木村政彦を知ったきっかけはかつて週間少年マガジンで連載していた「コータローまかりとおる!」のにて、グレーシー柔術の使い手がキムラロックと言っていたのを読んだことです。
それ以来木村政彦という、グレーシー柔術のトップを破った柔道家がいたことはなんとなく認知していましたが、それ以上詳しいことは不明でした。
数年前にハードカバーで本書が店頭に並んだのを見たとき、こんな分厚い本、買う人いるのかな?なんてぼんやり思いましたが、あっという間に18刷までいき、ベストセラーになっています。
そして文庫版化で廉価に入手できたので購入しました。
実は木村の生涯のクライマックスともいえるエリオ・グレイシーとの勝負や、力道山とのプロレスは下巻に入っているので、上巻は木村が師匠・牛島辰熊のしたで最強柔道家になる軌跡がメインです。なので最初は上巻にはそれほど期待せず読み始めたのですが、はっきりいって下巻よりもある意味上巻の方が面白いです。全盛期の木村のエピソードがすごすぎるからです。
それだけではありません。他のレビューにもありますが、戦前の、柔術から講道館柔道が生まれる歴史、高専柔道(これもコータローまかりとおる!で知りました)や講道館と双璧をなす組織であった武徳会の盛衰など、この上巻だけで戦前の日本格闘技史が成立しているといっても過言ではない内容です。
久々に寝る間を惜しんで読んでしまいました。
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上) (新潮文庫) (日本語) 文庫 – 2014/2/28
増田 俊也
(著)
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本の長さ563ページ
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言語日本語
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出版社新潮社
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発売日2014/2/28
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寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
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ISBN-104101278113
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ISBN-13978-4101278117
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
15年不敗、13年連続日本一。「木村の前に木村なく、木村のあとに木村なし」と謳われた伝説の柔道王・木村政彦。「鬼の牛島」と呼ばれた、戦前のスーパースター牛島辰熊に才能を見出され、半死半生の猛練習の結果、師弟悲願の天覧試合を制する。しかし戦争を境に運命の歯車は軋み始めた。GHQは柔道を禁じ、牛島はプロ柔道を試みるが…。最強の“鬼”が背負った哀しき人生に迫る。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
増田/俊也
1965(昭和40)年生れ。小説家。北海道大学中退後、新聞記者に。2006(平成18)年『シャトゥーンヒグマの森』で第5回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞して小説家に。’12年『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1965(昭和40)年生れ。小説家。北海道大学中退後、新聞記者に。2006(平成18)年『シャトゥーンヒグマの森』で第5回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞して小説家に。’12年『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2014/2/28)
- 発売日 : 2014/2/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 563ページ
- ISBN-10 : 4101278113
- ISBN-13 : 978-4101278117
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 60,742位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,408位新潮文庫
- - 1,882位スポーツ (本)
- - 6,107位ノンフィクション (本)
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
極めて稀有な歴史書であり哲学書であり歴史哲学の書。「日本」を掘り下げこれまで長い年月にわたって覆い隠されていたものが露にされることへの驚き。木村政彦自身、著者、木村政彦と真に出会い関わった人間たちの苦悩と痛みは想像を超える。だが証言としての歴史は絶え間ないトラウマとその克服、再創造のプロセスだ。唯一無二の経験の当事者たちと証言者たちをリスペクトするなら苦悩を避けてはならない。なお、この増田俊也原作 原田久仁信 作画の『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか KIMURA キムラ』には木村の熊本時代の偉大な禅僧澤木興道(木村政彦の墓のある大慈禅寺住職を長く務め五高学生との深い交流を続けた)がしっかり描かれている。澤木興道の聞き書きにも熊本時代は彼の貴重な証言として記述されている。木村政彦は、道元の只管打坐の命脈を継承し得た稀有なる者でもあったのだ。
ベスト50レビュアー
「七帝柔道記」の漫画版を連載で読んでから「北海タイムズ物語」、「VTJ前夜の中井祐樹 七帝柔道記外伝」と来て本書に至った。筆者は子供の頃から運動嫌いでインドアだったのでマッチョイズムっぽいのが苦手だった。また越境通学だったせいか土着的な師弟・先輩後輩関係も苦手だった。そういうわけでこれまで格闘技関係の本などをあまり読んだことがなく、どちらかというと「嫌い」なのでここに至るまでにだいぶ時間がかかったが、こういう「嫌い」には多分に同属嫌悪が含まれていて、「嫌い」の反対は「無関心」であって、「好き」はむしろ裏側であるというありふれた話を再認識してしまった。まさにマッチョイズムと師弟・先輩後輩関係の極致。
この文庫版上巻では問題の「力道山戦」の概要が描かれたのち、木村政彦が牛島辰熊に見出されて戦後ブラジルに行くまでが描かれる。最強の柔道家であった木村が1950年ごろのブラジル社会でどのように迎えられたかを述べるためにブラジルの日系人にあった「勝ち組・負け組」の対立が簡潔に説明される。全編を通して登場人物の事績にまつわる当人の心情と社会的背景との関係が明確に述べられているので、内容がとてもわかりやすい。とてもわかりやすいので、「柔道」をめぐる世界の様々な人々の相貌が表情豊かに見えてくる。主人公の木村政彦氏やそれに次ぐ牛島辰熊氏がとんでもないことは当然として、ちらっと名前が出てくるだけの人物達も十分ぶっ飛んでいそうだ。こんな世界があったのかと。「七帝柔道記」を読んだ時もそう思ったが、本書によって「世界」が圧倒的に拡張されたように感じた。「見慣れた範囲」の矮小さを自覚せずにおれない。本書のフィーリングに今一つ付いて行けなくとも筆者にとって本書を読むことはとても有意義だ。読書が「体験」の拡張であるという点で、著者による「柔道サガ」は格闘技が苦手という人にこそ適しているのかもしれない。下巻はどうなっていくのか。
この文庫版上巻では問題の「力道山戦」の概要が描かれたのち、木村政彦が牛島辰熊に見出されて戦後ブラジルに行くまでが描かれる。最強の柔道家であった木村が1950年ごろのブラジル社会でどのように迎えられたかを述べるためにブラジルの日系人にあった「勝ち組・負け組」の対立が簡潔に説明される。全編を通して登場人物の事績にまつわる当人の心情と社会的背景との関係が明確に述べられているので、内容がとてもわかりやすい。とてもわかりやすいので、「柔道」をめぐる世界の様々な人々の相貌が表情豊かに見えてくる。主人公の木村政彦氏やそれに次ぐ牛島辰熊氏がとんでもないことは当然として、ちらっと名前が出てくるだけの人物達も十分ぶっ飛んでいそうだ。こんな世界があったのかと。「七帝柔道記」を読んだ時もそう思ったが、本書によって「世界」が圧倒的に拡張されたように感じた。「見慣れた範囲」の矮小さを自覚せずにおれない。本書のフィーリングに今一つ付いて行けなくとも筆者にとって本書を読むことはとても有意義だ。読書が「体験」の拡張であるという点で、著者による「柔道サガ」は格闘技が苦手という人にこそ適しているのかもしれない。下巻はどうなっていくのか。