1.読むきっかけ
松林薫・著『新聞の正しい読み方 情報のプロはこう読んでいる』(NTT出版)で参考文献に挙がっていたので。
2.内容
ご存知の通り、朝日新聞は、政府の事故調査委員会における吉田昌郎(故人)が証言した調書につき報道したが、誤報として撤回し謝罪した。しかし、実は、朝日新聞の報道は誤報ではなく、真実である。一方、朝日新聞の第三者機関である「報道と人権委員会」(PRC)(p57参照)の見解こそが間違っている。それに加えて、政府の対応の問題、東京電力の情報の隠蔽の問題などが書かれている。
3.評価
レビュアーもインターネットにアップされた吉田調書を読んだが、朝日新聞の報道が誤報だとは言えないと思った。しかし、レビュアーの感想にすぎず、本書のような精緻な検討は読者の参考になると思われる(残った映像に照らし合わせても朝日新聞の報道は間違っていなかったと主張している)。また、添田孝史氏の『原発と大津波 警告を葬った人々』(岩波新書。なお、烏賀陽弘道『フェイクニュースの見分け方』(新潮新書)でも取り上げられている)によっているとは言え、東京電力の情報隠蔽、予見可能性に言及されており、参考になった。1点、SPEEDIについては、現在では活用しないことになっているとレビュアーは聞いており、本書の評価は厳しめかな、と思ったが、星を減らすほどではない。従って星5つ。
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朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない: 隠された原発情報との闘い 単行本 – 2015/5/8
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緊急出版!
もっとも危機的だった2011年3月15日の朝、
福島第1原発では何が起きたのか?
最大の危機を浮き彫りにした朝日新聞「吉田調書報道」は、
作業員の名誉を傷つけたとしてバッシングの対象となり、
朝日新聞は記事を取り消し、「報道と人権委員会」はこれを追認した。
この判断は正しかったのか?客観的な資料に基づいて検討する!
これまでも原発情報がいかに隠蔽されてきたか、歴史的に振り返る。
津波対策の不備に関する重大な新事実も報告する。
*抹殺された「吉田調書報道」が続々受賞!
・第19回新聞労連ジャーナリズム大賞特別賞!
・2014年メディアアンビシャス、アンビシャス賞!
・第4回自由報道協会賞ノミネート!
もっとも危機的だった2011年3月15日の朝、
福島第1原発では何が起きたのか?
最大の危機を浮き彫りにした朝日新聞「吉田調書報道」は、
作業員の名誉を傷つけたとしてバッシングの対象となり、
朝日新聞は記事を取り消し、「報道と人権委員会」はこれを追認した。
この判断は正しかったのか?客観的な資料に基づいて検討する!
これまでも原発情報がいかに隠蔽されてきたか、歴史的に振り返る。
津波対策の不備に関する重大な新事実も報告する。
*抹殺された「吉田調書報道」が続々受賞!
・第19回新聞労連ジャーナリズム大賞特別賞!
・2014年メディアアンビシャス、アンビシャス賞!
・第4回自由報道協会賞ノミネート!
- 本の長さ205ページ
- 言語日本語
- 出版社彩流社
- 発売日2015/5/8
- ISBN-104779120969
- ISBN-13978-4779120961
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
2011年3月15日の朝、福島第1原発では何が起きたのか?津波対策の放棄に関する新たな事実も報告!
