本書では、現代でも全国的に行われている、「左義長」や「どんど」と呼ばれる正月飾りを燃やす行事について、その地域の人々の生活や経験にどのような影響を及ぼしてきたのかを調査し、なぜこのような行事が現代でも脈々と受け継がれてきたのかを明らかにしようとする。
左義長やどんど焼きは、その呼び方を始めとして歴史や内容に大きな地域差があるが、本書は「伝統的な正しい左義長」を明らかにするためのものではなく、多様な左義長のあり方をそのまま受け止め、左義長に関わった個人にどのような意味があったのかを分析している。
本書の特徴は、調査の段階で筆者が行なった手法を非研究者向けに丁寧に解説し、本書を通じて左義長に興味を持った読者が、自身の地域の左義長やその他の行事について調べる足がかりとなる点だ。
私自身も、子どものころに地元地域のどんど焼きに毎年のように参加していたが、その由来や歴史などに詳しい訳でもなく、本書を通じて始めてその行事の多様性に気付かされた。
読者が普段当たり前に感じていた地域行事の魅力に気づき、それを深く調べるための手法までも紹介してくれているという点で、一般書として幅広い背景を持った読者に読んでもらいたい書籍だ。
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