とある高校の、とある一日、その場所に居合わせた7人の若者のモノローグで語られる6編のショートストーリー。
登場人物は17歳。その数字を3倍にするとイチローの背番号になる。わたしの年齢はそれよりも上だ。
読んで分かるかなあと不安を抱きつつ読み始めたが、思いがけずもどっぷり浸かってしまった。
この6編はそれぞれの話がおたがいにクロスして、重層的な構成になっている。面白い作り方だ。
その上、一つひとつの物語が素晴らしい。
彼らはみな自分の中にもどかしさを抱えていて、そのもどかしさと格闘しつつ今を生きている。その姿がとても輝いて見える。物語のモノローグは6人だが、その目線から見た友人たちも輝いて見えるので、ほんとうにまばゆい光景だ。そのまばゆさに胸をうたれ泣いてしまった。
主人公たちは友人たちのステキな面を見つけ出し、敬意を持ち、ときには妬み、自分の内面と格闘する。友人の輝く面に瞠目し、我が身と比べて呆然としたりする。
けれど、わたしなどは、我が身を苦悶する主人公こそが美しく見える。これほど真剣に悩んだりあせったり、恋したり叶わなかったりする君こそが輝いて見える。
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