私が初めてノヴェンバーステップスを聴いたのは、今から20年以上前のことである。そのときには、小澤・トロント響のLPだったのだが、非常に衝撃を受けた記憶がある。
今再び、ノヴェンバーステップスを聴き直して思うのは、尺八と琵琶とオーケストラ、以外に、静寂というものがこの曲にとって非常に重要なファクタになっているんだな、ということである。昔聴いた、小澤・トロント響、と、今回聴いた、小澤・サイトウキネン、では、オケは異なるものの、指揮者、尺八、琵琶の演奏者は同一で、大きな演奏上の差異は正直感じられず、デジタル録音が故の静寂さという点で、このサイトウキネン版のほうが、図らずも武満の意図を反映しているのではないか、と思った。
他の曲も素晴らしい。おすすめ。☆5