去パートが、パラレルに進んで最後に収束していく構成。そういう構成だと、普通は「なんで主人公は崖からぶら下がることになったのか?」と2のパートをつなぐ部分を想像しながら読むのだが、本書は意外性も何もない。これならパラレルじゃなくて1本道のほうがよかったのでは。
途中のカウンセラーは説教臭いし、悪役たちは作者が不気味さを印象づけようとしているのはわかるものの、人物の造形が浅くて不気味さが足りない。ネタバレになるので具体的には書かないが、結末は説明不足でまったく腑に落ちなかった。
ベスト1000レビュアー
物語の道具立ては魅力あるものだと思うのですが、読んでいていまひとつのめり込めませんでした。
おそらく主な理由は、凝った構成など作者がやりたいことに対して、技量が追いついていないと思われる点だと思います。
読者のわがままな感想で言えば、せっかく過去パートと現在パートを交互に語って、現在パートの危機的状況のサスペンスと、事件の背景や主人公の再生物語を並立させようとしているのに、現在パートのネタが無いのか現在パートが置いてけぼりになり、過去パートばかり続いてサスペンス感が中断されます。
また、主人公がピンチになったところで気を失い、次の段落で病院等で眼が覚め、都合よく誰かが助けてくれたというパターンが何回か出てくる繰り返しにも、興がそがれました。
さらに善悪がはっきり分かれた単純すぎる人物造詣、真相をぼかそうとしたのが裏目に出たのか唐突な展開、物語を進めるためなのかご都合主義的な展開と取ってつけたような説明など、がっかりな要素が結構ありました。
おそらく主な理由は、凝った構成など作者がやりたいことに対して、技量が追いついていないと思われる点だと思います。
読者のわがままな感想で言えば、せっかく過去パートと現在パートを交互に語って、現在パートの危機的状況のサスペンスと、事件の背景や主人公の再生物語を並立させようとしているのに、現在パートのネタが無いのか現在パートが置いてけぼりになり、過去パートばかり続いてサスペンス感が中断されます。
また、主人公がピンチになったところで気を失い、次の段落で病院等で眼が覚め、都合よく誰かが助けてくれたというパターンが何回か出てくる繰り返しにも、興がそがれました。
さらに善悪がはっきり分かれた単純すぎる人物造詣、真相をぼかそうとしたのが裏目に出たのか唐突な展開、物語を進めるためなのかご都合主義的な展開と取ってつけたような説明など、がっかりな要素が結構ありました。





