20世紀のパリの有名文化人と、
彼らの人生に絡んだ「ミューズ」との物語。
パスカルの「気晴らし」と彼らをからめた描写や
数々の比喩に著者の教養とフランス文学の造詣の深さを感じる。
当時の時代背景やサロンの様子等も読み物として面白い。
ただ、天才たちを「虜」にしたという感じではなく、
彼女たちは「一途に尽くされた女」では決してない。
ルイーズはサン=テグジュペリの「星の王子様」の
バラのモデルとおもいきやそれは後に出会った妻の
コンスエロという説のほうが多いし、
ルイーズとマルローとは四か月で関係が終わっているし、
(晩年の関係の復活は多くの恋人の死を経験した後)
コクトーも彼女に熱烈な手紙を送った後、
彼女を文壇に送った後は愛が友情に変わっている。
マリに熱烈な手紙は送っていたルイスも
お腹の子供に対しては動揺をしていただけで、
ガラに卑猥な手紙を送っていたエリュアールも
実際は詩人ルネとガールハントをしていて
後の妻に出会ったとか。
彼女たちも色々な情事を経験しているからお互い様だけど
男の口先よりも男がやっていることを見たほうがいいのでは。
が、詩人で才女であるがゆえにそれをあまり問題視していない。
男に失望することはあってもすぐに次の相手に出会う。
そのタフさが「最強の女」であるが所以だろうか?
天才にインスピレーションを与えるには
後先考えない熱烈な感情と情事が必要という感じで、
そういう意味では彼女たちはミューズに違いないけど
一途で穏やかな愛とかそういう話ではないらしい。
ルイーズの作品、「偽りの婚約」とか
「私の死骸は手袋のよう」といった、
美しくて寂しげな詩はこういう私生活からなのかと思った。
誠実な愛を得るには当人が誠実である必要がある。
華やかさと魅力は、愛や温かさとは別物。
やはり人に与えたものだけが返って来るんだなという感じ。
退廃的なアカデミー映画を観ているような気分になった。
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