著者について
海渡 雄一
かいど ゆういち
1981年弁護士登録、34年間にわたって、もんじゅ訴訟、
六ヶ所村核燃料サイクル施設訴訟、浜岡原発訴訟、
大間原発訴訟など原子力に関する訴訟多数を担当。
2010年4月から2012年5月まで日弁連事務総長として
震災と原発事故対策に取り組む。
脱原発弁護団全国連絡会共同代表として、
3・11後の東京電力の責任追及、原発運転差止のための
訴訟多数を担当。
著書に『原発訴訟』(岩波新書)、『脱原発を実現する』(明石書店)他。
映画『日本と原発』(河合弘之監督)の構成・監修。
河合 弘之
かわい ひろゆき
弁護士。浜岡原発差止訴訟弁護団長、
大間原発差止訴訟弁護団共同代表、中国残留孤児の国籍取得を
支援する会会長など。
著書に『脱原発』(青志社)、『東電株主代表訴訟』(現代人文社)、
『動かすな、原発』(岩波ブックレト)他。
原発事故情報公開原告団・弁護団
福島第一原発事故の真相究明および再発防止を求めて、
吉田調書を含め、政府事故調の772名分の聴取記録の情報公開請求し、
現在、不開示決定に対して訴訟中。
かいど ゆういち
1981年弁護士登録、34年間にわたって、もんじゅ訴訟、
六ヶ所村核燃料サイクル施設訴訟、浜岡原発訴訟、
大間原発訴訟など原子力に関する訴訟多数を担当。
2010年4月から2012年5月まで日弁連事務総長として
震災と原発事故対策に取り組む。
脱原発弁護団全国連絡会共同代表として、
3・11後の東京電力の責任追及、原発運転差止のための
訴訟多数を担当。
著書に『原発訴訟』(岩波新書)、『脱原発を実現する』(明石書店)他。
映画『日本と原発』(河合弘之監督)の構成・監修。
河合 弘之
かわい ひろゆき
弁護士。浜岡原発差止訴訟弁護団長、
大間原発差止訴訟弁護団共同代表、中国残留孤児の国籍取得を
支援する会会長など。
著書に『脱原発』(青志社)、『東電株主代表訴訟』(現代人文社)、
『動かすな、原発』(岩波ブックレト)他。
原発事故情報公開原告団・弁護団
福島第一原発事故の真相究明および再発防止を求めて、
吉田調書を含め、政府事故調の772名分の聴取記録の情報公開請求し、
現在、不開示決定に対して訴訟中。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
海渡/雄一
1981年弁護士登録、34年間にわたって、もんじゅ訴訟、六ヶ所村核燃料サイクル施設訴訟、浜岡原発訴訟、大間原発訴訟など原子力に関する訴訟多数を担当。2010年4月から2012年5月まで日弁連事務総長として震災と原発事故対策に取り組む。脱原発弁護団全国連絡会共同代表として、3・11後の東京電力の責任追及、原発運転差止のための訴訟多数を担当
河合/弘之
弁護士。浜岡原発差止訴訟弁護団長、大間原発差止訴訟弁護団共同代表、中国残留孤児の国籍取得を支援する会会長など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1981年弁護士登録、34年間にわたって、もんじゅ訴訟、六ヶ所村核燃料サイクル施設訴訟、浜岡原発訴訟、大間原発訴訟など原子力に関する訴訟多数を担当。2010年4月から2012年5月まで日弁連事務総長として震災と原発事故対策に取り組む。脱原発弁護団全国連絡会共同代表として、3・11後の東京電力の責任追及、原発運転差止のための訴訟多数を担当
河合/弘之
弁護士。浜岡原発差止訴訟弁護団長、大間原発差止訴訟弁護団共同代表、中国残留孤児の国籍取得を支援する会会長など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 彩流社 (2015/5/8)
- 発売日 : 2015/5/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 205ページ
- ISBN-10 : 4779120969
- ISBN-13 : 978-4779120961
- Amazon 売れ筋ランキング: - 48,102位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 7位核・原発問題
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.5
星5つ中の4.5
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年4月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前半が、朝日新聞誤報報道への反論。後半が、福島原発事故告訴の内容である。
前半の緻密な論証は、「よくぞ、ここまで調べた!」という一級の資料だと思います。
後半も得るところが多かったです。
東電が津波の予測を得ながら、お抱えの土木学会に何年もの長いスパンの検証を指示して対策を先延ばしにしていたのと対照的に、日本原電の東海第二原発、東北電力の女川原発は、津波対策を講じていて、かろうじて災害を免れたこと。
