黄金の日々以来、ずっと根津さんが好きだったから、自分が思っていたよりもずっと大変な苦労があったと知って泣いてしまいました。私にとって根津さんは俳優としてだけでなく、話してみたい人…そんな感じの好きでした。 デストラップの舞台の最後に勇気出して花束を持って飛びだしたら
優しく微笑んで前に出て小さな花束を受け取って
握手をしてくれた根津さんを今でも忘れられません。 奥様の仁香さんの文体も話の展開も素晴らしかったです。特に唐十郎氏とのいきさつの部分がひとつの長いドラマを見ていたようなそんな感慨が残る一冊です。
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根津甚八 単行本(ソフトカバー) – 2010/9/25
根津 仁香
(著)
俳優という職業はかくも壮絶なのか!!
根津甚八の人生はどんな作家が想像するより遥かにドラマティックだ。――放送作家 小山薫堂
根津が体調を崩さないでくれたら、それに越したことはなかったでしょう。でも、こういう状態になったからこそ、初めて、深く、根津を理解することができたような気もするのです。――<エピローグより>
根津甚八の人生はどんな作家が想像するより遥かにドラマティックだ。――放送作家 小山薫堂
根津が体調を崩さないでくれたら、それに越したことはなかったでしょう。でも、こういう状態になったからこそ、初めて、深く、根津を理解することができたような気もするのです。――<エピローグより>
- 本の長さ250ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/9/25
- 寸法13 x 2 x 19 cm
- ISBN-104062164647
- ISBN-13978-4062164641
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/9/25)
- 発売日 : 2010/9/25
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 250ページ
- ISBN-10 : 4062164647
- ISBN-13 : 978-4062164641
- 寸法 : 13 x 2 x 19 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 153,249位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,220位演劇 (本)
- - 16,038位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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2016年7月18日に日本でレビュー済み
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17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
殿堂入り
本書は、根津さんの夫人・仁香さんによる著書。
俳優業に終止符を打ったこと、悲しい人身事故のことまでは知っていましたが、本書を読んで初めて知ったのは、根津さんのすさまじい闘病の日々。
腰の怪我と病による車椅子生活、瞼の難病と共に心の病を抱えた苛酷な日々が、夫人によって克明に著されている書です。
以前は、ご自身の出演作を観たことなどなかった根津さんが、闘病の中、通販で取り寄せたのは、故・市川森一さん脚本による、大河ドラマのDVDボックスなど。
根津さんが昔出演したTVドラマを観ながら、夫人に熱く語るくだりは、切なくなりました。
根津さんの闘病生活のことだけではなく、根津さんから聞き取ったことを主に、根津さんの生い立ち、状況劇場在籍時代のこと、芸名の由来、出演作のエピソードも綴られ、状況劇場時代の俳優仲間や市川森一さん達へのインタビューを行った上で著された書です。
特に唐十郎さんへのインタビューは、一番歳月をかけて、根津さん自身が唐さんへ手紙を送った上で実現したもので、貴重な証言ではないでしょうか。
その他、根津さんが出演した黒澤作品のエピソード、勝新太郎さんのことや出演した「座等市」についても触れられています。
闘病生活の根津さんがブログを立ち上げ、書くことに楽しさと生きがいを感じていたのに、心を傷つけられて「書けなくなった」というエピソードには、すごく胸が痛みました。
本書の、根津さんによる「最後に」は、根津さんの誠実な人柄がにじむ心に響くものだと思います。
根津さんが出演した、ドラマ・映画、状況劇場時代の貴重な写真や、根津さんの出演作リストも掲載されています。
俳優業に終止符を打ったこと、悲しい人身事故のことまでは知っていましたが、本書を読んで初めて知ったのは、根津さんのすさまじい闘病の日々。
