1992年にちくまライブラリーとして出たものの文庫化。
近代日本の文学作品を、意匠、造本、肖像写真、活字など「モノ」としての側面から捉えなおそうとした研究である。女流作家の写真を入れることは本の売り出し方に結びついているし、活字工の生活からは本にまつわる労働者たちの置かれた社会的環境が読み取れる。表紙の意匠や活字の組み方は、誰がどんなふうに読むかという問題に密接に関係している。実に刺激的な視点であり、おもしろい。
ただ、本書では焦点がぼやけているというか、論じられ方が曖昧というか、イマイチ、何が言いたいのかが伝わってこないように思った。叙述するのみで、分析の部分がちょっと……。読み終わっても何だかモヤモヤする。
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