飲茶という著者は知らなかったし、哲学にも興味はありません。きっかけは、担当編集者のブログを読んだこと。やけに熱く語っていたので、そこまで言うなら読んでやろうというつもりで手に取ってみました。近ごろは煽りばかりうまくて肝心の中身がスカスカという本が多い。これもそのひとつという匂いがしたので、最初っから警戒モードというか批判的視点で粗探しをするような態度で読みました。
が、最後まで読んでみたところ、いい意味で裏切られました。終始思考のトレーニングをさせられているような刺激的な内容で、「正義とはなにか」「善とはなにか」ということについてとことん考えさせられます。哲学の大枠がとてもわかりやすく理解できるのもよいところです。スカスカ感はなく、いまどき珍しい、価格に見合った内容のある本だと感じました。
星1個減らしたのは、小説としての完成度が高いわけではないこと。人物や状況の描写はとても類型的かつ単純で、そういう意味でのコクはありません。ただし本書は「小説仕立ての入門書」というのが本質的価値なので、小説として評価してもあまり意味はないかも。
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