腰の怪我と病による車椅子生活、瞼の難病と共に心の病を抱えた苛酷な日々が、夫人によって克明に著されている書です。
以前は、ご自身の出演作を観たことなどなかった根津さんが、闘病の中、通販で取り寄せたのは、故・市川森一さん脚本による、大河ドラマのDVDボックスなど。
根津さんが昔出演したTVドラマを観ながら、夫人に熱く語るくだりは、切なくなりました。
根津さんの闘病生活のことだけではなく、根津さんから聞き取ったことを主に、根津さんの生い立ち、状況劇場在籍時代のこと、芸名の由来、出演作のエピソードも綴られ、状況劇場時代の俳優仲間や市川森一さん達へのインタビューを行った上で著された書です。
特に唐十郎さんへのインタビューは、一番歳月をかけて、根津さん自身が唐さんへ手紙を送った上で実現したもので、貴重な証言ではないでしょうか。
その他、根津さんが出演した黒澤作品のエピソード、勝新太郎さんのことや出演した「座等市」についても触れられています。
闘病生活の根津さんがブログを立ち上げ、書くことに楽しさと生きがいを感じていたのに、心を傷つけられて「書けなくなった」というエピソードには、すごく胸が痛みました。
本書の、根津さんによる「最後に」は、根津さんの誠実な人柄がにじむ心に響くものだと思います。
根津さんが出演した、ドラマ・映画、状況劇場時代の貴重な写真や、根津さんの出演作リストも掲載されています。
2011年3月9日に日本でレビュー済み
2010年の秋に俳優引退宣言をした根津甚八の半生記。
著者は妻の根津仁香(芸能関係の人ではありません)。
彼が90年代以降、腰、眼、うつ状態などの病を抱えていたこと、
現在は家から出ることもままならない状態にあることが明らかにされている。
彼女が根津本人、かかわってきた人物からの証言でその生き様をつづっている。
主軸になっているのは、根津の俳優人生において原点であり、よりどころでもあった状況劇団、その主催者・唐十郎との関係である。
根津は幼少のころから自意識が強く、人とのコミュニケーションをとるのが苦手だったという。
そんな彼が、生きる道を見出したのが演劇、そして状況劇団での活動だった。
彼が交流したさまざまな人々のコメントから彼の役者としての姿勢が浮かび上がってくる。
状況劇団を根津が去る際に、唐と残した心のわだかまり。
それが最後に、妻である著者と唐との面談でときほぐされていくだりが感動的だ。
著者の文章を書くということへの誠実な姿勢が読んでいてすごく伝わり好感が持てた。
夫・根津甚八への深い信頼、愛情が伝わってくる。
そしてとりつくろっていない文章。
書くということは、対象に対して誠実に向き合うことであるべきで、そうすれば、
そのことが読み手の心を動かすのだ
そんなことを読んでいて思った。
とてもいい本です。
著者は妻の根津仁香(芸能関係の人ではありません)。
彼が90年代以降、腰、眼、うつ状態などの病を抱えていたこと、
現在は家から出ることもままならない状態にあることが明らかにされている。
彼女が根津本人、かかわってきた人物からの証言でその生き様をつづっている。
主軸になっているのは、根津の俳優人生において原点であり、よりどころでもあった状況劇団、その主催者・唐十郎との関係である。
根津は幼少のころから自意識が強く、人とのコミュニケーションをとるのが苦手だったという。
そんな彼が、生きる道を見出したのが演劇、そして状況劇団での活動だった。
彼が交流したさまざまな人々のコメントから彼の役者としての姿勢が浮かび上がってくる。
状況劇団を根津が去る際に、唐と残した心のわだかまり。
それが最後に、妻である著者と唐との面談でときほぐされていくだりが感動的だ。
著者の文章を書くということへの誠実な姿勢が読んでいてすごく伝わり好感が持てた。
夫・根津甚八への深い信頼、愛情が伝わってくる。
そしてとりつくろっていない文章。
書くということは、対象に対して誠実に向き合うことであるべきで、そうすれば、
そのことが読み手の心を動かすのだ
そんなことを読んでいて思った。
とてもいい本です。
2010年10月20日に日本でレビュー済み
根津甚八さんのファンなので、3時間で一気に読み上げました。
どうして、この方が「俳優廃業宣言」をなさったかが、よく伝わってきました。
著者の奥様の根津仁香さんが、在日韓国人三世であること、そして甚八さんと15歳年が違うことで、結婚を周囲から反対されたことも、初めて知りました。
けれど、結婚式の根津甚八さんも、奥様の仁香さんも、お写真で拝見したそのお姿は
とても、とても、清々しく凛として、美しかったです。
また「黄金の日日」で石川五右衛門を演じられ、当時インターネットも無い中、熱心に図書館で文献を調べられ、五右衛門が実在の人物であり、釜茹での刑に処せられた事を知られてからは、そのシーンのために、性も根も尽き果てて、演じられた事も知りました。
