本書や著者に対する私の疑問点・不満点は3点あります。
1点目は、ここ最近になって、大幅減配・無配に転落したWBK(15%減配)、RDSB(66%減配)、HSBC(1年無配)、Jリート(8963:インヴィンシブル投資法人:98.3%減配!)等を大幅にポートフォリオに加えているにもかかわらず、大幅減配・無配転落について、本書でもこの方のブログでも触れようとしないことです。
潜在的には、減配リスクの高いBPなどもこの方はポートフォリオに加えており、投資歴の浅い方々が、安易に著者の真似事をしないかと心配です。
2点目は、著者は上記銘柄に加え、株価が下落一辺倒の2914(日本たばこ産業)などをポートフォリオに加えていますが、インカムゲインにのみ着目し、決して資産総額の増減に言及しようとしないことです。著者はブログ中で配当・分配金収入にのみ着目し、資産総額については全くの無関心であることについて触れていますが、ごく普通の個人投資家ならば、「資産総額」の増減と「インカムゲイン」の総体で投資成績を測るのは当然のことです。
配当収入で年間100万を計上するが、株価ベースで年間150万目減りしている株式を保有し続けることに対して、普通の人は嬉しいと思いませんし、株式投資としては失敗に分類されます。極めて常識的なことですが、成長鈍化による減配リスクの織り込みこそが、チャート低迷と超高配当に現われること、株式の場合、成長と高配当のスイートスポットは、年配当3~4%後半(せいぜい5%)の水準にあることを投資歴の浅い方には周知して頂きたいと思います。
3点目は、著者にとって、なぜ1点目と2点目のような「不誠実さ」が必要かに関わります。
おそらく、上記のような事実は著者のブランディング(30歳でのFireと、それに伴う「生き方」の提案)にとって不穏なマイナス要素であり、有り体に言えば、ブログ収入や本書の印税を含めた配当以外の間接収入(しかし、Fire後においては極めて重要な収入源)にとっては、不都合な真実だからでしょう。
この著作を参考にして、Fireに憧れ、投資を始めようという普通のサラリーマンの多くは、著者ほどのブログ収入はないでしょうが、著者は「インカムゲイン」+「ブログ収入/印税」の総体でFire後のキャッシュフローを形成するであろうという、「メタレベルでのファクト」を察するべきです
(今後は、先生と成り、オンラインサロン、Note、Youtube、雑誌連載、講演会などでもキャッシュフローを得ていくかもしれませんけど)。ここまであって、初めて著者のFireが完成します。
1人の投資家として、本書から得るものがあるとすれば、それは「丁寧な自己ブランディングとは何か?」というメタ水準でのメソッドにあると考えます(もちろん、反面教師の面もありますが、これは著者の若さにも起因する気がします)。
以上を踏まえると、個人投資家として著作を出されている方の本では、(自己顕示の側面もあろうかと思いますが)ブログ収入・印税収入までもブログ等で言及し続け、S&P500に対して投資成績が劣後していることさえも素直に開示し、しかも米連続増配高配当株にのみ着目しているバフェット太郎氏の方が、はるかに誠実かつ堅実で、名もなき個人投資家には、未だしも参考になる書だと思います(私は同氏の投資手法については、必ずしも賛成できませんが!……)。
本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2020/7/2
穂高 唯希
(著)
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|
-
本の長さ272ページ
-
言語日本語
-
出版社実務教育出版
-
発売日2020/7/2
-
ISBN-104788921332
-
ISBN-13978-4788921337
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
初心者から本気でFIREしたい人まで、日本版FIREムーブメントの先駆者が、誰でもできる投資法、教えます!FIRE→労働に縛られない新しいライフスタイル。
著者について
ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」を運営。
給与の8割を日米英豪中などの高配当株・連続増配株へ投資し、金融資産約 7000万円、月平均20万円超の配当収入を得られるしくみを形成。
30歳で退職 しセミリタイア、FIREを達成。日本版FIREムーブメントのさきがけとしてメディアで度々取り上げられている。
給与の8割を日米英豪中などの高配当株・連続増配株へ投資し、金融資産約 7000万円、月平均20万円超の配当収入を得られるしくみを形成。
30歳で退職 しセミリタイア、FIREを達成。日本版FIREムーブメントのさきがけとしてメディアで度々取り上げられている。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
穂高/唯希
ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」を運営。給与の8割を日米英豪中などの高配当株・連続増配株へ投資し、金融資産約7000万円、月平均20万円超の配当収入を得られるしくみを形成。30歳で退職しセミリタイア、FIREを達成。日本版FIREムーブメントのさきがけとしてメディアで度々取り上げられている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」を運営。給与の8割を日米英豪中などの高配当株・連続増配株へ投資し、金融資産約7000万円、月平均20万円超の配当収入を得られるしくみを形成。30歳で退職しセミリタイア、FIREを達成。日本版FIREムーブメントのさきがけとしてメディアで度々取り上げられている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社より
人気ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」の著者による初の書籍がついに刊行!