2007年の浜岡原発訴訟で、もし静岡地裁が停止を認めていたら、福島の事故は防げたのではないか、というところなど。
「私は2007年10月26日静岡地裁の判決が言い渡された時、地裁前の道路上で地震学者の石橋克彦氏が報道機関宛に述べられたコメントを忘れることができない。そのコメントは『この判決が間違っていることは自然が証明するだろうが、そのとき私たちは大変な目に遭っている恐れが強い』というものであった。今回の福島第一原発の事態はこの石橋氏の予言の現実化であった。」
菅さんの浜岡停止の決断を批判する人は(大前研一は唐突で強硬だ、と言っていたが)、後出しじゃんけんではありますが、こういう経緯を知らなかったのではないか、と改めて思いました。
前半の緻密な論証は、「よくぞ、ここまで調べた!」という一級の資料だと思います。
後半も得るところが多かったです。
東電が津波の予測を得ながら、お抱えの土木学会に何年もの長いスパンの検証を指示して対策を先延ばしにしていたのと対照的に、日本原電の東海第二原発、東北電力の女川原発は、津波対策を講じていて、かろうじて災害を免れたこと。
2007年の浜岡原発訴訟で、もし静岡地裁が停止を認めていたら、福島の事故は防げたのではないか、というところなど。
「私は2007年10月26日静岡地裁の判決が言い渡された時、地裁前の道路上で地震学者の石橋克彦氏が報道機関宛に述べられたコメントを忘れることができない。そのコメントは『この判決が間違っていることは自然が証明するだろうが、そのとき私たちは大変な目に遭っている恐れが強い』というものであった。今回の福島第一原発の事態はこの石橋氏の予言の現実化であった。」
菅さんの浜岡停止の決断を批判する人は(大前研一は唐突で強硬だ、と言っていたが)、後出しじゃんけんではありますが、こういう経緯を知らなかったのではないか、と改めて思いました。
2015年10月31日に日本でレビュー済み
朝日新聞には義理もなければ、恩も受けていない。といって、恨みなどもない。評者の住んでいる辺りでは、地方紙をとる人がほとんど、朝日新聞だけでなく、読売新聞、毎日新聞すら少数派である。それもあって「吉田調書」の問題には、ほとんど興味がなかった。
しかし、放射能汚染に関わる地域には住んでいないものの、福島原発の事故については関心がある。それは、1980年代辺りから一部では言われていた原発の危険性を認識しながら、何もしてこなかったからだ。評者には専門的な知識こそないものの、批判的な意見の人たちの声に、耳を傾けさせるものがあったのだ。まわりにいた知人たちも、多少の興味がある人なら、批判的とまでも言わないものの、懐疑的であった。
本書は、単に朝日新聞を擁護するためのものではない。一連の「吉田調書報道」を検証しながら、福島の原発事故で、いかに多くのことが隠ぺいされ、国民が危険にさらされていても、政府や東電の関係者が真実に頬かむりしていたかを明らかにしている。
冷静に考えてみれば、原発の危険性は今も変わっていないし、日本は再稼働に舵をきっているのだから、恐ろしい。
なお、どの新聞・メディアに関わらず、少なくない現場の記者たちが自身の信念に基づいて記事を書いてると思っている。ただし、日本のメディアの情報は全体としてフィルターがかかっていると、評者は考えている(極めて単純に書けば、アメリカのフィルターを通した情報が多すぎる。これは、どこにも共通する要素の一つだ)。
それでも、終戦までの日本に比べると現在の日本の情報量は多いし、多様性もある。原発を稼働した方が電気代は安くなるかもしれないし、節電など気にしなくてもいいのかも。でも、原発の危険性を叫ぶ人がいる以上、知らなかった、政府や電力会社に騙されたというのは通らない。自分に都合のいい言説だけに耳を傾けるのは、いい加減にした方がいい。
以下、蛇足。
ほかの方のレビューに「いいえ」がかなり投じられている。参考にならなかったというより、本書が気に食わなかった、もっと言えば、朝日新聞が嫌いなのであろう。それはそれで構わないが、やはり「事実」を持って、本書を批判するレビューを投じることこそ重要なのではないか。ちなみに、本書は「吉田調書報道」を書いた朝日新聞の記者たちを誉めているが、記事を取り消した朝日新聞を厳しく批判しているので、そこにはアンチ朝日も共感できるのではないのかな(もちろん、朝日叩きが本書の主旨でないことは分かっている)。
しかし、放射能汚染に関わる地域には住んでいないものの、福島原発の事故については関心がある。それは、1980年代辺りから一部では言われていた原発の危険性を認識しながら、何もしてこなかったからだ。評者には専門的な知識こそないものの、批判的な意見の人たちの声に、耳を傾けさせるものがあったのだ。まわりにいた知人たちも、多少の興味がある人なら、批判的とまでも言わないものの、懐疑的であった。
本書は、単に朝日新聞を擁護するためのものではない。一連の「吉田調書報道」を検証しながら、福島の原発事故で、いかに多くのことが隠ぺいされ、国民が危険にさらされていても、政府や東電の関係者が真実に頬かむりしていたかを明らかにしている。