そして、全く知らなかった、唐十郎さんとの関係が、石川五右衛門を演じたゆえの大ヒットで壊れたことも、初めて知りました。
私は「根津さんが俳優業を辞められる」と聞いたとき、非常に残念だった一人でしたが、この本を読んでから「良かったんだな」と思いました。
このまま続けたら「俳優・根津甚八」は生きても「人間・根津甚八」は死んでしまっただろう。
真面目にそう思えたからです。
根津さん、本当に貴方の素晴らしい、真摯な演技を拝見できたことを、私は感謝しております。
ありがとうございました。
これからの人生、ゆったりと、貴方らしく、貴方しか生きられない人生を
ゆっくりと歩んでくださいね。
この本を書いてくださった奥様の根津仁香さん、本当にありがとうございました。
お二人に心からの感謝と拍手をお送りし、このレビューを終えます。
どうして、この方が「俳優廃業宣言」をなさったかが、よく伝わってきました。
著者の奥様の根津仁香さんが、在日韓国人三世であること、そして甚八さんと15歳年が違うことで、結婚を周囲から反対されたことも、初めて知りました。
けれど、結婚式の根津甚八さんも、奥様の仁香さんも、お写真で拝見したそのお姿は
とても、とても、清々しく凛として、美しかったです。
また「黄金の日日」で石川五右衛門を演じられ、当時インターネットも無い中、熱心に図書館で文献を調べられ、五右衛門が実在の人物であり、釜茹での刑に処せられた事を知られてからは、そのシーンのために、性も根も尽き果てて、演じられた事も知りました。
そして、全く知らなかった、唐十郎さんとの関係が、石川五右衛門を演じたゆえの大ヒットで壊れたことも、初めて知りました。
私は「根津さんが俳優業を辞められる」と聞いたとき、非常に残念だった一人でしたが、この本を読んでから「良かったんだな」と思いました。
このまま続けたら「俳優・根津甚八」は生きても「人間・根津甚八」は死んでしまっただろう。
真面目にそう思えたからです。
根津さん、本当に貴方の素晴らしい、真摯な演技を拝見できたことを、私は感謝しております。
ありがとうございました。
これからの人生、ゆったりと、貴方らしく、貴方しか生きられない人生を
ゆっくりと歩んでくださいね。
この本を書いてくださった奥様の根津仁香さん、本当にありがとうございました。
お二人に心からの感謝と拍手をお送りし、このレビューを終えます。
2013年12月29日に日本でレビュー済み
昔、林真理子氏(この方も大キライですが) との対談で「女の人は美人でないと話をしない。悪いけど。」、と語っていたくだりを読み、醜形者と女性に対しての、根津氏が抱いている二重蔑視を知って氏の性根に呆れと軽蔑を感じました。
また、「悪いけど。」の付け足しに、尊大不遜さもかいまみえました。
フェミニストでない当方でも、このような発言を誌面に載せる雑誌社と平然と人目につく場所で口にした根津氏に憤りました。
レビュー該当のこの書籍は読んでませんし、ここに書くことではないですが、人気俳優として活躍中にこのようなことを述べていたかたが主役の書籍だということを知って戴くことは無意味ではないかと思います。
推測ですが、本書には根津氏に関して非同情的になるようなことは記してらっしゃらないでしょうし…。
上記のような状態ですので、可もなく不可もなくの意味で、星3に致しました。
また、「悪いけど。」の付け足しに、尊大不遜さもかいまみえました。
フェミニストでない当方でも、このような発言を誌面に載せる雑誌社と平然と人目につく場所で口にした根津氏に憤りました。
レビュー該当のこの書籍は読んでませんし、ここに書くことではないですが、人気俳優として活躍中にこのようなことを述べていたかたが主役の書籍だということを知って戴くことは無意味ではないかと思います。
推測ですが、本書には根津氏に関して非同情的になるようなことは記してらっしゃらないでしょうし…。
上記のような状態ですので、可もなく不可もなくの意味で、星3に致しました。
ベスト500レビュアー
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大河ドラマ『黄金の日日』で石川五右衛門を演じた根津甚八さんが残した強烈な役者魂。
最期の、釜ゆでの刑。(本書のなかに、撮影の苦労話も。)
あれから歳月がたって、昨年の12月末、お亡くなりになったというニュースに接しました。
過失致死罪にあたる車の事故を起こしてから、うつ状態が続いているとのことでしたが、いま、どうしておられるのか、気になっていた矢先でした。
古本の単行本ではあっても、帯つきで「150円+送料」というのがあったので、さっそく、注文。アマゾンのサイト上では、帯なしでの本が写っていたので、届いてみて、びっくり。ふつうの帯の2倍以上はあるところに、根津さんの顔をアップで撮った写真が。あの、鋭いまなざしをした、懐かしい顔に再会したのです!
