飛浩隆の作品に通じる問題意識が、社会学者としてのフィールドワークに裏付けられた説得力と、意外なまでのセンスオブワンダーと融合して語られる近未来SF。
予測しうるテックの発展、公的な人口動態予測を用いた数字、民族誌的な風俗取材の聞き込みがいずれもシュアなものなのに、それを「えいや」で組み合わせたときに何が生み出されるか、という思考実験としてとてもおもしろい。そのある種乱暴な手付きを披露できるところは、筆者の勇気だ。
一方年代が遠くなると予測の論旨が粗くなってくるのは、逆にリアリティというか誠実さがある。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
