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杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫) 文庫 – 1979/12

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商品の説明

「杳子は深い谷底に一人で座っていた。」神経を病む女子大生 〈杳子) との、山中での異様な出会いに始まる、孤独で斬新な愛の世界……。現代の青春を浮き彫りにする芥川賞受賞作『杳子』。都会に住まう若い夫婦の日常の周辺にひろがる深淵を巧緻な筆に描く『妻隠』。卓抜な感性と濃密な筆致で生の深い感覚に分け入り、現代文学の新地平を切り拓いた著者の代表作二編を収録する。


登録情報

  • 文庫: 264ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1979/12)
  • 言語: 日本語
  • ISBN-10: 4101185018
  • ISBN-13: 978-4101185019
  • 発売日: 1979/12
  • 商品パッケージの寸法: 15.1 x 10.7 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1 15件のカスタマーレビュー
  • Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 59,452位 (本の売れ筋ランキングを見る)
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カスタマーレビュー

トップカスタマーレビュー

形式: 文庫
《おい、わかったよ。君はそんな風に躯をないがしろにするもんだから、自分のありかがはっきりしなくなるんだよ。だから、行きたいところにも、一人で行けないんだ》
 しかしそれは口に出さずに、彼は杳子を右腕の下に包んでやる。重さの感じがすこしも腕に伝わってこなかった。(『杳子』より)

 ひとはけっして一人でたたずんでいるときに孤独を発見するわけじゃない。自分とむきあう相手がいる、けれどその相手に融けこむでもない、といって相手を拒み去るでもない。そのように自他の釣り合いが宙づりなままにされるとき、ひとは相手とのあいだに横たわる無限に広い名もなき空間をうつらうつらと漂ってその途方もなさに暮れ、仕方なしにその場を孤独と名づける。名づけずとも感じ取っている。感じずともその身はすでに侵されている。杳子と出会った彼も、おそらく――。
 『杳子』も『妻隠』も、ともに二人の男女の閉ざされた世界を描いている。しかしどうやらそのアクセントは「二人の男女の恋愛」にではなく、「世界の/からの閉ざされ」に置かれているようだ。個人的にはこのような、自閉しあう関係とでも呼べばいいだろうか、そういう関係にすこし惹かれる。
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投稿者 daepodong VINE メンバー 投稿日 2005/10/17
形式: 文庫
 戦後第一世代の作家として著名な古井由吉の出世作。この世代の中では彼が最も「内向の世代」にぴったりな作品をつくりあげているが、特に「杳子」は神経を病んだ女子大生とそれゆえに彼女に惹かれてゆくという主人公の関係を描いた作品なので、余計にその感が強い。しかし、ひとむかし前の作品との違いは、「心理主義」では書かれていないことだ。むしろふたりのやり取りや外的な状況の描写を通じてふたりの心理を浮かび上がらせているという手法が新鮮な印象を与えている。結末が予定調和的にならないのも、このふたりの関係と著者の視点から言っても、ある程度予想のつくことだと思われる。
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形式: 文庫 Amazonで購入
杳子は誰の視点に寄り添って読むかという点が重要になると思った。
自らに引き寄せてしまい共感して読んでしまう読み手では入り込み過ぎてしまうかもしれない。
杳子は姉を真似ていて、男をやまいの世界へ引き摺り込む事を自己演出している。
昨今は、メンタルヘルスの知識がそこここに溢れているので、見分けがつきやすいが、
70年代のインターネットの無い時代に、ここまで精神の病を描き、それを突き放したのは、素晴らしい。
妻隠も合わせて読むと、作者の女性への視線が恐れや不思議の詰まっている箱を見る観察者のようで、良い。
文体は読みやすいとは言えないが、不思議と読後に印象深いシーンが多いのも作品の魅力だろう。
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形式: 文庫
日常があっという間に背筋が寒く、重苦しくなる作品
2作品です。

2つの作品のうち、最初の作品は
少しだけ見方を変えると、
依存症の人の描写を見事に表しているんですよね。
ことに共依存に関して。

後半のSの物言いは完璧に共依存者の
発言なんですよね。
ただし、救いなのは当人は変わろうという心が
あるということですね。

2つ目の作品はなんてことのない日常に潜む
時折見える曇り、という感じでしょうか。
理不尽な扱いをされる若者、そしてそれを仕切る寮母的な存在。

二人の世界が侵食されていく描写が
日常なはずなのに、文章が重いから
とても、恐ろしくうつります。

重たい作品で、独特の文章なので
人を選ぶかもしれません。
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形式: 文庫
二つとも、著者の原点となるような作品。
不可解な女、それを観察しながら追い詰める、もしくは逃げられる男。
彼の足場は此岸にあり、確固としているようだが、女という不可思議に出会うと足場が砂にさらわれるように崩れていく。
しかし、それも一時の夢で、理解できた、という瞬間を掴んだときには、彼女は理解不能の彼岸(狂気)へと移行している。
もしくは、彼が彼女を意識的に彼岸に追いやる事で、普段の生活に戻っていく、そんなパターンが垣間見える2作品。
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形式: 文庫
(物語の筋や結末などに触れています。)

この本の前に読んだものは
谷崎潤一郎 春琴抄
瀬戸内晴美 花芯
山崎ナオコーラ 人のセックスを笑うな

『杳子』
反復-反射-感応。
世界の捉えがたさ/反復の受容。
語りと話の筋が有機的に連関している。技巧的な小説といった印象。
男女の出会いの心情・共感・反発の双方からの描写。語りが与える不安感は、感応を軸としての共感・反発を示しているんじゃないか。
「それは人の顔でないように飛びこんできて、それでいて人の顔だけがもつ気味の悪さで、彼を立ちすくませた。ところが、顔から来る印象はそれでぱったり跡絶えてしまって、彼はその顔を目の前にしながら、いままで人の顔を前にして味わったこともない印象の空白に苦しめられ、徐々に狼狽に捉われていった。」
恋愛小説で、出会いの場面がこのように描かれる小説があるかな。この短い段落は、否定的な言葉に満ちている。
この小説は、男女である必要があるのかな。彼らは愛し合っているのだろうか、恋しいのだろうか。
「ええ、それは、好きです」
近くもあり、遠くもある言葉。
彼は、「わが身をいとおしく思って、そのために不安に苦しめられて、その不安をまたいとおしく思っ
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