著者は、状況劇場で活躍中の根津甚八はもちろん、あの『黄金の日日』さえ見たことがなかった、という、十五歳も年下の、仁香さん(なかなかの美人)。根津さんのほうも、家族に昔の映像を見せたがらなかったそうです。理由は、「照れ臭い」から(本書、12ページ)。
夫の俳優としての出世作に疎かった妻が、夫の半生を真剣になってたどり始めたのは、体調が悪化し、うつ状態が進行しつつあった夫との生活があったからだといいます。ただでさえ、寡黙な人が、心の扉を閉ざすようになった時、夫の心のなかを探索する旅路を往こうとするのは、当然の成り行きだったのかもしれません。
目次は、
プロローグ
第一章 長く、辛い日々の始まり
第二章 あの眼差しが失われてしまった
第三章 昔はこんな顔、こんな声だったんだ
第四章 自意識の強い子ども
第五章 俳優修業が始まった
第六章 俳優として開眼したとき
第七章 別れの手紙をしたためて
第八章 忘れることのできない映画、ドラマ
第九章 バイク、釣りにハマった日々
第十章 いつも表現衝動に駆られている男
エピローグ
最後に
根津甚八出演作リスト
根津さんと関わりのあった人たちから聴いた話をもとに構成されていますが、主要人物は、何といっても、状況劇場の主宰者として、根津さんを俳優として育て上げた、唐十郎さん。ある仲違いで、状況劇場を辞めた根津さんでしたが、「唐さんにとって、自分がどんな俳優だったのか」を、ずっと知りたがっていたのでした。第十章は、ようやく面会した唐さん自身から仁香さんが聴いた、「根津甚八」論になっています。
結婚式のスナップ、大河ドラマ『黄金の日日』の一場面、状況劇場の舞台写真、バイクや釣りの記念写真その他の、貴重な映像も収められている本書は、根津甚八という俳優の生きた時代をとおして、自分の青春時代を振り返りたい方々にとっては、懐かしい想いのする一冊になるはずです。
NHKの販売している『黄金の日日』(DVD)は価格が高いので、なかなか、入手できません。2017年1月20日に出た総集編のDVDも、高いです。子どもの粉ミルクその他の生活用品を、何か月分も変える値段です。でも、YouTubeで「釜茹での刑」その他のハイライトなどは、みられるので、今は、イイ時代になりました!
「根津甚八」という名前を初めて聞く若い世代の方々にも、現存する映像をとおして、その鮮烈な面魂を目撃してほしいと思います。
最期の、釜ゆでの刑。(本書のなかに、撮影の苦労話も。)
あれから歳月がたって、昨年の12月末、お亡くなりになったというニュースに接しました。
過失致死罪にあたる車の事故を起こしてから、うつ状態が続いているとのことでしたが、いま、どうしておられるのか、気になっていた矢先でした。
古本の単行本ではあっても、帯つきで「150円+送料」というのがあったので、さっそく、注文。アマゾンのサイト上では、帯なしでの本が写っていたので、届いてみて、びっくり。ふつうの帯の2倍以上はあるところに、根津さんの顔をアップで撮った写真が。あの、鋭いまなざしをした、懐かしい顔に再会したのです!
著者は、状況劇場で活躍中の根津甚八はもちろん、あの『黄金の日日』さえ見たことがなかった、という、十五歳も年下の、仁香さん(なかなかの美人)。根津さんのほうも、家族に昔の映像を見せたがらなかったそうです。理由は、「照れ臭い」から(本書、12ページ)。
夫の俳優としての出世作に疎かった妻が、夫の半生を真剣になってたどり始めたのは、体調が悪化し、うつ状態が進行しつつあった夫との生活があったからだといいます。ただでさえ、寡黙な人が、心の扉を閉ざすようになった時、夫の心のなかを探索する旅路を往こうとするのは、当然の成り行きだったのかもしれません。
目次は、
プロローグ
第一章 長く、辛い日々の始まり
第二章 あの眼差しが失われてしまった
第三章 昔はこんな顔、こんな声だったんだ
第四章 自意識の強い子ども
第五章 俳優修業が始まった
第六章 俳優として開眼したとき
第七章 別れの手紙をしたためて
第八章 忘れることのできない映画、ドラマ
第九章 バイク、釣りにハマった日々
第十章 いつも表現衝動に駆られている男
エピローグ
最後に
根津甚八出演作リスト
根津さんと関わりのあった人たちから聴いた話をもとに構成されていますが、主要人物は、何といっても、状況劇場の主宰者として、根津さんを俳優として育て上げた、唐十郎さん。ある仲違いで、状況劇場を辞めた根津さんでしたが、「唐さんにとって、自分がどんな俳優だったのか」を、ずっと知りたがっていたのでした。第十章は、ようやく面会した唐さん自身から仁香さんが聴いた、「根津甚八」論になっています。
結婚式のスナップ、大河ドラマ『黄金の日日』の一場面、状況劇場の舞台写真、バイクや釣りの記念写真その他の、貴重な映像も収められている本書は、根津甚八という俳優の生きた時代をとおして、自分の青春時代を振り返りたい方々にとっては、懐かしい想いのする一冊になるはずです。
NHKの販売している『黄金の日日』(DVD)は価格が高いので、なかなか、入手できません。2017年1月20日に出た総集編のDVDも、高いです。子どもの粉ミルクその他の生活用品を、何か月分も変える値段です。でも、YouTubeで「釜茹での刑」その他のハイライトなどは、みられるので、今は、イイ時代になりました!
「根津甚八」という名前を初めて聞く若い世代の方々にも、現存する映像をとおして、その鮮烈な面魂を目撃してほしいと思います。