タイトルに書いたことそのままなのだが、村上龍氏をむかしから知っている人にはおなじみの内容で、著者の読者としてまだ浅い方には村上龍氏のコアな要素がたくさん味わえるエッセイ集だ。本書に載せられている内容はだいたいが1998年前後から2005年くらいまでに書かれたものだが、当時著者は40歳代後半から50代前半である。僕は著者が若いころからメインの著書はけっこう読んできている方だと思うが、まあ、年齢を経ても様々な社会現象に興味を失わない著者の好奇心旺盛さとバイタリティーには本書を読んでも感心させられる。〜2000年前後のエッセイには『コア・コンピタンス』というキーワードが出てくるが、これは当時経営理論として『コア・コンピタンス経営』という著書が発表されて広がったものだ。このあたりには当時トレンドだったいわゆるMBA的素養にまで著者のアンテナと好奇心が働いていたことを顕著にしめしている。
社会分析には少々強引な定義も目立ち、もう少し複眼的な分析が必要な部分もあるし、前半のキューバ音楽と後半のサッカーにかんする文章にはそれぞれに興味のない方には退屈に感じてしまうところもあるだろう。しかし、雑食動物村上龍(無論いい意味です)のエッセンス盛りだくさんのエッセイ集であることは間違いないし、かつ編集者の頑張りも相当だっただろうと想像できる力編だ。
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