●著者の配当収入(税引き後)推移(2016~2019年)
入社当日に「30歳でアーリーリタイアする」ことを決意し、「支出の最適化」と「収入の約8割を投資に回す」というマイルールを徹底することで、配当収入もグラフのように伸びていき、本当に30歳でセミリタイアという偉業を成し遂げました。
本書には、そんな著者の投資手法のノウハウも掲載しています。
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---|---|---|---|---|---|---|
人生を変える記録の力 | 週40時間の自由をつくる 超時間術 | バイデン時代の「最強」投資戦略 | Tシャツだけで年商30億。 | 結局、人生はアウトプットで決まる | ひらめかない人のためのイノベーションの技法 | |
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著者 | メンタリストDaiGo 著 | メンタリストDaiGo 著 | 菅下 清廣 著 | 新開 強 著 | 中島 聡 著 | 篠原 信 著 |
発売日 | 2019/9/19 | 2018/3/30 | 2020/12/15 | 2019/9/24 | 2018/9/25 | 2020/1/28 |
出版社 | 実務教育出版 | 実務教育出版 | 実務教育出版 | 実務教育出版 | 実務教育出版 | 実務教育出版 |
登録情報
- 出版社 : 実務教育出版 (2020/7/2)
- 発売日 : 2020/7/2
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 272ページ
- ISBN-10 : 4788921332
- ISBN-13 : 978-4788921337
-
Amazon 売れ筋ランキング:
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- - 45位株式投資・投資信託
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
【長文です】
【概要】
著者のブログを(全部ではありませんが)概ね読んでいたので、どんな内容か気になりキンドル版を予約購入しました。
数時間で読み終え終えることができるボリュームでした。
結論を端的に言えば、「非常に残念」の一言です。
定価で新品やキンドル版を購入する必要性はほとんど存在しないと個人的には感じました。
※ちなみに著者自身は、基本的に本は図書館で借りて読んでいるとブログで公言しており、本書についても図書館で借りることを自ら推奨しています。
私としても、この本は図書館で無料で借りるなり購入者から借りるなり中古で格安で購入するなりすれば十分な内容と感じました。
既にたぱぞう氏などの書籍を読んだことがある人であれば、なおさら定価で購入するメリットはないでしょう。
内容としては、これまでにブログで記載してきたことをまとめたような内容、これまでのブログの集大成のような内容で、ブログ読者であれば新たに得られるものはほとんど存在しないと感じました。
※新たな内容も全くないわけではありませんが、その部分のためにわざわざお金を使う必要があるようには感じませんでした。
気になったのは、著者本人の考え方や思い、著者本人の身上経歴等が(水瀬本やたぱぞう本と比べて)厚く書かれており、いわゆる「自分語り」に比重を置いているように感じられたことです。
著者のファンや信者であれば喜ぶのかもしれませんが、純粋にアーリーリタイア・セミリタイア・FIREに関心がある人や、高配当株・増配株に関心がある人によっては、単なる蛇足に過ぎないという印象です(そもそもFIREした人のブログや書籍なんて既にたくさんありますし)。
【著者がそもそも超ハイスペであること】
