浜田文人は文はうまい。南英男などと比べても落ち着き払ったトーンで書かれている。
昭和のハードボイルド作家たちの雰囲気を漂わせたこの文体が好きだ。空域感もいい。同じ警察内のバックヤードを描いても、今野敏が描く主人公よりも、この鹿取警部の方が尖っているので、全体にピリッとした感じがする。
ただし、捜査の展開がのろすぎる。話が進まないのだ。主人公もなかなか走り出さない。で、中盤でどうしても飽きる。
ラストは想像つくのだけれど、そこへの辿り着き方に緊迫感もトリッキーさもない。
この作家、仕掛けがうまくなると大化けするのではないかと、何作か読んで来たが、さすがに、すべて同じようもたつくので、食傷気味になった。同じ食傷気味なら、南英男や沢里裕二のような訳の分からないカタルシスがある方がいい。
- 文庫: 350ページ
- 出版社: 角川春樹事務所 (2018/4/12)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 475844157X
- ISBN-13: 978-4758441575
- 発売日: 2018/4/13
- 梱包サイズ: 15.4 x 10.6 x 1.6 cm
- おすすめ度: 1 件のカスタマーレビュー
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