10mを超える津波と全電源喪失という"想定外"の事態に見舞われた福島第一原発を救う為に、強い放射線をも顧みず、まさに命を賭けて事故の拡大を阻止すべく体当たりした人々の記録です。
原発の是否を敢えて問わず、関係者からの聞き取りにより、できるだけ正確に事実を伝えようとする姿勢で、原発立地の経緯から事故発生、そして格納容器爆発による大量の放射能拡散という最悪の事態を防ぐ為、必死に努力した人々の様子が、時系列で克明に記されています。
現場を預かる吉田昌郎所長と地元育ちの原発職員達が、史上最大級の津波による非常用ディーゼル発電機の水没後、全電源喪失の中、次々に発生する困難を限られた時間・資機材という制約を跳ね飛ばし、愛する郷土と日本を守る一点に集中し、超人的なアイデアを繰り出して果敢に絶対に諦めずに戦う姿は、テレビやマスコミの報道だけでは知ることができなかったでしょう。
そんな懸命な現場とは対照的に、首相、政府、東電本店幹部との連携がうまくいかず、更に菅直人首相自ら現地入りしたことで、現場は混乱し対応が遅れます。やはり総理大臣は本部での指揮に徹するべきだとの教訓となりました。
それにしても、もし吉田昌郎という方が所長でなかったら、これ程までに部下の信頼を集め、また首相を納得させ、更に数々の機転を発揮して、事態の鎮静化が図られただろうかと考え込んでしまいました。確かに福島第一原発事故は未曾有の大災害だし、未だに沢山の人々が避難を余儀なくされております。けれどもまた、事故当時不眠不休で必死に奮闘した発電所職員や、決死の覚悟で注水作業に当たった自衛隊員の方々がいてくれたからこそ、格納容器爆発という最悪のシナリオを食い止められたという事実を忘れてはならないと思いました。
残念ながら、吉田昌郎氏は他界されましたが、彼の最善の判断により東日本壊滅は避けることができた訳で、私は本書により吉田さんの人となりを知る機会を得ることができました。吉田さん、これからも私達を見守ってください。どうか安らかに。
また以下は私の個人的な見解ながら、事故対応を巡り当時は民主党政権だったから事態が深刻化したとか、自民党ならもっとうまく対応していたという意見をしばしば耳にします。しかし、冷静に考えれば自然災害が時の政権を選ぶとは思えません。災害は二度と同じ形では起こりませんし、政府も国民も日頃からできるだけの備えと覚悟はしなければならないと考えます。それが災害多発国日本で暮らす私達の、"想定外"の事態を繰り返さない為の心得ではないでしょうか。
吉田氏がとった事故対応については、賛否両論あります。英雄視もあれば無能との批判も聞きく。でもこの二つの評価はどちらも極端に感じるのです。あくまで私の意見ですが、彼は所長としてすべき当たり前の事を精一杯こなしただけでしょう。ただ今も昔も、自らがなすべき当然の事柄すら満足にしない、できない責任者はあまた存在します。だから吉田氏は決して特別なヒーローなどではないけれど、当たり前の事を当たり前に実行した、至極当然の、しかしまたなかなか稀な存在だったのではないでしょうか。公職にあって、有ったであろう事を無かったと言って憚らない輩が跋扈する世界とは、なんとかけ離れた態度だったかと、少なくとも私は吉田所長の普通人としての感覚に親しみを覚えます。
福島第一原発はまだまだ廃炉に向け長い年月がかかります。吉田氏はもういませんが、私達は彼の残してくれた諦めない態度をずっと受け継いでいかなければならないと思いました。本書を通じてこの普通にして勇敢な方々の真実の姿を、一人でも多くの方に知って頂きたいと思います。
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死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日 単行本 – 2012/11/24
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その時、日本は“三分割"されるところだった――。
「原子炉が最大の危機を迎えたあの時、私は自分と一緒に“死んでくれる"人間の顔を思い浮かべていました」。食道癌の手術を受け、その後、脳内出血で倒れることになる吉田昌郎・福島第一原発所長(当時)は、事故から1年4か月を経て、ついに沈黙を破った。覚悟の証言をおこなった吉田前所長に続いて、現場の運転員たちは堰を切ったように真実を語り始めた。
