(以下、「まえがき」より一部抜粋)
新しい製品やサービスの開発、新規事業開発に取り組むとき、みなさんはどんなアプローチをとっているだろうか。商品企画や新規事業に携わる方々に話を聞くと、次のようなケースが多いようだ。
「いまある問題をMECE(漏れなく・ダブりなく)で整理する」「アンケート調査などで定量情報を収集する」「情報を分析して、その中から打ち手を選択する」
さらに話を聞いていくと、これまではこうした分析的なアプローチで製品やサービスを考えることが有効だったが、今は市場が成熟して先行きが見えづらくなり、従来の延長線上の発想だけでは通用しなくなっているという。
「どうすれば、特定の事業や製品の枠組みを超えた発想ができるだろう?」「まったく新しい製品やサービスを生み出している人たちは、いったい何が違うのか?」「非連続の価値創造が求められる時代に、自分たちは何をどうすればいいのだろう?」
こうした問題意識を持った方々と多くのプロジェクトをご一緒し、また社内外での研修やトレーニングを重ねていき、かれこれ10年近くにわたって「いままでにない新しい製品・サービス・事業をつくるにはどうすればいいか?」ということを考えてきた。考えて、実践してみて、また考えて、実践する、という試行錯誤の末に、「いままでにない新しい製品・サービス・事業のつくりかた」を自分なりに整理したのが、本書で紹介する「機会発見」というアプローチだ。新しい製品・サービス・事業を生み出すためには、冒頭に出てきた「MECE」「定量情報」「分析」というやり方を一旦、脇に置く必要がある。むしろその真逆の考え方をすることが、新しい市場をつくるためには不可欠なのだ。真逆の考え方とは、こういうことだ。
「MECEではなく、枠外の視点を探索する」「定量情報ではなく、定性情報を収集する」「分析ではなく、統合する」
この機会発見というアプローチは、著者が日常的に接しているマーケティングの世界で培った経験に加えて、「社会学」と「デザインシンキング」がベースとなっている。これらの領域から生まれた手法は、シリコンバレーの企業や海外のビジネススクール、グローバル企業の研究機関などで積極的に導入され、ビジネスを考える上での新たなスタンダードとなりそうな勢いだ。みなさんにとって本書が、これまでの価値観やルールから一旦離れるきっかけとなり、「いままでにないもの」を生み出す手助けになることを願っている。
--このテキストは、
tankobon_hardcover版に関連付けられています。
著者について
岩嵜博論 Hironori Iwasaki
株式会社博報堂/博報堂イノベーションデザイン ディレクター/ブランド・イノベーションデザイン局 イノベーションデザイン部 部長。博報堂において国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わった後、近年は生活者起点のイノベーションプロジェクトをリードしている。専門は、新製品・サービス開発、新規事業開発、UX戦略、ブランド戦略、マーケティング戦略、エスノグラフィ調査、プロセスファシリテーション。国際基督教大学(ICU)教養学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了、イリノイ工科大学Institute of Design修士課程修了。共著に『アイデアキャンプ――創造する時代の働き方』(NTT出版)、『FABに何が可能か――「つくりながら生きる」21世紀の野生の思考』(フィルムアート社)などがある。
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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
岩嵜/博論
株式会社博報堂。博報堂イノベーションデザインディレクター。ブランド・イノベーションデザイン局イノベーションデザイン部部長。博報堂において国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わった後、近年は生活者起点のイノベーションプロジェクトをリードしている。専門は、新製品・サービス開発、新規事業開発、UX戦略、ブランド戦略、マーケティング戦略、エスノグラフィ調査、プロセスファシリテーション。国際基督教大学(ICU)教養学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了、イリノイ工科大学Institute of Design修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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