ホラー、SF、超能力を描いた小説は、ともすれば平板で、ただ読者を煽動するだけのものが多いですが、この5つの短編はそういう地平からは離れたところにあります。
話すカエルが名前を盗んだり、たまたま会って逢瀬を重ねた女性がの乳癌とゲイを告白してから疎遠になった姉の乳癌が重なる偶然があったり、朝パンケーキを焼くように電話したまま突然失踪した夫・・・不思議な設定で始まりますが、どれも薄っぺらでなく、リアリティーを持って引き込まれていきます。
中でも、鮫に足を食いちぎられて死んだサーファーの息子を思ってハワイを毎年訪ねるジャズバーを経営する母を描く「ハンナラベイ」が好きです。
堪能し、魂に響き、深く震えた物語群でした。
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第164回芥川賞・直木賞 受賞作決定
芥川賞は宇佐見りん『推し、燃ゆ』。直木賞は西條奈加『心淋し川』。
ほか、候補作品や過去の受賞作など、 >芥川賞・直木賞特集はこちら
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