著者に関して言うと、30歳という若年でFIREしたこと、中高一貫の学校から慶応義塾大学経済学部へ進み、在学中に北京大学に留学し(北京大学は世界大学ランキングで24位です。東大は36位です。)、三菱系の国内大手企業に入社したといういわゆる「国内エリート組」に属していたというのが、セミリタイア界隈、FIRE界隈の方々の中での特徴ということになります(本書の冒頭でも著者のこうした経歴が記載されています)。
逆に言えば、筆者はそもそも同世代サラリーマンの上位5%には入るであろう「超ハイスペ人間」だったのであり、だからこそ30歳という若年でセミリタイアできたということですね。
そういう意味では、大多数の平均的なサラリーマンにとっては(とりわけ入金力という観点からは)再現性に乏しいでしょう。
【平均年収の人が本書の方法でFIREできるか】
著者は本書の中盤で平均年収の人でも40歳で金融資産4000万円を達成できると述べています。
しかし、実はこれは毎月の支出を15万円とすることを条件とした計算です。
旅行に行こうがデートしようが、結婚しようが子どもが産まれようが、子どもが就学しようが習い事を始めようが、23歳から40歳になるまで絶えることなく(家賃、光熱水費、通信費、交通費、服飾費、教育費、医療費等々を全て含めた)支出を毎月15万円以内に収め続けて、ようやく40歳で4000万円に到達するよと述べているわけですね。
逆に言えば、自分の提唱する方法では、平均年収の人たちはそれくらいしなければ40歳で4000万円なんて不可能ですよと述べているに等しいように感じました。
※本書の後半では5つのケースの検討がなされていますが、1つを除くといずれもFIREと無関係のケースです。
なお、年収の平均値と中央値は異なる概念であり、超高収入の人がいるため平均値は中央値よりも引き上げられています。そもそも平均年収の人というのは真ん中くらいの人よりも高収入ということですね。中央値付近の人(真ん中くらいの人)はもっともっと頑張らないと40歳で4000万円なんて夢のまた夢ということです。
実はこのように、インデックスや配当株の積立複利運用のような方法(筆者が提唱しているような方法)というのは、老後に備える方法としては有用であっても、FIREを目指すには向いていないと言われています。
たぱぞう氏もブログで繰り返し、FIREするためにはある程度リスクをとって集中投資をするなどして大きく資産を伸ばす必要があると述べていますね。
【内容面】
内容面としては、要するに、水瀬氏やたぱぞう氏、ナイトウォーカー氏、バフェット太郎氏などの方々が著書で繰り返し論じてきたことの二番煎じであり、特段の目新しさは見受けられません。
※セミリタイア系の書籍は、支出を抑える、S&P500等のインデックスや高配当株を買い続けるといったメッセージが中心となるので、内容が似たり寄ったりになるのは仕方ないといえば仕方ありませんが…。
なお、著者は高配当株・連続増配株への投資の優位性を論じておられますが、今般のコロナショックで、アメリカの数十年連続増配株の中にも増配記録がストップしたものがあるということは意識しておいた方が良いように思われます。アメリカの連続増配株であっても、永遠に増配し続けるとは断言できないということですね。
ちなみに、著書は本書でもブログでも、ご自身のポートフォリの現在の含み損の金額を明らかにしていません。
【最後に】
まとまりのないレビューになってしまいましたが、(あくまで個人の感想ですが)期待を上回る内容は見当たらず、特段得られたものはなかったというのが率直な感想です。
※得られたものとして「この本を発売日に買って読んだということを人に話せる」というのはあるかもしれませんね。ただ、その程度であれば「最近オープンした人気カフェに行ってきたということを人に話せる」というのと大差ない話でしょう。
