睦月影郎の小説は飽きるか、この官能小説のノウハウは一応最後まで読める。
舞台裏を報せると言うよりも、作家としての狙いに的を絞っている作品だ。
だが「文法」ではない。「欲情させる精神の持ち方」である。
さまざまな試行錯誤の上から、余計な物語性を排除して、また文学性も追わずただただ欲情させる文を書くのが官能作家だと説いているように思える。
無謀である。
読む側の知的好奇心を無視しているとも言える。小説の読者はAVの視聴者とは異なると言うことを、この人は知らない。
読者は奥深いエロティズムを期待している。
睦月作品は総て底が浅いエロ小説だ。猥文の域をでていない。要するに己のためのエロ文なのである。読者を楽しませようとしているのではない。
たぶん、作品の質がもっと高ければ、ここに書かれていることに大きな説得力を持つのだろうが、力説されているエロさがどの作品からも感じられないのだ。
逆に本書を読むと「どうだこれがエロの書き方だ」と上から目線で言っている。「技術」で描かれたエロに誰が昂奮すというのだ。
ただ冊数が多いと言うだけで、この男は官能界の大御所でもなければ、第一人者でもない。
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