2011年3月、暴走する原子炉。現場の人間はその時、「死の淵」に立った。それは同時に、故郷福島と日本という国の「死の淵」でもあった。このままでは故郷は壊滅し、日本は「三分割」される。
使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちは、なぜ電源が喪失した放射能汚染の暗闇の中へ突入しつづけることができたのか。
「死」を覚悟した極限の場面に表われる人間の弱さと強さ、復旧への現場の執念が呼び込む「奇跡」ともいえる幸運、首相官邸の驚くべき真実……。吉田昌郎、菅直人、班目春樹、フクシマ・フィフティ、自衛隊、地元の人々など、90名以上が赤裸々に語った驚愕の真実とは。
あの時、何が起き、何を思い、人々はどう闘ったのか。ヴェールに包まれたあの未曾有の大事故を当事者たちの実名で綴った渾身のノンフィクションがついに発刊――。
「原子炉が最大の危機を迎えたあの時、私は自分と一緒に“死んでくれる"人間の顔を思い浮かべていました」。食道癌の手術を受け、その後、脳内出血で倒れることになる吉田昌郎・福島第一原発所長(当時)は、事故から1年4か月を経て、ついに沈黙を破った。覚悟の証言をおこなった吉田前所長に続いて、現場の運転員たちは堰を切ったように真実を語り始めた。
2011年3月、暴走する原子炉。現場の人間はその時、「死の淵」に立った。それは同時に、故郷福島と日本という国の「死の淵」でもあった。このままでは故郷は壊滅し、日本は「三分割」される。
使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちは、なぜ電源が喪失した放射能汚染の暗闇の中へ突入しつづけることができたのか。
「死」を覚悟した極限の場面に表われる人間の弱さと強さ、復旧への現場の執念が呼び込む「奇跡」ともいえる幸運、首相官邸の驚くべき真実……。吉田昌郎、菅直人、班目春樹、フクシマ・フィフティ、自衛隊、地元の人々など、90名以上が赤裸々に語った驚愕の真実とは。
あの時、何が起き、何を思い、人々はどう闘ったのか。ヴェールに包まれたあの未曾有の大事故を当事者たちの実名で綴った渾身のノンフィクションがついに発刊――。
- 本の長さ380ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2012/11/24
- ISBN-104569808352
- ISBN-13978-4569808352
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出版社より
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| [原発事故に立ち向かった] 吉田昌郎と福島フィフティ | 「吉田調書」を読み解く ――朝日誤報事件と現場の真実 | オウム死刑囚 魂の遍歴 ――井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり | |
| 発売日 | 2015年2月16日 | 2014年11月12日 | 2018年12月11日 |
| 内容紹介 | 福島第一原発事故発生後、吉田所長と現場の人たちは、何を感じ、どう闘ったのか。ノンフィクション作家が子ども向けに鮮明に描き出す。 | 「所長命令に違反、所員の9割撤退!?」。『朝日』はなぜ日本人を貶める「虚報」を流したのか? 吉田調書と原発事故の「真実」が明らかに! | 「修行の天才」と呼ばれた井上嘉浩。真面目な少年がいかにオウムに堕ち、悔悟の果てに「いのちの真実」に目覚めたか。魂を震わす書。 |
商品の説明
出版社からのコメント
激震
大津波の襲来
緊迫の訓示
突入
避難する地元民
緊迫のテレビ会議
現地対策本部
「俺が行く」
われを忘れた官邸
やって来た自衛隊
原子炉建屋への突入
「頼む!残ってくれ」
一号機、爆発
行方不明四十名!
一緒に「死ぬ」人間とは
官邸の驚愕と怒り
死に装束
協力企業の闘い
決死の自衛隊
華族
七千羽の折鶴
運命を背負った男
大津波の襲来
緊迫の訓示
突入
避難する地元民
緊迫のテレビ会議
現地対策本部
「俺が行く」
われを忘れた官邸
やって来た自衛隊
原子炉建屋への突入
「頼む!残ってくれ」
一号機、爆発
行方不明四十名!