個人の感想としては以上となりますが、もちろん、セミリタイア、FIREという生き方・選択肢に馴染みがない方であれば、「こんな生き方があるのか」と参考になるかもしれませんし、たぱぞう氏やナイトウォーカー氏等の著書を読んだことがない方であれば、インデックス投資や高配当株投資の入門書として参考になる部分はあるとは思います。
そういう意味ではまさに文字どおり「入門希望者向けの入門書」ですね。
著者はブログで、本書の執筆に関して細部までこだわったという趣旨のことを記載していましたが、「てにをは」や(本人にしか分からないような)表現の細部にいくらこだわっても、そもそもの内容がビギナー向けであること・入門レベルのものであることに変わりはないですね。
多くの人がこの本をメルカリで数百円で買ったり、知人友人から借りたり、図書館で借りたりして、参考になる部分があれば良いとは思います。※もちろん新品で購入することも否定はしません。
「元々超ハイスペである著者」が「2010年代という投資家にとって最も恵まれた時期」に採用した方法によって、「ふつーの年収の方々」が「コロナショックで始まった先行き不透明感満載の2020年代」においてどの程度恩恵を得られるか、私も楽しみにしています。
※著者自身は配当だけではなくブログの広告収入やこの本の印税収入などもありますね。今後はようつべなども始めるのでしょうか。そういう意味ではFIREというよりフリーランスとして転職・独立したという方が正確かもしれませんね。
※それにしても、スリーダイヤの方々は、自社のことをブログや書籍で豚舎呼ばわりされたり、社員のことを豚呼ばわりされたり、社員が給料を得て暮らすことを養豚呼ばわりされていることについて、何とも思わないのでしょうか。
【概要】
著者のブログを(全部ではありませんが)概ね読んでいたので、どんな内容か気になりキンドル版を予約購入しました。
数時間で読み終え終えることができるボリュームでした。
結論を端的に言えば、「非常に残念」の一言です。
定価で新品やキンドル版を購入する必要性はほとんど存在しないと個人的には感じました。
※ちなみに著者自身は、基本的に本は図書館で借りて読んでいるとブログで公言しており、本書についても図書館で借りることを自ら推奨しています。
私としても、この本は図書館で無料で借りるなり購入者から借りるなり中古で格安で購入するなりすれば十分な内容と感じました。
既にたぱぞう氏などの書籍を読んだことがある人であれば、なおさら定価で購入するメリットはないでしょう。
内容としては、これまでにブログで記載してきたことをまとめたような内容、これまでのブログの集大成のような内容で、ブログ読者であれば新たに得られるものはほとんど存在しないと感じました。
※新たな内容も全くないわけではありませんが、その部分のためにわざわざお金を使う必要があるようには感じませんでした。
気になったのは、著者本人の考え方や思い、著者本人の身上経歴等が(水瀬本やたぱぞう本と比べて)厚く書かれており、いわゆる「自分語り」に比重を置いているように感じられたことです。
著者のファンや信者であれば喜ぶのかもしれませんが、純粋にアーリーリタイア・セミリタイア・FIREに関心がある人や、高配当株・増配株に関心がある人によっては、単なる蛇足に過ぎないという印象です(そもそもFIREした人のブログや書籍なんて既にたくさんありますし)。
【著者がそもそも超ハイスペであること】
著者に関して言うと、30歳という若年でFIREしたこと、中高一貫の学校から慶応義塾大学経済学部へ進み、在学中に北京大学に留学し(北京大学は世界大学ランキングで24位です。東大は36位です。)、三菱系の国内大手企業に入社したといういわゆる「国内エリート組」に属していたというのが、セミリタイア界隈、FIRE界隈の方々の中での特徴ということになります(本書の冒頭でも著者のこうした経歴が記載されています)。
逆に言えば、筆者はそもそも同世代サラリーマンの上位5%には入るであろう「超ハイスペ人間」だったのであり、だからこそ30歳という若年でセミリタイアできたということですね。