冷静に考えてみれば、原発の危険性は今も変わっていないし、日本は再稼働に舵をきっているのだから、恐ろしい。
なお、どの新聞・メディアに関わらず、少なくない現場の記者たちが自身の信念に基づいて記事を書いてると思っている。ただし、日本のメディアの情報は全体としてフィルターがかかっていると、評者は考えている(極めて単純に書けば、アメリカのフィルターを通した情報が多すぎる。これは、どこにも共通する要素の一つだ)。
それでも、終戦までの日本に比べると現在の日本の情報量は多いし、多様性もある。原発を稼働した方が電気代は安くなるかもしれないし、節電など気にしなくてもいいのかも。でも、原発の危険性を叫ぶ人がいる以上、知らなかった、政府や電力会社に騙されたというのは通らない。自分に都合のいい言説だけに耳を傾けるのは、いい加減にした方がいい。
以下、蛇足。
ほかの方のレビューに「いいえ」がかなり投じられている。参考にならなかったというより、本書が気に食わなかった、もっと言えば、朝日新聞が嫌いなのであろう。それはそれで構わないが、やはり「事実」を持って、本書を批判するレビューを投じることこそ重要なのではないか。ちなみに、本書は「吉田調書報道」を書いた朝日新聞の記者たちを誉めているが、記事を取り消した朝日新聞を厳しく批判しているので、そこにはアンチ朝日も共感できるのではないのかな(もちろん、朝日叩きが本書の主旨でないことは分かっている)。
2016年1月6日に日本でレビュー済み
門田隆将氏は本書より半年ほど早く『「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実』を上梓しています。
同書では柏崎刈羽メモは大したことは無く信憑性も無いような触れられ方でどんなものかも全く分からなかったのですが、
本書では逆に柏崎刈羽メモの主要部分を掲載し、時系列的な突合せをしているのが興味深いです。
門田氏は騒動記と感想文で内容を盛っていましたが、こちらは事故時の話に焦点が合っており、
この問題に割いているページ数はそれ程多くはないにもかかわらず、資料性が高い。
結論から言えば、ホウレンソウの失敗で第二に移動したということのようですが、吉田所長と本店はそれを追認してしまい、
1日経ってから戻るように新たな指示を出しても思うようには戻ってこなかったようです。
これを証明する材料の一つが、柏崎刈羽メモの他、当の本店が行ったプレス発表資料であるというのも痛快です。
「実際に作業をする現場作業員が思い思いに命令違反をした」というような主張では無い。
誤報として叩かれたのはそうしたイメージ先行の面も大きいでしょう。
しかし、政治決着で上記の事実は無視され、謝罪で手打ちとなってしまった。
あまり人で判断すべきではないとは思いますが、最近馬脚を現しつつある牛丼福祉の古市氏が朝日の検証委員に入っている時点で、
「とりあえず謝っておけばいい」という政治的な決着であったことをもっと疑うべきでした。
また、後半で1章を割いて津波想定問題の整理を行ってます。
本書の半年ほど前にはこの問題での決定版たる添田孝史著『 原発と大津波 警告を葬った人々 (岩波新書) 』が出版されてます。
余り間を置いてない場合、先行書の内容に多くを依存することが多く、本書の著者もその旨は断っているのですが、
実際にはこれは独自性をアピールする自信の表れです。何故ならば、『原発と大津波』がフォロー出来なかった次の点をカバーしているからです。
(1)政府事故調聴取録の2014年末までの公開分
(2)著者等が提訴してる株主訴訟にて明らかとなった、過去の株主総会、住民との対話会で交わされた津波想定関連の発言
(3)新資料で白日に晒された別省庁による福島沖の日本海溝に震源を想定した津波シミュレーションと対応策の数々
実に興味深く、資料性の高い内容です。この件は政府事故調関係者が多く参加する失敗学会でも注目されています。
これらの事実を原発訴訟の関係者が深く把握していることはとても心強いことです。
同書では柏崎刈羽メモは大したことは無く信憑性も無いような触れられ方でどんなものかも全く分からなかったのですが、
本書では逆に柏崎刈羽メモの主要部分を掲載し、時系列的な突合せをしているのが興味深いです。
門田氏は騒動記と感想文で内容を盛っていましたが、こちらは事故時の話に焦点が合っており、
この問題に割いているページ数はそれ程多くはないにもかかわらず、資料性が高い。
結論から言えば、ホウレンソウの失敗で第二に移動したということのようですが、吉田所長と本店はそれを追認してしまい、
1日経ってから戻るように新たな指示を出しても思うようには戻ってこなかったようです。
これを証明する材料の一つが、柏崎刈羽メモの他、当の本店が行ったプレス発表資料であるというのも痛快です。
「実際に作業をする現場作業員が思い思いに命令違反をした」というような主張では無い。