一緒に「死ぬ」人間とは
官邸の驚愕と怒り
死に装束
協力企業の闘い
決死の自衛隊
華族
七千羽の折鶴
運命を背負った男
内容(「BOOK」データベースより)
吉田昌郎、菅直人、班目春樹…当事者たちが赤裸々に語った「原子力事故」驚愕の真実。
著者について
門田隆将(かどた・りゅうしょう)
1958年高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクショ ン作家に。政治、歴史、司法、事件、スポーツなど幅広いジャンルで執筆。2010年 『この命、義に捧ぐ』(集英社)で第19回山本七平賞を受賞。主な著書に『裁判官が 日本を滅ぼす』『なぜ君は絶望と闘えたのか』(以上、新潮社)、『甲子園への遺 言』(講談社)、『康子十九歳 戦渦の日記』(文藝春秋)、『太平洋戦争 最後の証 言』(第一部~第三部)『尾根のかなたに』(以上、小学館)などがある。
1958年高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクショ ン作家に。政治、歴史、司法、事件、スポーツなど幅広いジャンルで執筆。2010年 『この命、義に捧ぐ』(集英社)で第19回山本七平賞を受賞。主な著書に『裁判官が 日本を滅ぼす』『なぜ君は絶望と闘えたのか』(以上、新潮社)、『甲子園への遺 言』(講談社)、『康子十九歳 戦渦の日記』(文藝春秋)、『太平洋戦争 最後の証 言』(第一部~第三部)『尾根のかなたに』(以上、小学館)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
門田/隆将
1958(昭和33)年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。雑誌メディアを中心に、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなどの幅広いジャンルで活躍している。『この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社)で、第19回山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1958(昭和33)年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。雑誌メディアを中心に、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなどの幅広いジャンルで活躍している。『この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社)で、第19回山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2018年3月22日に日本でレビュー済み
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2019年6月4日に日本でレビュー済み
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映画や本の評価は短くします。
さすが門田隆将。綿密に丁寧に取材をし、事実をそのまま書いている。誰かを糾弾する
とかではないです。
図書館で借りずに、買って読むべき一冊。
さすが門田隆将。綿密に丁寧に取材をし、事実をそのまま書いている。誰かを糾弾する
とかではないです。
図書館で借りずに、買って読むべき一冊。
2017年10月15日に日本でレビュー済み
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何歳になっても知らない事がたくさんあると自覚しました。
東日本大震災時の津波の衝撃的映像は印象に残っています。
けれど、放射能は見えず福島第一原発で何が起こっていたかなど、考えもしませんでした。
「死の淵を見た男」で原発事故の怖さを知り、またこの本には出ていませんが、茨城県の東海村で起きた「臨界事故」も、これをきっかけに知りました。
原発の現場で仕事をされている方の状況の一端を知りました。
東日本大震災時の津波の衝撃的映像は印象に残っています。
けれど、放射能は見えず福島第一原発で何が起こっていたかなど、考えもしませんでした。
「死の淵を見た男」で原発事故の怖さを知り、またこの本には出ていませんが、茨城県の東海村で起きた「臨界事故」も、これをきっかけに知りました。
原発の現場で仕事をされている方の状況の一端を知りました。
2020年4月16日に日本でレビュー済み
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映画を見てから本を読みました。
福島第一原発の事故当初から数日間を中心に、事故に関わった人々90人ものインタヴューをまとめた証言集です。
映画では登場人物の名前がすべて変わっており、設定なども一部変わっていますが誰が誰かは明らかで、両方見るとよりイメージが湧きます。
後から本を見てわかったことは、映画ではほとんど悪役として描かれていた官邸や東電本店サイドからもかなりの証言を取っていることです。菅元総理や班目春樹元内閣府原子力安全委員会委員長などの自己弁護も記載されており、これらを読んでそれぞれが判断されてばいいかと思います。ただ本でも「イラ菅」と呼ばれる菅元総理の特異なキャラクターは強調されています。
一方映画で主役級となった吉田元所長と伊沢郁夫氏に関しては、映画と同様当事者意識と危機管理能力の高さが描かれていました。また映画ではカットされた
現地で亡くなった東電社員の話も読ませるものがありました。
東電社員の話が中心とはいえ、脱原発派の人にも読んで欲しい本です。
福島第一原発の事故当初から数日間を中心に、事故に関わった人々90人ものインタヴューをまとめた証言集です。
映画では登場人物の名前がすべて変わっており、設定なども一部変わっていますが誰が誰かは明らかで、両方見るとよりイメージが湧きます。
後から本を見てわかったことは、映画ではほとんど悪役として描かれていた官邸や東電本店サイドからもかなりの証言を取っていることです。菅元総理や班目春樹元内閣府原子力安全委員会委員長などの自己弁護も記載されており、これらを読んでそれぞれが判断されてばいいかと思います。ただ本でも「イラ菅」と呼ばれる菅元総理の特異なキャラクターは強調されています。
一方映画で主役級となった吉田元所長と伊沢郁夫氏に関しては、映画と同様当事者意識と危機管理能力の高さが描かれていました。また映画ではカットされた
現地で亡くなった東電社員の話も読ませるものがありました。
東電社員の話が中心とはいえ、脱原発派の人にも読んで欲しい本です。