そういう意味では、大多数の平均的なサラリーマンにとっては(とりわけ入金力という観点からは)再現性に乏しいでしょう。
【平均年収の人が本書の方法でFIREできるか】
著者は本書の中盤で平均年収の人でも40歳で金融資産4000万円を達成できると述べています。
しかし、実はこれは毎月の支出を15万円とすることを条件とした計算です。
旅行に行こうがデートしようが、結婚しようが子どもが産まれようが、子どもが就学しようが習い事を始めようが、23歳から40歳になるまで絶えることなく(家賃、光熱水費、通信費、交通費、服飾費、教育費、医療費等々を全て含めた)支出を毎月15万円以内に収め続けて、ようやく40歳で4000万円に到達するよと述べているわけですね。
逆に言えば、自分の提唱する方法では、平均年収の人たちはそれくらいしなければ40歳で4000万円なんて不可能ですよと述べているに等しいように感じました。
※本書の後半では5つのケースの検討がなされていますが、1つを除くといずれもFIREと無関係のケースです。
なお、年収の平均値と中央値は異なる概念であり、超高収入の人がいるため平均値は中央値よりも引き上げられています。そもそも平均年収の人というのは真ん中くらいの人よりも高収入ということですね。中央値付近の人(真ん中くらいの人)はもっともっと頑張らないと40歳で4000万円なんて夢のまた夢ということです。
実はこのように、インデックスや配当株の積立複利運用のような方法(筆者が提唱しているような方法)というのは、老後に備える方法としては有用であっても、FIREを目指すには向いていないと言われています。
たぱぞう氏もブログで繰り返し、FIREするためにはある程度リスクをとって集中投資をするなどして大きく資産を伸ばす必要があると述べていますね。
【内容面】
内容面としては、要するに、水瀬氏やたぱぞう氏、ナイトウォーカー氏、バフェット太郎氏などの方々が著書で繰り返し論じてきたことの二番煎じであり、特段の目新しさは見受けられません。
※セミリタイア系の書籍は、支出を抑える、S&P500等のインデックスや高配当株を買い続けるといったメッセージが中心となるので、内容が似たり寄ったりになるのは仕方ないといえば仕方ありませんが…。
なお、著者は高配当株・連続増配株への投資の優位性を論じておられますが、今般のコロナショックで、アメリカの数十年連続増配株の中にも増配記録がストップしたものがあるということは意識しておいた方が良いように思われます。アメリカの連続増配株であっても、永遠に増配し続けるとは断言できないということですね。
ちなみに、著書は本書でもブログでも、ご自身のポートフォリの現在の含み損の金額を明らかにしていません。
【最後に】
まとまりのないレビューになってしまいましたが、(あくまで個人の感想ですが)期待を上回る内容は見当たらず、特段得られたものはなかったというのが率直な感想です。
※得られたものとして「この本を発売日に買って読んだということを人に話せる」というのはあるかもしれませんね。ただ、その程度であれば「最近オープンした人気カフェに行ってきたということを人に話せる」というのと大差ない話でしょう。
個人の感想としては以上となりますが、もちろん、セミリタイア、FIREという生き方・選択肢に馴染みがない方であれば、「こんな生き方があるのか」と参考になるかもしれませんし、たぱぞう氏やナイトウォーカー氏等の著書を読んだことがない方であれば、インデックス投資や高配当株投資の入門書として参考になる部分はあるとは思います。
そういう意味ではまさに文字どおり「入門希望者向けの入門書」ですね。
著者はブログで、本書の執筆に関して細部までこだわったという趣旨のことを記載していましたが、「てにをは」や(本人にしか分からないような)表現の細部にいくらこだわっても、そもそもの内容がビギナー向けであること・入門レベルのものであることに変わりはないですね。