誤報として叩かれたのはそうしたイメージ先行の面も大きいでしょう。
しかし、政治決着で上記の事実は無視され、謝罪で手打ちとなってしまった。
あまり人で判断すべきではないとは思いますが、最近馬脚を現しつつある牛丼福祉の古市氏が朝日の検証委員に入っている時点で、
「とりあえず謝っておけばいい」という政治的な決着であったことをもっと疑うべきでした。
また、後半で1章を割いて津波想定問題の整理を行ってます。
本書の半年ほど前にはこの問題での決定版たる添田孝史著『 原発と大津波 警告を葬った人々 (岩波新書) 』が出版されてます。
余り間を置いてない場合、先行書の内容に多くを依存することが多く、本書の著者もその旨は断っているのですが、
実際にはこれは独自性をアピールする自信の表れです。何故ならば、『原発と大津波』がフォロー出来なかった次の点をカバーしているからです。
(1)政府事故調聴取録の2014年末までの公開分
(2)著者等が提訴してる株主訴訟にて明らかとなった、過去の株主総会、住民との対話会で交わされた津波想定関連の発言
(3)新資料で白日に晒された別省庁による福島沖の日本海溝に震源を想定した津波シミュレーションと対応策の数々
実に興味深く、資料性の高い内容です。この件は政府事故調関係者が多く参加する失敗学会でも注目されています。
これらの事実を原発訴訟の関係者が深く把握していることはとても心強いことです。
2015年6月5日に日本でレビュー済み
福島原発事故サイトで、3月15日早朝、吉田所長は現場に残った所員たちに、第1原発の構内の線量の低いところで一時退避するように指示した。しかし、720人中650人が第2原発へ移動した。午後事態が落ち着いてから戻るように指示したが、戻った人数は112人で8割以上が戻らなかった。こういう事実が隠ぺいされたまま今日に至った。
著者は、2014年11月以降に、重要な証拠を手にして、吉田所長の命令違反があったかどうかを明らかにして再構成している。
重要な証拠は、(1)東電テレビ会議の空白を埋める「柏崎刈羽メモ」 (2)東電の記者会見資料(15日8時30分過ぎ) (3)吉田所長から保安院へ送った3通のFAX。緊迫した中でも、東電本社は「全面撤退」を決めて段取りをし、清水社長から内閣府の政治家たちへの断りも申し入れした。吉田所長は、なんとか第1原発構内で一時待避して、全員復帰を目指していた。
そういう事実を報じた朝日新聞記者をいけにえにし、同業の報道機関、安倍首相をはじめとする政治家たち、朝日新聞社経営陣、報道と人権委員会などがこぞって虚偽に加担した。
これらの平易な真実がネジ曲げられる構造こそが、原発のもたらす腐臭である。
上記は、中心的な第3章の紹介であるが、そのほかの章には原発情報の隠ぺいの数々、津波情報について東電と保安院幹部が情報を共有していたこと、など、貴重な情報が明快に整理されている。
著者は、2014年11月以降に、重要な証拠を手にして、吉田所長の命令違反があったかどうかを明らかにして再構成している。
重要な証拠は、(1)東電テレビ会議の空白を埋める「柏崎刈羽メモ」 (2)東電の記者会見資料(15日8時30分過ぎ) (3)吉田所長から保安院へ送った3通のFAX。緊迫した中でも、東電本社は「全面撤退」を決めて段取りをし、清水社長から内閣府の政治家たちへの断りも申し入れした。吉田所長は、なんとか第1原発構内で一時待避して、全員復帰を目指していた。
そういう事実を報じた朝日新聞記者をいけにえにし、同業の報道機関、安倍首相をはじめとする政治家たち、朝日新聞社経営陣、報道と人権委員会などがこぞって虚偽に加担した。
これらの平易な真実がネジ曲げられる構造こそが、原発のもたらす腐臭である。
上記は、中心的な第3章の紹介であるが、そのほかの章には原発情報の隠ぺいの数々、津波情報について東電と保安院幹部が情報を共有していたこと、など、貴重な情報が明快に整理されている。
2015年5月13日に日本でレビュー済み
いつも疑問に思うのだが、何故東電の企業年金を廃止しろとの声が上がらないのか?現在、東電は企業年金を約6000億積み立てており、東電OBの平均年金支給額は450万にもなる。税金投入や電気料金値上げの前に真っ先にすべきことだろう。
福島事故に関しては現役社員ばかりがバッシングを受けているが、そもそもの根本的な原因は不適な土地に原発を乱立させ、根拠のない安全神話を吹き込んだことであり、それを主導してきたのは他ならぬ東電OBの連中である。その意味では、現役社員よりはるかに責任が重い。
全ての責任を現役社員に押し付けて自分たちは悠々自適な隠居生活を送る。まさに「若肉老食」の世界である。
福島事故に関しては現役社員ばかりがバッシングを受けているが、そもそもの根本的な原因は不適な土地に原発を乱立させ、根拠のない安全神話を吹き込んだことであり、それを主導してきたのは他ならぬ東電OBの連中である。その意味では、現役社員よりはるかに責任が重い。
全ての責任を現役社員に押し付けて自分たちは悠々自適な隠居生活を送る。まさに「若肉老食」の世界である。