松田優作氏については、かつて身近にいた人々が様々に語ったものがありますが、それらを読むより、優作氏自らの企画の残影である本書を読んだ方が、氏へのアプローチとしてより近づけるのではないでしょうか。
ある意味、「松田優作の感性の基準」がわかる本です。
収録作品のタイトルを列挙しておきます。
「荒神」「たった一人のオリンピック」「船頭・深谷心平」「プロデュース」「チャイナ・タウン」「緑の血が流れる」
このうち、「緑の血が流れる」以外は、優作氏本人が「丸山、やったな」と認めたものだそうです。
いわゆるアクションものは「チャイナ・タウン」のみで、他は平凡・地味あるいは暗くて重い話ばかりであるのは、人によっては意外に感じるかもしれません。
とりわけ「船頭・深谷心平」は、NHKの朝ドラみたいな内容で、三十代の優作氏が、役者としてなにを目指していたのかが伺えて興味深いです。
シナリオ以外に、丸山氏、作家・中上健次氏、音楽家・梅林茂氏、プロデューサー・黒澤満氏のインタビューも掲載されています。映画化が決まれば、監督・役者はこのキャストでいくつもりだったみたいなウラ話もあるので、自分で幻の映像化をあれこれ想像してみるのも楽しいでしょう。
私自身は、全てが面白いと感じたわけではありませんが、「船頭・深谷心平」は優作流の「カッコよさの基準」だったんでしょうね。これだけは、観てみたかったです。
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