多くの人がこの本をメルカリで数百円で買ったり、知人友人から借りたり、図書館で借りたりして、参考になる部分があれば良いとは思います。※もちろん新品で購入することも否定はしません。
「元々超ハイスペである著者」が「2010年代という投資家にとって最も恵まれた時期」に採用した方法によって、「ふつーの年収の方々」が「コロナショックで始まった先行き不透明感満載の2020年代」においてどの程度恩恵を得られるか、私も楽しみにしています。
※著者自身は配当だけではなくブログの広告収入やこの本の印税収入などもありますね。今後はようつべなども始めるのでしょうか。そういう意味ではFIREというよりフリーランスとして転職・独立したという方が正確かもしれませんね。
※それにしても、スリーダイヤの方々は、自社のことをブログや書籍で豚舎呼ばわりされたり、社員のことを豚呼ばわりされたり、社員が給料を得て暮らすことを養豚呼ばわりされていることについて、何とも思わないのでしょうか。
2020年7月6日に日本でレビュー済み
ブログは以前から拝見しておりました。
頭の切れる好青年という印象。
しかしながら早期リタイア後の著者は何かに追われるが如く前のめり過ぎて痛々しい。
インフルエンサー、アフェリエイターに出版を宣伝してもらいヨイショツイートの嵐。
疑問を呈する人には訴訟をチラつかせて恫喝。
FIRE後の生活は全く羨ましく見えませんでした。ブログ時代の好感度も急落しました。
また、他の方も述べておられますが、不景気に弱いREITやコンプラ無視のWBKをはじめ化石燃料やタバコの斜陽産業、PFFなど高リスクなものに資産を振り分け過ぎています。
無敗転落や減配による配当収入減、株価の毀損は目に余る状況なのではないでしょうか。
銘柄分析は株価上昇期の高配当に着目した素人レベルです。
これに憧れた初心者への影響は考えてないのか疑問です。
また本人は配当で本当に生活出来ているのでしょうか?
生活上止むに止まれぬ出版だったのでは?
長い人生で今後はどうやって食べて行くのでしょう。
そもそも事業を成功させたのでもなく短期売買では失敗してるのだから、唯一のスキルは高給取り会社員ということです。辞めてしまっては次の7000万は稼げません。相続でもなければですが。
頭も良く中国語や英語も出来るようなので仕事の経験を生かして海外で復職をお勧めします。
またこんな内容に憧れて真似をする金融リテラシーは日本の損失です。金融教育を小学校から導入したほうがいいと思います。
(追加)
配当投資家は総額を気にしないと書かれたレビューがあります。
確かにそうですが米国の真っ当な配当投資家が購入している銘柄群は優良銘柄・成長銘柄・その他資産に分散されており「配当率」にのみ着目した投資ではありません。だからこそ「気にしない」と言えるのです。
まして良い時でも月20万程度の配当で入金力も失った現在、気にしない方が無理でしょう。
本を売るのは結構ですが日本の平均的所得の初心者を誤魔化すのは止めてほいしものです。
頭の切れる好青年という印象。
しかしながら早期リタイア後の著者は何かに追われるが如く前のめり過ぎて痛々しい。
インフルエンサー、アフェリエイターに出版を宣伝してもらいヨイショツイートの嵐。
疑問を呈する人には訴訟をチラつかせて恫喝。
FIRE後の生活は全く羨ましく見えませんでした。ブログ時代の好感度も急落しました。
また、他の方も述べておられますが、不景気に弱いREITやコンプラ無視のWBKをはじめ化石燃料やタバコの斜陽産業、PFFなど高リスクなものに資産を振り分け過ぎています。
無敗転落や減配による配当収入減、株価の毀損は目に余る状況なのではないでしょうか。
銘柄分析は株価上昇期の高配当に着目した素人レベルです。
これに憧れた初心者への影響は考えてないのか疑問です。
また本人は配当で本当に生活出来ているのでしょうか?
生活上止むに止まれぬ出版だったのでは?
