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森へ行きましょう (日本語) 単行本 – 2017/10/11

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第164回芥川賞・直木賞 受賞作決定
芥川賞は宇佐見りん『推し、燃ゆ』。直木賞は西條奈加『心淋し川』。
ほか、候補作品や過去の受賞作など、 >芥川賞・直木賞特集はこちら

商品の説明

メディア掲載レビューほか

1966年の同じ日に生まれた女性、ふたりの人生の選択を描く

一九六七年生まれの私が二十七歳で嫁に行くときに、明治生まれの祖母が遠方からはるばるやってきて、ほにゃりとした京都弁で嫁の心得を説いた。「毎朝、夫のために化粧をしなさい」、「結婚は忍耐。なにごともガマン」など、どれも「女性は男性をたてるべし」だった。

そんな時代だった。

総合職につく女性が出始めたものの、結婚が決まると周囲が仕事は続けるのかと訊き、二十五歳を過ぎると賞味期限切れのクリスマスケーキと揶揄された。景気はよかったが、女性にとってはまだ選択肢が少ない、息苦しい時代でもあった。

「森へ行きましょう」は、一九六六年生まれのふたりの女性が主人公。「留津」と「ルツ」という。

留津とルツの世界は、同じ時間のなかの異次元に存在するパラレルワールドだ。

同じ日に生まれ、団地住まいの父母の名前も一緒。巡りあう男性や友人も重なる。しかし彼らはだまし絵のように微妙にディテールを変えながら、それぞれの世界に関わってくる。

同じ他者が少しずつリンクする仕掛けにより、留津とルツそれぞれの結婚、恋愛、仕事など、人生における岐路の選択が、より濃く浮き上がってくる。

ほんのわずかにずれているだけで、人生はおおいに変化する。

誰もが思うことだろう。

「あのとき違う道を歩んでいれば、まったく別の人生をおくっていたかも」と。

留津とルツの人生は、世間一般の女性たちと同じく、悦びや受難に満ちている。

私なんぞは、「モヤモヤするけど、まぁいいか」の日々だが、人生を思索するふたりの言葉は、じつに明快だ。自己分析というよりは神々しく、智恵に近いかもしれない。

その言葉たちに急所をつかれたり、胸をえぐられたり、救われたりしながら、引き寄せられていく。まるで暗い森のなかに光をおびて浮かぶ道しるべのように感じる。

留津とルツは、いかなる切ない状況に陥ったとしても、深い森に迷い込んでいるような閉塞感はない。

それはふたりの誕生から五十歳を越えるまでの人生が、一歳ずつ年を重ねながら、交互に描かれているからだろう。

私たちは、どんなに悲しい出来事に突き当たり、絶望したとしても、命あるかぎり次の誕生日に向かって歩いていく、じつにたくましい生き物なのだ。しみじみ自覚した。

多くの人が共有し、愛おしく思うであろう留津とルツの世界は、私のパラレルワールドでもある。

評者:松井 雪子

(週刊文春 2017.11.30 号掲載)

内容(「BOOK」データベースより)

1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。「いつかは通る道」を見失った世代の女性たちのゆくてには無数の岐路があり、選択がなされる。選ぶ。判断する。突き進む。後悔する。また選ぶ。進学、就職、仕事か結婚か、子供を生むか…そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、ふたりの人生にもたらしたものとは、はたして―日経新聞夕刊連載、待望の単行本化。

登録情報

  • 出版社 : 日本経済新聞出版 (2017/10/11)
  • 発売日 : 2017/10/11
  • 言語 : 日本語
  • 単行本 : 512ページ
  • ISBN-10 : 453217144X
  • ISBN-13 : 978-4532171445
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち3.3 12個の評価

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