イギリスに生まれ、東京でのクラブホステスも含め、アジアとアメリカでさまざまな職業についた女性のデビュー作。訳者あとがきによると「出版当初はフェミニスト団体から批判を受けた」そうだ。被害者の女性たちについて(男たちも同じ筆さばきの餌食になるわけだが)、執拗に詳細な性的かつグロテスクな描写をいとわない筆致から、それも当然と感じる。
そればかりであれば、もちろん途中で本を投げ出すところだが、主人公キャフェリー警部と、とりまく人物たちについての書き込みは読みごたえあり、二転三転の筋運びも飽きさせない。物語に不気味な影を落とす、キャフェリーの過去の事件――九歳で行方不明となった兄――の今後のなりゆきについても気がかりだ。
コーンウェル作品のような知的洗練とユーモアのセンスには欠ける。ただ、その俗っぽさ、えげつなさが、ヘイダーの魅力なのかもしれない。
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