長い人生で今後はどうやって食べて行くのでしょう。
そもそも事業を成功させたのでもなく短期売買では失敗してるのだから、唯一のスキルは高給取り会社員ということです。辞めてしまっては次の7000万は稼げません。相続でもなければですが。
頭も良く中国語や英語も出来るようなので仕事の経験を生かして海外で復職をお勧めします。
またこんな内容に憧れて真似をする金融リテラシーは日本の損失です。金融教育を小学校から導入したほうがいいと思います。
(追加)
配当投資家は総額を気にしないと書かれたレビューがあります。
確かにそうですが米国の真っ当な配当投資家が購入している銘柄群は優良銘柄・成長銘柄・その他資産に分散されており「配当率」にのみ着目した投資ではありません。だからこそ「気にしない」と言えるのです。
まして良い時でも月20万程度の配当で入金力も失った現在、気にしない方が無理でしょう。
本を売るのは結構ですが日本の平均的所得の初心者を誤魔化すのは止めてほいしものです。
2020年7月6日に日本でレビュー済み
著者は支出を徹底的に抑え、収入をひたすら高配当株に投入することを推奨しています。
その様子をみて自ら心地よいと語っています。
支出を抑え続けるのは難しいことで、そのための生き方や考え方は参考になる部分は多いです。
しかし、節約術であればこの本ではなくとも、既にたくさんの本やテレビなどで語り尽くされています。
著者は資産7000万ほどでセミリタイアされていますが、そのうち株で得られた資産はどのくらいなのでしょう。
おそらく現時点でコロナショックでの高配当株の相次ぐ下落とその回復の遅さからみて、マイナスもありうるほどです。
しかしそれについての記述はありません。 マイナスではないにしろ多めに見積もって1000万は確実にないです。
つまり6000万以上は投資外で得た資金であり、都会生まれで高給企業に勤めていた筆者だからできることでしょう。
つまり結局は投資外で金を稼げというメッセージなのかもしれませんが、それはそれで元も子もない話ですし、「節約術」「高配当株投資」はどちらも既によくあるテーマなので、全体として新規に得られる知識は少ないでしょう。
投資未経験でかつ高給企業勤めでない多くの方はこの本を参考にすべきではなく、山崎元さんなどの本の方が有益だろうと思います。
その様子をみて自ら心地よいと語っています。
支出を抑え続けるのは難しいことで、そのための生き方や考え方は参考になる部分は多いです。
しかし、節約術であればこの本ではなくとも、既にたくさんの本やテレビなどで語り尽くされています。
著者は資産7000万ほどでセミリタイアされていますが、そのうち株で得られた資産はどのくらいなのでしょう。
おそらく現時点でコロナショックでの高配当株の相次ぐ下落とその回復の遅さからみて、マイナスもありうるほどです。
しかしそれについての記述はありません。 マイナスではないにしろ多めに見積もって1000万は確実にないです。
つまり6000万以上は投資外で得た資金であり、都会生まれで高給企業に勤めていた筆者だからできることでしょう。
つまり結局は投資外で金を稼げというメッセージなのかもしれませんが、それはそれで元も子もない話ですし、「節約術」「高配当株投資」はどちらも既によくあるテーマなので、全体として新規に得られる知識は少ないでしょう。
投資未経験でかつ高給企業勤めでない多くの方はこの本を参考にすべきではなく、山崎元さんなどの本の方が有益だろうと思います。
2020年7月6日に日本でレビュー済み
この本で学んだことは
セミリタイアするなら
・三菱等高収入な職業に就く
・ブログ等副業収入で稼ぐ
・尋常ならざる節約をする
というのが必要だと学びました。
普通の人にとってはなかなか参考にし辛いところがありますが、まあ…セミリタイアにあまり夢をみちゃいけないということだけは勉強になりました。
セミリタイアするなら
・三菱等高収入な職業に就く
・ブログ等副業収入で稼ぐ
・尋常ならざる節約をする
というのが必要だと学びました。
普通の人にとってはなかなか参考にし辛いところがありますが、まあ…セミリタイアにあまり夢をみちゃいけないということだけは勉強になりました。